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第一章
27話 猫の救世主
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『…せっかく来てくれたのに、ほっといてしまってすまない』
ビュラさんが語りかけるようにそっと放たれた一言は、僕の中で溶けるように確実に意味を理解した。ナーシア達が話す言語の意味を、ここまでハッキリと理解できたのは初めてだ。
そう言えば前にも似たような感覚を感じたことがあったな。アルラモルモのイテスと初めて会った時、【獣話】というスキルを使ってアルラモルモと話せるようになった。その時の感覚と良く似ている。
そっか、ビュラさんも僕と似たようなスキルを持っているのか…!
僕はビュラさんに、猫耳の付け根や前足の肉球を揉まれながら、漸く言語の壁を破壊してくれる救世主が現れた!と歓喜の涙が出そうになった。ビュラさん、もっともっと僕に話しかけて!と言うように、「ニャウゥン」とビュラさんの蝶ネクタイ辺りをポスポス叩く。
ビュラさんはそんな僕の行動を見てもっと撫でて欲しいと勘違いしたようで、僕を仰向けにして首やお腹やらを高速でモフリ始めた。
ち、違う、けど違わなくて…あにゃぁあトロけるぅぅ。
いつの間にかナーシアが僕を見てクスクスと笑っていた。ナーシアを守るなんて豪語しておいて、マッサージの快楽に意識を奪われそうになるなんて…は、恥ずかしい。
僕はビュラさんの両膝から身を捻ってするりと地面に降り、そそくさとナーシアの元へ向かう。なんだか一瞬だけ、ビュラさんが酷く悲しそうな顔をした気がしたけど、きっと気のせいだろう。
ナーシアが僕を膝の上に乗せて、ビュラさんと和やかにに談笑し始める。二人の会話に耳をそばだてて懸命に聞き取ろうと思っていた僕だけど、あれ?と首を傾げた。さっきあんなにはっきり意味が分かったのに、ビュラさんの言葉がちっとも分からなくなっている…。
ナーシアと話すビュラさんの言葉は、さっきの不思議な感覚と違って、ナーシアと同じように聞こえた。
どういうことだろう…。もしかして、さっきみたいになるのは、ビュラさんが『僕に向けて話しかけた言葉』だけ?便利な翻訳機能みたいなスキルだと思ったのに。
僕が持っている【獣話】は、自分が変化した種族と言葉が自然と『通じ合う事ができる』スキルだった。つまり獣話は僕みたいに他の種族に変身することが出来る生物じゃないと意味がないスキルだ。
ピンクのエンジェルドラゴンさんが使っていた【精神交渉】というスキルは、確か…『他の種族の鳴き声と共に発した心の声』を『聞き取り合う能力』だったはず…。
ビュラさんは僕の言葉が伝わっていないようだし、エンジェルドラゴンさんの時のように鳴き声ではない『心の声』が直接脳に響くような感覚でもなかった。どちらかというと、獣話の時のような感覚だ。
あ、そう言えばビュラさんを鑑定していなかった。駄目だなぁ、鑑定って言う相手の能力を覗き見る便利なスキルがあるのにいつも忘れてしまう。…鑑定って、個人情報を盗み見る事が出来てしまう能力だから、使うのが怖いっていう意識もあるけど。まぁ、ナーシアやゼフィルスさんを既に鑑定しちゃっているから今更だな。
ビュラさんは一体どんなテレパシー系のスキルを持っているのか気になるなぁ。ではでは失礼…とビュラさんがナーシアと話していて気を取られているうちに鑑定させてもらう。
***********************
【ビュラ・ジニウス 】
年齢:18
種族 : 人族◀︎(男)
属性:氷
体力:240
魔力 : 980
スキル : 【氷剣の舞◀︎】【生命感知】【感取】【気配遮断】【フィーシア式剣術】
特殊スキル : 【調教師◀︎】
術式展開魔法: Ⅴ(クアロト級)
***********************
年齢は本当に18歳だった。近くで見たら若いなぁとは思ったけど、本当に当たっていたとは…。整った精悍な顔付きに、鋭く眼光を放つ鷲鷹のような瞳とすらっとした背格好。それに執事の姿が様になっているし…一見どう見ても年齢相応に見えないんだよね。
ん?人族のところに◀︎があるのに気付く。
【人族:フィーシア族◀︎】
【フィーシア族: かつて人化した雪狼と人間が交わった事で生まれた希少種族。先祖代々卓越した動体視力と獣並みの察知能力、引き継いでいる。氷属性に高い耐性を持ち、氷を用いる能力が獣人族には及びないが、人族の中では飛び抜けた身体能力を持つ】
展開するように念じると、人族のさらに詳細な種族情報が見ることができた。
へぇ、ビュラさんは人族は人族だけど、雪狼の血を引いたフィーシア族っていう種族なのか。なんだかカッコイイ。あれかな、きっと日本人やノルウェー人みたいな人種の違いのようなものかな。
他に気になったのは、【調教師】という特殊スキル。調教ってサーカスとかで動物を躾ける時に行われるやつだよね…なんだか怖そう。
あ、そうだ、まずテレパシー系のスキルを調べないと。
…あれ、一見それらしきスキルが見当たらない。獣話とか精神交渉とか分かりやすいスキル名じゃないからかな。
そういえば特殊スキルの場合、表示されていないスキルもあった筈。【調教師◀︎】って言うスキルの中にあるかな。
【調教師 : 専門職スキル。獣種に対し調教を補佐するスキルが獲得しやすくなる。テイムスキルとは違うため、獣種を強制的に服従させる事は出来ない。自身に懐いている獣種に対してのみ有効】
へぇ、専門職スキルなんてカテゴリーがあるんだ。
獣種に対して調教するためのスキルかぁ……。…ん?
