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ぼんの宇宙日記(80日目)
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80日目。今日は、船長のまばたきを見た日。
朝、居住区の隅で丸くなっていた。静かな光。空気はゆるやかに流れている。
モニターの向こうで、船長がコーヒーを片手にこちらを見ている。大きな椅子に座って、動かない。ジンのキーボードの音、ミナのやさしい声。世界はそれぞれの音で満たされているけれど、船長の気配だけはどこか特別だった。
船長は、しばらく黙ったまま、ぼくをじっと見つめていた。目が合う。そのまま、ほんの少しだけ目を細める。ゆっくり、まばたき。
その合図は、まるで「ここにいるよ」と静かに伝えてくれるみたいだった。
ぼくは呼吸を深くして、体の奥までその気配を受け止めた。
宇宙の中で、たった一つの約束。そう感じる。
人間の言葉はなくても、まばたきだけで、なにかが通じ合う。
昼、ミナが陽ざしの中でパンを焼いている。マヤが明るい声で笑い、ルカは窓の外を眺めている。みんなそれぞれの時間を生きているけど、船長だけはモニターの向こう側で動かない。ぼくはときどき、そちらを見てみる。
ゆっくりとまばたきを返す。それが正しいやり方かどうかは分からない。でも、なんだか心があたたかくなる。
午後、モニター越しの船長は何かを考えていた。時折、ぼくにだけ向けられるまばたき。長い沈黙のあと、その静かな合図が、ぼくの胸に残った。
宇宙には言葉がいらないときがある。まばたきひとつで、遠くの誰かとつながることができる。
夜、船長は最後にもう一度、静かに目を閉じた。ミナが「そろそろ休憩みたいだね」と小さく言う。ぼくもクッションの上で、ゆっくりとまばたき。空気がやさしくなって、体の力が抜けていく。
まばたきは、宇宙の合図。今日のぼくは、そう感じていた。
言葉よりも静かで、でも確かなやりとり。
おやすみ、船長のまばたき。おやすみ、遠い場所で見守ってくれるひと。
また、宇宙のどこかで合図が届きますように。
朝、居住区の隅で丸くなっていた。静かな光。空気はゆるやかに流れている。
モニターの向こうで、船長がコーヒーを片手にこちらを見ている。大きな椅子に座って、動かない。ジンのキーボードの音、ミナのやさしい声。世界はそれぞれの音で満たされているけれど、船長の気配だけはどこか特別だった。
船長は、しばらく黙ったまま、ぼくをじっと見つめていた。目が合う。そのまま、ほんの少しだけ目を細める。ゆっくり、まばたき。
その合図は、まるで「ここにいるよ」と静かに伝えてくれるみたいだった。
ぼくは呼吸を深くして、体の奥までその気配を受け止めた。
宇宙の中で、たった一つの約束。そう感じる。
人間の言葉はなくても、まばたきだけで、なにかが通じ合う。
昼、ミナが陽ざしの中でパンを焼いている。マヤが明るい声で笑い、ルカは窓の外を眺めている。みんなそれぞれの時間を生きているけど、船長だけはモニターの向こう側で動かない。ぼくはときどき、そちらを見てみる。
ゆっくりとまばたきを返す。それが正しいやり方かどうかは分からない。でも、なんだか心があたたかくなる。
午後、モニター越しの船長は何かを考えていた。時折、ぼくにだけ向けられるまばたき。長い沈黙のあと、その静かな合図が、ぼくの胸に残った。
宇宙には言葉がいらないときがある。まばたきひとつで、遠くの誰かとつながることができる。
夜、船長は最後にもう一度、静かに目を閉じた。ミナが「そろそろ休憩みたいだね」と小さく言う。ぼくもクッションの上で、ゆっくりとまばたき。空気がやさしくなって、体の力が抜けていく。
まばたきは、宇宙の合図。今日のぼくは、そう感じていた。
言葉よりも静かで、でも確かなやりとり。
おやすみ、船長のまばたき。おやすみ、遠い場所で見守ってくれるひと。
また、宇宙のどこかで合図が届きますように。
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