雑貨屋ヤマーダの日々

ぼん

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「雑貨屋『ヤマーダ』の店づくり」

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森を抜けた先に現れたのは、木造の家々と石畳が並ぶ、どこか懐かしい空気を纏った小さな町だった。

「おお……異世界の町っぽい……しかもめっちゃRPG感あるぞ……でも腹減った……」

自分が異世界にいるという事実よりも、空腹が目下の最大の問題である。そんなぼやきを漏らしながら、山田は町の広場を目指して歩いた。

広場の手前で、一人の老人が地面に倒れているのを見つける。

「え、これ放置したらマズいやつ!」

慌てて駆け寄り、声をかける。

「大丈夫ですか、おじいさん!? あれ、意識ある?」

少しして、近くの住民たちが慌てて集まってくる。水を持ってくる人、声をかける人、皆が協力して老人を介抱し始める。

そして、そこへ青年が駆けつける。

「おじいちゃん!……よかった、生きている……」

青年は山田のほうに深々と頭を下げた。

「助けてくださってありがとうございます。僕の祖父なんです。体が弱っていて、最近よく倒れてしまって……」

「いやいや、たまたま通りかかっただけなんで……って、こういう時の返しってなんか難しいな……」

二人の間に微妙な間が生まれたあと、青年が少し気を取り直して尋ねる。

「ところで……あなたは、旅の方ですか?」

「あ、えっと……実はですね、異世界から来たばかりで、右も左も分からない状態なんですよ。食べ物も、住まいも、仕事も、なーんにもないっていうか」

青年は驚いた顔で少し沈黙したあと、ぽつりと口を開いた。

「……それは、大変ですね。でも、ここは穏やかな町なので、何とかなるかもしれません」

山田は自虐気味に肩をすくめる。

「まあ、何とかなるって言葉だけが俺の今の希望ですよ……」

すると青年は、どこか決意を込めるような表情で言った。

「……うちには使っていない空き家があるんです。ずっと放置していたもので、正直手をつけられていませんでした。あんな場所じゃ迷惑かもしれませんが、あなたが困っているなら、お使いになりますか?」

山田は驚いた。

「え? 空き家? ……いやいやいや、初対面で空き家の話って??」

真剣な眼差しに嘘は感じられない。何より、町の人たちが見せる温かい空気が、それを後押ししていた。

「……じゃあ、ちょっとだけ見に行かせてもらってもいいですか?」

案内された空き家は、年季は入っているものの、しっかりした木の造りで、陽の光もよく入る。

「おお、古民家風……悪くないぞ。なんか始まりっぽい雰囲気じゃん……いや問題は内装なんだけどさ」

案の定、中はボロボロだった。床はギシギシ、棚は傾き、窓は開かない。

青年は小さな魔法書を取り出し、差し出した。

「これは修理魔法の本です。町の施設でよく使われていて、使い方も簡単です」

山田は魔法書を手に取りながら、驚いた表情で呟いた。

「え、魔法? 俺、そんなの使えるのか?……いやいや、待て待て、俺が魔法使いってどういうことだよ!」

青年は笑顔で頷きながら説明を続けた。

「この本を使えば、簡単な修理魔法が使えるようになりますよ。試してみてください」

山田は半信半疑ながらも、魔法書を開き、呪文を唱えてみた。すると、棚が真っすぐになり、床の軋みが消えた。

「おおおお……いや待て、冷静に考えてこれチートでは?? この魔法、俺の前世にも欲しかったんだけど……!」

魔法に感動しながら空き家を修繕し、徐々に店づくりが始まる。町の人々も協力してくれる。

「これ、使ってない鍋なんだけど、よかったら」 「看板の板材、余っているから持っていって」

内装が整い、自作の看板に「雑貨屋ヤマーダ」と書いて、入口に掲げる。
その瞬間、山田はしばらく看板を見つめていた。

「……俺、本当に異世界で店開いちゃうんだな」

誰かに必要とされたい。関わりを持ちたい。そんなぼんやりとした気持ちが、少しだけ形になった気がした。

「さあ来い、異世界の人々!俺の謎雑貨が待っているぞ!返品不可だぞ!」

そして、雑貨屋「ヤマーダ」は、静かに、でも確かに生まれたのだった——。

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