もしかして…黒猫に変化している僕は、ビュラさんの調教の対象なっているんじゃない!?
黒猫は動物で、動物は獣…いや、でも、僕は黒猫に見かけは化けているだけで、本来は意味不明な黒いモヤモヤの塊だし…それに、僕は黒猫の『魔獣』。魔物は調教の対象にはならないのでは…?
あ、だけど調教の対象になっていたとしても、獣を強制的に従わせるような恐ろしいスキルではないみたいだ。一先ず安心。…テイムスキルというのがよく分からないけど。
取り敢えず、【調教師】という特殊スキルの中でビュラさんが獲得したスキルがあるみたいだし、開いて確認させてもらおう。
【調教師 :【人語思伝】【能力促進◀︎】】
ん…?【人語思伝】…ああこれだ!!!
【人語思伝】と言うスキル名を見て、字面的にテレパシー系のスキルに違いないと直感した。
成る程…人の言葉の思いが伝わるスキルか。ビュラさんの言葉が僕に伝わったから、僕は結局、調教の対象になっていたんだ。ビュラさんには少なからず好感を持っていたから、懐いていると言う判定になったのかな。
この【能力促進】 っていうスキルは何だろう?獣の能力を促進させるスキルっていう事かなぁ。あ、開けた。
【能力促進〈一定時間スキル発動効果〉: 集中力向上・理解力向上・記憶力向上】
スキルの効果を見たときに、僕の脳内でピカーーッと光るものがあった。
これは…もしビュラさんが僕にこのスキルを使えば、僕は集中力と理解力と記憶力が向上することに…わああめっちゃビュラさんに調教されたい!ん?なんか変な言い方だな…。
つまり…ビュラさんが僕の教師役になってくれたら、【人語思伝】と【能力促進】 のスキルで、僕は対して時間をかけずにナーシア達の言葉と字が分かるようになれるんじゃ…!!
ビュラさんが語りかけるようにそっと放たれた一言は、僕の中で溶けるように確実に意味を理解した。ナーシア達が話す言語の意味を、ここまでハッキリと理解できたのは初めてだ。
そう言えば前にも似たような感覚を感じたことがあったな。アルラモルモのイテスと初めて会った時、【獣話】というスキルを使ってアルラモルモと話せるようになった。その時の感覚と良く似ている。
そっか、ビュラさんも僕と似たようなスキルを持っているのか…!
僕はビュラさんに、猫耳の付け根や前足の肉球を揉まれながら、漸く言語の壁を破壊してくれる救世主が現れた!と歓喜の涙が出そうになった。ビュラさん、もっともっと僕に話しかけて!と言うように、「ニャウゥン」とビュラさんの蝶ネクタイ辺りをポスポス叩く。
ビュラさんはそんな僕の行動を見てもっと撫でて欲しいと勘違いしたようで、僕を仰向けにして首やお腹やらを高速でモフリ始めた。
ち、違う、けど違わなくて…あにゃぁあトロけるぅぅ。
いつの間にかナーシアが僕を見てクスクスと笑っていた。ナーシアを守るなんて豪語しておいて、マッサージの快楽に意識を奪われそうになるなんて…は、恥ずかしい。
僕はビュラさんの両膝から身を捻ってするりと地面に降り、そそくさとナーシアの元へ向かう。なんだか一瞬だけ、ビュラさんが酷く悲しそうな顔をした気がしたけど、きっと気のせいだろう。
ナーシアが僕を膝の上に乗せて、ビュラさんと和やかにに談笑し始める。二人の会話に耳をそばだてて懸命に聞き取ろうと思っていた僕だけど、あれ?と首を傾げた。さっきあんなにはっきり意味が分かったのに、ビュラさんの言葉がちっとも分からなくなっている…。
ナーシアと話すビュラさんの言葉は、さっきの不思議な感覚と違って、ナーシアと同じように聞こえた。
どういうことだろう…。もしかして、さっきみたいになるのは、ビュラさんが『僕に向けて話しかけた言葉』だけ?便利な翻訳機能みたいなスキルだと思ったのに。
僕が持っている【獣話】は、自分が変化した種族と言葉が自然と『通じ合う事ができる』スキルだった。つまり獣話は僕みたいに他の種族に変身することが出来る生物じゃないと意味がないスキルだ。
ピンクのエンジェルドラゴンさんが使っていた【精神交渉】というスキルは、確か…『他の種族の鳴き声と共に発した心の声』を『聞き取り合う能力』だったはず…。
ビュラさんは僕の言葉が伝わっていないようだし、エンジェルドラゴンさんの時のように鳴き声ではない『心の声』が直接脳に響くような感覚でもなかった。どちらかというと、獣話の時のような感覚だ。
あ、そう言えばビュラさんを鑑定していなかった。駄目だなぁ、鑑定って言う相手の能力を覗き見る便利なスキルがあるのにいつも忘れてしまう。…鑑定って、個人情報を盗み見る事が出来てしまう能力だから、使うのが怖いっていう意識もあるけど。まぁ、ナーシアやゼフィルスさんを既に鑑定しちゃっているから今更だな。
