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回想
死人花
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文化祭も終わり、寒さも少しずつ強くなってきていた。
衣替えも済み、皆が冬服になってから、俊は再び学園に通うことが出来るようになった。
しかし、登校してきた俊に待ち受けいていたのは、クラスのジョーカーグループからの痛烈な歓迎だった。
「………」
教室の中で立ち竦む俊。
自分の席の前で立ち止まり、“それ”に気付いた。
俊の机の上には、花瓶に生けられた花が飾られていた。
ただ、その花は葬式などで飾られている、所謂お供え花だった。
さらにその横には、黒縁の写真立てに入れられた、俊の写真が置かれている。
明らかに、死人扱いだった。
「なぁ………あれ、マジ?」
「なんか、可哀想」
他のクラスメイト達のひそひそと話す声に混じって、ジョーカーグループ達のクスクスと笑う声も聞こえて、俊は無言でただ立ち竦んでいた。
そこへ、登校してきた敦也と甲斐が、その状況を知り、敦也は俊へ話しかけようとするが、甲斐が引き止め、首を振る。
たしかに、今手助けをすれば、彩希の時同様、自分にも火の粉が飛んでしまう可能性が高い。
「今は我慢しろ」と、甲斐に耳打ちされ、敦也は小さく拳を握った。
「………」
俊はただ呆然と立ち竦み、誰もがその反応を見守っていると、ホームルームを告げるチャイムが鳴り、同時に担任の教師が教室へやって来た。
「お前ら何やってる、早く席に…って、何だそれは?」
「やべっ」
担任が異変に気付き、俊の側まで来ると、机に置かれていたものを見ていった。
「誰だ、こんなの置いたのは?」
「………」
「おい架山?大丈夫か?」
ぽんっと担任が俊の肩に手を置くと、俊は崩れるようにその場に座り込んだ。
息が苦しくなり、何かを我慢するかのように胸を押さえるようにかがみ込んでいると、担任は「保健室行くか?」と聞くが、俊は返事が出来ずに、踞ったままだった。
担任は生徒に「静かにしていろ。それを置いたやつは片付けておけ」と告げ、俊を抱えて保健室へ連れて行った。
その間も、俊は身体を震わせて、何かを我慢しているようだった。
「………」
無言で震える俊を見て、担任は「本当に大丈夫か?」と声を掛けるが、俊は返事もなく、またその場に踞ってしまう。
保険室内にいた結依が扉を開けると、二人に気付いて駆け付けた。
「どうかしましたか?」
「すみません、戸田先生。…ちょっと生徒の悪戯がありまして。架山の様子もおかしかったので、一応連れてきたのですが…」
「分かりました。あとは私が引き受けますので、先生は教室へ戻ってホームルーム始めて下さい。…架山君、大丈夫?早く中で休もうか」
そう言って、結依に俊のことを頼むと、担任は教室へと戻っていった。
その間も、俊は何かを我慢するように震えていて。
保健室の中へ入り、すぐにベッドの方へ連れて行き休ませるが、俊の震えはまだ治まらなかった。
何を我慢しているのか、結依には見当が付かず、相変わらず肩で息をする俊を見て、背中を擦ってあげるも、震えは一向に止まりそうもない。
「架山君、何に我慢してるの?話せるなら教えてくれるかな?」
「………」
「無理なら、言わなくても良いよ。でも辛くなったら、いつでも言ってね」
そう告げて俊を休ませ、暫く一人にさせることにした。
それから結依は用事で職員室に行くことになり、俊に一声掛けてから保健室を後にした。
暫くして保健室も戻ってきた結依は扉を開けると、自分の机の前に俊が立っているのに気付いて声を掛け、直後声を詰まらせた。
「架山君?どうし…っ架山君!!」
見ると、俊は机にあった文房具のケースからカッターを取り出し、自身の左腕に切りつけていたのだった。
慌てて駆け寄り、カッターを持ってる手を抑え、声を掛けるも、俊はぼんやりとした表情のまま聞こえてないようだった。
「架山くん………これ、離そうね?」
「………」
ゆっくりとカッターを握っている右手の指を離していき、カッターを取り上げると、俊の顔を覗き込むようにして声を掛けた。
「ごめんね、気付かなくて。これを我慢してたんだね………」
「………」
相変わらずぼんやりとした表情のまま、俊は首を傾げた。
そして空になった右手を見て、またぼんやりとしていると、小さく「…ぁ……」と声を漏らした。
「どうしたの?」
「………」
結依が優しく問い掛けるが、返事はない。
だが先ほどまでの震えは治まり、今は呼吸も落ちついている。
恐らく、自傷行為を行ったことで、気持ちに余裕が出来たのかもしれないと判断し、結依は俊に「もう平気?」と聞くと、俊はゆっくりと頷いた
「傷、手当てしなきゃだね。痛みはある?」
そう問うと俊は首を振り、「分からない………」と小さく返事をして、「痛い、とか………もう分からない………」と言葉を続けた。
その言葉に、結依は悲しそうな表情を浮かべて「そう、感覚が麻痺しちゃったんだね………」と答えた。
