ロシュフォール物語

正輝 知

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凍雪国編第2章

第23話 測定結果2

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「私の赤は、どれぐらいですか?」

「駆け出しの魔法使いレベルじゃな」

 モールは、ニアの質問に歯に衣着せぬ物言いをする。

「そう……ですか」

 ニアは、少しは自分に期待していたので、厳しい結果を突きつけられて、気落ちする。

「じゃから、がっくりと肩を落とさんでもええ。ニアは、魔力量は少ないが、魔力の質は一級品じゃ」

「それって、すごいことなんですか?」

「あぁ、すごいとも」

 モールは、自信を持って答え、虹石から魔力を取り出して、フレイに戻す。

「んがっ!」

 フレイは、寝ぼけまなこで周りをきょろきょろと見渡し、今ある状況を徐々に理解する。

「ニア姉さん……」

 フレイは、大きく欠伸をして伸び上がり、「ふぁあぁぁ……」と言って、むにゃむにゃと口を動かす。

「目が覚めた? フレイ?」

「ん……? 僕、寝てたの?」

「そうよ。魔力を使い果たしたらしいわよ」

 そう言ってニアは、モールを見る。

「うむ、魔力切れじゃな。じゃが、虹石に注ぎ込んだ魔力をすべてお主に返したから、もう大丈夫であろう?」

 フレイは、自分の体を触ってみて、何ともないのを確認して答える。

「うん。平気みたい」

 にた~っと、フレイは笑い、虹石の結果を知りたくなる。

「なんじゃ? 気持ち悪い笑みを浮かべて?」

「結果はどうだったの?」

「フレイは透明で、私は赤よ」

 隣のニアが、フレイに説明する。

「僕、透明なんだね。そして、ニア姉さんは赤か……」

 フレイは、うんうんと頷くものの、よく分かっていないのか聞き返す。

「それで、透明と赤ならどう違うの?」

「フレイ……」

 ニアは、少し呆れてフレイを見るが、モールは、はははっと笑い出す。

「なんじゃ? フレイは、寝ている間に忘れてしまったのか?」

「違うよ! 覚えているけど……、よく分かんなかっただけだよ!」

 フレイは、小馬鹿にされたことに抗議し、ふてくされて座椅子にどんっと座る。

「よしよし。もう一回説明してやろう」

 モールは、床に座ったままのニアにも座椅子に座るように身振りで促す。
 そして、すでに元の状態に戻っているフレイの虹石を見せる。

「これが、お主の虹石じゃ」

 フレイは、最初のときと何も変わらない透明な虹石を見る。

「僕の光ってないね。色も透明のままなんだ……」

 フレイは、自分に魔力の量と質がなかったと思い、少ししょげる。

「違う違う。お主の魔力は、返したんじゃよ」

「何で?」

「お主が、魔力切れを起こして、爆睡しておったからじゃ。じゃから、この虹石から魔力を戻して、お主の目を覚まさせたんじゃよ」

「へぇ~。そうなんだ……」

 フレイは、勘違いしていた自分を少し恥ずかしく思い、照れ隠しに笑って誤魔化す。
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