ぼんの宇宙日記

ぼん

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ぼんの宇宙日記(88日目)

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88日目。今日は、暗さの中で耳がひらいた日。

朝、廊下を歩いていたら、見慣れない扉が少しだけ開いていた。鼻をひくひくさせてのぞくと、冷たい機械の匂いが漂ってきた。ぼくは前足でそっと押して、中に入った。そこはジンの部屋だった。

昼、部屋の中は照明がほとんどなくて、暗かった。かわりに、機械のランプが点々と光っていた。赤、青、緑。小さな星みたいに、部屋の奥で瞬いていた。ぼくはその光を追いかけて、しっぽをふりふりした。静かで、でもどこか落ち着く空気。
ジンは椅子に座っていて、何も言わなかった。ぼくの足音にも顔を上げず、ただ画面を見ていた。画面の光が、彼の横顔を淡く照らしていた。ぼくは机の下に丸くなって、耳をぴくぴくさせた。機械が小さく息をしているみたいに、一定のリズムで鳴っていた。

午後、少し眠たくなって目を閉じた。暗さは怖くなかった。むしろ安心できた。誰も声をかけてこなくて、誰も笑わなくて、ただ機械の音とぼくの呼吸だけがあった。静けさが布団みたいに体を包んでくれた。

そのとき、ジンが立ち上がった。足音が近づいて、ふわっと毛布がかけられた。何も言わなかったけれど、手の動きはやさしかった。毛布は少し冷たかったけど、すぐにぼくの体温であったかくなった。ぼくはゴロゴロと喉を鳴らした。

夕方、ジンはまた席に戻って、黙ったまま画面を見ていた。ぼくは毛布にくるまりながら、その背中をじっと見ていた。暗さの中で、言葉よりもしっかり伝わるものがある。

夜、部屋を出るころ、ランプの光はまだ点々と灯っていた。廊下に出ると、明かりが少しまぶしかった。ぼくはしっぽをゆっくり揺らして思った。暗い部屋は、静けさの巣。そこに、ぼくの眠りがあった。

おやすみ、暗い部屋。おやすみ、ジンの毛布。また、静かな光の中で眠ろうね。
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