その後、左腕の傷の手当てをし、もう暫く休むかと聞くと、俊は無言で頷き、そのままベッドへと戻っていった。
結局その日はお昼まで保健室で休み、その後早退していった。
衣替えも済み、皆が冬服になってから、俊は再び学園に通うことが出来るようになった。
しかし、登校してきた俊に待ち受けいていたのは、クラスのジョーカーグループからの痛烈な歓迎だった。
「………」
教室の中で立ち竦む俊。
自分の席の前で立ち止まり、“それ”に気付いた。
俊の机の上には、花瓶に生けられた花が飾られていた。
ただ、その花は葬式などで飾られている、所謂お供え花だった。
さらにその横には、黒縁の写真立てに入れられた、俊の写真が置かれている。
明らかに、死人扱いだった。
「なぁ………あれ、マジ?」
「なんか、可哀想」
他のクラスメイト達のひそひそと話す声に混じって、ジョーカーグループ達のクスクスと笑う声も聞こえて、俊は無言でただ立ち竦んでいた。
そこへ、登校してきた敦也と甲斐が、その状況を知り、敦也は俊へ話しかけようとするが、甲斐が引き止め、首を振る。
たしかに、今手助けをすれば、彩希の時同様、自分にも火の粉が飛んでしまう可能性が高い。
「今は我慢しろ」と、甲斐に耳打ちされ、敦也は小さく拳を握った。
「………」
俊はただ呆然と立ち竦み、誰もがその反応を見守っていると、ホームルームを告げるチャイムが鳴り、同時に担任の教師が教室へやって来た。
「お前ら何やってる、早く席に…って、何だそれは?」
「やべっ」
担任が異変に気付き、俊の側まで来ると、机に置かれていたものを見ていった。
「誰だ、こんなの置いたのは?」
「………」
「おい架山?大丈夫か?」
ぽんっと担任が俊の肩に手を置くと、俊は崩れるようにその場に座り込んだ。
息が苦しくなり、何かを我慢するかのように胸を押さえるようにかがみ込んでいると、担任は「保健室行くか?」と聞くが、俊は返事が出来ずに、踞ったままだった。
担任は生徒に「静かにしていろ。それを置いたやつは片付けておけ」と告げ、俊を抱えて保健室へ連れて行った。
その間も、俊は身体を震わせて、何かを我慢しているようだった。
「………」
無言で震える俊を見て、担任は「本当に大丈夫か?」と声を掛けるが、俊は返事もなく、またその場に踞ってしまう。
保険室内にいた結依が扉を開けると、二人に気付いて駆け付けた。
「どうかしましたか?」
「すみません、戸田先生。…ちょっと生徒の悪戯がありまして。架山の様子もおかしかったので、一応連れてきたのですが…」
「分かりました。あとは私が引き受けますので、先生は教室へ戻ってホームルーム始めて下さい。…架山君、大丈夫?早く中で休もうか」
そう言って、結依に俊のことを頼むと、担任は教室へと戻っていった。
その間も、俊は何かを我慢するように震えていて。
保健室の中へ入り、すぐにベッドの方へ連れて行き休ませるが、俊の震えはまだ治まらなかった。
何を我慢しているのか、結依には見当が付かず、相変わらず肩で息をする俊を見て、背中を擦ってあげるも、震えは一向に止まりそうもない。
「架山君、何に我慢してるの?話せるなら教えてくれるかな?」
「………」
「無理なら、言わなくても良いよ。でも辛くなったら、いつでも言ってね」
そう告げて俊を休ませ、暫く一人にさせることにした。
それから結依は用事で職員室に行くことになり、俊に一声掛けてから保健室を後にした。
暫くして保健室も戻ってきた結依は扉を開けると、自分の机の前に俊が立っているのに気付いて声を掛け、直後声を詰まらせた。
「架山君?どうし…っ架山君!!」
見ると、俊は机にあった文房具のケースからカッターを取り出し、自身の左腕に切りつけていたのだった。
慌てて駆け寄り、カッターを持ってる手を抑え、声を掛けるも、俊はぼんやりとした表情のまま聞こえてないようだった。
「架山くん………これ、離そうね?」
「………」
ゆっくりとカッターを握っている右手の指を離していき、カッターを取り上げると、俊の顔を覗き込むようにして声を掛けた。
「ごめんね、気付かなくて。これを我慢してたんだね………」
「………」
相変わらずぼんやりとした表情のまま、俊は首を傾げた。
そして空になった右手を見て、またぼんやりとしていると、小さく「…ぁ……」と声を漏らした。
「どうしたの?」
「………」
結依が優しく問い掛けるが、返事はない。
だが先ほどまでの震えは治まり、今は呼吸も落ちついている。
恐らく、自傷行為を行ったことで、気持ちに余裕が出来たのかもしれないと判断し、結依は俊に「もう平気?」と聞くと、俊はゆっくりと頷いた
「傷、手当てしなきゃだね。痛みはある?」
そう問うと俊は首を振り、「分からない………」と小さく返事をして、「痛い、とか………もう分からない………」と言葉を続けた。
その言葉に、結依は悲しそうな表情を浮かべて「そう、感覚が麻痺しちゃったんだね………」と答えた。
その後、左腕の傷の手当てをし、もう暫く休むかと聞くと、俊は無言で頷き、そのままベッドへと戻っていった。
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