おちゆく先に

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42話

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 翌日、装備を整えたジグレイドは昼前頃組合に訪れていた。
 もちろん依頼を探しにである。

 「おい、あいつ誰だ?随分とやばそうな感じがするけどよ・・・」
 「知るわけねーだろ、お前話し掛けてこいよ」
 「バカ、俺に押し付けんなよ!あんな禍々しいもん身に着けてる奴になんて近寄りたくもねーよ!」
 などとジグレイドが組合に入ってきただけで組合の中にいた人たちがザワザワと騒ぎだしているが、そんなことなどどうでもいいかのように反応もせずに受付へと向かった。

 「ほ、本日はどのようなご、ご用件で?」
 ビクビクと声と身体を震わせながら聞いてくる受付嬢に少し疑問と不快感を覚えるがそれも気にせずに
 「深緑の森の依頼を受けたい、魔物を討伐できる依頼で急ぎではないものを見繕ってくれないか?」
 そう言った禍々しい鎧を身に着けた男に様子を窺っていた周りの人たちは更にザワザワと騒ぎだした。

 「し、深緑の森はとても危険な場所なのであ、あまりお勧めはしないのですが・・・」
 未だにビクビクしながら対応してくる受付嬢にイライラしながらジグレイドは少し威圧しながら推せばなにかしら依頼を見繕ってくれるだろうと考えた。
 「承知の上で言っているんだ、依頼がないのであればそう言ってくれて構わない。その場合は依頼を受けずに行くことにする。それであるのか?」
 「ひっ!す、すみません!い、依頼は採取系しかないのです。ご、ごめんなさいです!」
 何故か物凄い勢いで謝りだしてしまった。もちろんジグレイドの見た目と威圧のせいなのだが・・・。

 そんな受付嬢を放置して立ち去ろうとすると、奥の方から声がした。
 「おやおや、うちの可愛い受付をあまり苛めないでほしいのだけどね」
 そう言って奥から現れたのはカザフ要塞都市にある組合のユニオンマスターであった。

 「別に苛めているわけではない、依頼を見繕ってもらおうとしていただけだ。問題などなにもないだろう?」
 威圧などせずに見繕ってもらう分には問題はないのだが。

 「カッカッカ、威圧していたくせに惚ける気か?」
 「なに、この受付嬢にずっと気もそぞろな対応されていたからな、受付嬢としてその対応はいかがなものかと思ってな。少し喝を入れてあげようとしていただけじゃないか」
 「気もそぞろね・・・おそらくあんたの姿を怖がっていただけだと思うよ。それにそんなことはあんたみたいな一組合員の仕事じゃないね」
 「は?怖がる?なぜ?」
 「あんた鏡を見ないのかい?恐ろしい見た目しておるよ?」
 ユニオンマスターにそう言われ『そういえば装備新調したんだったな、馴染み過ぎていて忘れていたな』と内心で思い出した。

 「そういえばこの装備は見た目が少し厳つかったな・・・まあ装備の見た目で怯える受付嬢もどうかと思うがな」
 いろいろと容赦なく言うジグレイドにユニオンマスターは呆気にとられるが、さっさと対応したほうがいいと考えた。
 「そう言われてしまうと困ってしまうね。あとでこの子は教育し直しておくから勘弁してやってくれないかい?さて!あんたは何の依頼を受けにきたんだい?」
 気をとりなして未だに震えている受付嬢の代わりを務めようとしたのだが、

 「いや、もういい。どうやら俺の受けたかった依頼はないようだしな」
 そう言って立ち去るジグレイドを口を開けて見送ることしかできなかったのだ。


 ジグレイドが出ていった後の組合では我に返ったユニオンマスターが震えている受付嬢に事情を聴いていた。
 「それであの男はどんな依頼を探していたんだい?」
 「それが・・・その、深緑の森のしかも討伐系の依頼でして・・・」
 「ほう、あの男は死にたがりか何かかな?それで・・・あんたはいつまで震えてんだい?」
 未だにビクビクと震えている受付嬢を見て『見た目で怯えるのはどうなのかね?受付から外すかね?』と考えていた。

 組合の受付嬢は組合の看板ともいえる存在である。
 その上給料も高いため競争率が高く誰もが簡単に就くことができる仕事ではない。例外も存在するが大抵は美人で忍耐強く愛想のよい人物にしか就くことができないのである。もちろん頭が良いことは絶対条件である。
 震えている受付嬢はカザフ要塞都市の組合において久方ぶりの新人受付嬢であったのだが、今回の一件で受付嬢を辞めさせられ書類整理などの中の仕事をすることになったのだった。
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