おちゆく先に

目日

文字の大きさ
28 / 126

28話

しおりを挟む
 モルドのとんでも発言にリーリャが
 「モルドさん、いくら何でもそれはないのでは?いくらエルフが生き残っていたとしても竜人は神罰によって滅ぼされたのですから、さすがに絶滅しているのでは?」

 度々出てくるこの昔話はおよそ3000年前の話である。言い伝えられてる話は
 『遥か昔、数多の種族が争いを繰り返しているのを悲しんだとある神は唯一争いをしていなかった竜人族に争いの仲裁を頼んだ。だが竜人族は神に頼まれたという免罪符を盾に戦場に現れては他種族を虐殺した。歯向かおうとしたが数多の種族がいても空を飛べるのは竜人族だけであり、空から一方的に攻撃されるためなすすべがなかった。そんな折、とある人族が虐殺の限りを尽くす竜人族を止めてくれと神に祈りを捧げていると、祈りが通じたのか天より数多の光の柱が大陸の各地に降り注いだ。その光は竜人族だけを貫き殺したと言われている。竜人族に神罰が下ったときにはもう数多の種族はすでに滅んだ後であり、生き残りである人族が世の中を平和に導いた。』
 とされている。もちろんこれは人族が自分たちにとって都合のいいことを盛り込みでっち上げた作り話である。
 ちなみに作り話ではないのは、争いを繰り返していたところだけである。

 「いや、そうでもないみたいだぞ。ジグレイド教えてくれないか?俺たちが足止めしている間に何が起きた?」
 モルドは半ば確信しているのか、ゆっくりと話すように促した。
 「モルドさんの予想通りだよ。俺たちが本陣まで走って逃げていたら空から15人くらいの竜人が降ってきた。奴らはエルフと仲間みたいで俺以外は次々と殺されていったよ。仕舞いにはサルシャを!囚われたサルシャを助けるために戦ったが歯も立たずに倒されたよ」
 所々省略しているようだが大筋は分かった。

 「ふむ、それではなぜお主は生きておるのだ?よもや竜人が殺し損ねたというわけではあるまい」
 当然の疑問を投げかけたのはローレンであった。
 「ははは、ふざけたことに奴らの中に知り合いとまではいかないが知った顔があったんですよ。俺とサルシャはお情けで生かされたんです。理由は知りませんがサルシャはやつらに連れ去られましたけど・・・」
 まさかの知り合い発言と未だにサルシャが生きていると思っているジグレイドに
 「あ、あのよ・・・言いにくいんだが、サルシャちゃんは死体で見つかったんだ」
 モルドが再度サルシャの死を告げるが、
 「いくらモルドさんでも許せる発言と許せない発言がありますよ・・・」

 いつの間にか立ち上がったジグレイドはモルドに掴み掛ろうとしたがローレンに腕をとられて組み伏せられていた。
 「ぐっ、なにをしやがる!?」
 その言葉でローレン以外の3人はジグレイドが床に組み伏せられているのに気が付いた。

 モルドは辛うじてジグレイドが掴み掛ったのは見えていたのだが
 「まじかよ、なんだ今の速さ・・・」
 「しょ、将軍、なぜジグレイド君を取り押さえているんですか?」
 「・・・。」
 上からモルド、リーリャの発言で、何も言わず成り行きを見守っているのがオウルーゼルである。

 「これが身体の筋肉が引き裂かれている者の力か?ありえんな・・・」
 そう驚愕しているのはジグレイドを組み伏せているローレンだが、ジグレイドのあまりの力に
 「すまぬ・・・」
 と一言の後、ジグレイドの体勢をうつぶせから引っ張り上げてその一瞬で腹に拳をめり込ませて気絶させた。
 あまりの早業に誰も気づいてなかったが、そんなこと気にも留めずにジグレイドをベッドに横たえた。

 「「「いつの間に・・・」」」

 3人とも同じ感想である。ローレンの拳打はモルドでさえ見えていなかった。
 「ありがとうございます、ジグレイドを止めてくれなければ俺はー・・・どうなっていたのでしょう?」
 思いがけない出来事だったからかモルドは礼を言いながらも動揺を隠せていなかった。
 「恐らくだが、お主は掴まれて殴り倒されていただろうな。少ししか反応出来てなかったお主を見て割り込ませてもらった」

 その言葉にモルドは俺もまだまだだなと痛感しつつ、ジグレイドのやつ強かったんだなと考えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...