ビュラさんは一体どんなテレパシー系のスキルを持っているのか気になるなぁ。ではでは失礼…とビュラさんがナーシアと話していて気を取られているうちに鑑定させてもらう。
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【ビュラ・ジニウス 】
年齢:18
種族 : 人族◀︎(男)
属性:氷
体力:240
魔力 : 980
スキル : 【氷剣の舞◀︎】【生命感知】【感取】【気配遮断】【フィーシア式剣術】
特殊スキル : 【調教師◀︎】
術式展開魔法: Ⅴ(クアロト級)
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年齢は本当に18歳だった。近くで見たら若いなぁとは思ったけど、本当に当たっていたとは…。整った精悍な顔付きに、鋭く眼光を放つ鷲鷹のような瞳とすらっとした背格好。それに執事の姿が様になっているし…一見どう見ても年齢相応に見えないんだよね。
ん?人族のところに◀︎があるのに気付く。
【人族:フィーシア族◀︎】
【フィーシア族: かつて人化した雪狼と人間が交わった事で生まれた希少種族。先祖代々卓越した動体視力と獣並みの察知能力、引き継いでいる。氷属性に高い耐性を持ち、氷を用いる能力が獣人族には及びないが、人族の中では飛び抜けた身体能力を持つ】
展開するように念じると、人族のさらに詳細な種族情報が見ることができた。
へぇ、ビュラさんは人族は人族だけど、雪狼の血を引いたフィーシア族っていう種族なのか。なんだかカッコイイ。あれかな、きっと日本人やノルウェー人みたいな人種の違いのようなものかな。
他に気になったのは、【調教師】という特殊スキル。調教ってサーカスとかで動物を躾ける時に行われるやつだよね…なんだか怖そう。
あ、そうだ、まずテレパシー系のスキルを調べないと。
…あれ、一見それらしきスキルが見当たらない。獣話とか精神交渉とか分かりやすいスキル名じゃないからかな。
そういえば特殊スキルの場合、表示されていないスキルもあった筈。【調教師◀︎】って言うスキルの中にあるかな。
【調教師 : 専門職スキル。獣種に対し調教を補佐するスキルが獲得しやすくなる。テイムスキルとは違うため、獣種を強制的に服従させる事は出来ない。自身に懐いている獣種に対してのみ有効】
へぇ、専門職スキルなんてカテゴリーがあるんだ。
獣種に対して調教するためのスキルかぁ……。…ん?
もしかして…黒猫に変化している僕は、ビュラさんの調教の対象なっているんじゃない!?
黒猫は動物で、動物は獣…いや、でも、僕は黒猫に見かけは化けているだけで、本来は意味不明な黒いモヤモヤの塊だし…それに、僕は黒猫の『魔獣』。魔物は調教の対象にはならないのでは…?
あ、だけど調教の対象になっていたとしても、獣を強制的に従わせるような恐ろしいスキルではないみたいだ。一先ず安心。…テイムスキルというのがよく分からないけど。
取り敢えず、【調教師】という特殊スキルの中でビュラさんが獲得したスキルがあるみたいだし、開いて確認させてもらおう。
【調教師 :【人語思伝】【能力促進◀︎】】
ん…?【人語思伝】…ああこれだ!!!
【人語思伝】と言うスキル名を見て、字面的にテレパシー系のスキルに違いないと直感した。
成る程…人の言葉の思いが伝わるスキルか。ビュラさんの言葉が僕に伝わったから、僕は結局、調教の対象になっていたんだ。ビュラさんには少なからず好感を持っていたから、懐いていると言う判定になったのかな。
この【能力促進】 っていうスキルは何だろう?獣の能力を促進させるスキルっていう事かなぁ。あ、開けた。
【能力促進〈一定時間スキル発動効果〉: 集中力向上・理解力向上・記憶力向上】
スキルの効果を見たときに、僕の脳内でピカーーッと光るものがあった。
これは…もしビュラさんが僕にこのスキルを使えば、僕は集中力と理解力と記憶力が向上することに…わああめっちゃビュラさんに調教されたい!ん?なんか変な言い方だな…。
つまり…ビュラさんが僕の教師役になってくれたら、【人語思伝】と【能力促進】 のスキルで、僕は対して時間をかけずにナーシア達の言葉と字が分かるようになれるんじゃ…!!
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