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手始めに口吻の先に唇を寄せる。
獣人とのキスのやり方なんて分からなかったが、取り敢えず閉じられた唇を舐め上げ、吸い付くと、それが僅かに開かれたので、すかさず舌をねじ込む。
体の構造が人間と違うから勝手が難しいが、要領は人間と一緒だ。舐めて、しゃぶって、注ぎ込む。夢中になってそれを繰り返した。
伸ばした舌で、歯列を辿る。ああ、本当に犬歯が無いんだ。抜く時さぞ痛かったろうに。俺は犬歯がないのが気になって、しつこくしつこくそこを舐める。
恥ずかしいのか主人は頭を少しモゾモゾとさせていたが、俺が顔を両手で挟み込みやんわりと拘束すると、大人しくなった。歯列を舐めた後は、縮こまった舌を吸ったり、甘噛みしたり、好き放題する。そのまま暫く、彼の唇を堪能した。リップ音なんて可愛らしいものではなく、グチョグチョとみだりがましい水音が静かな部屋に響く。
どれくらいそうしていただろうか。散々やりたい放題してもういい加減満足した俺は、最後のひと押しにもう1度強く吸い付いたあと、唇を離す。体を起こして見下ろせば、そこには口を半開きにしてトロットロに蕩けた表情でこちらを見上げる主人の姿があった。
「はあっ、はあっ、はあっ……」
「ふふふ。キスひとつでこんなに息を乱して、堪らないな。どう、俺のキスはお気に召しましたか?」
「お、お、お、お気に召したもなにも、初めてなのに好き放題されて、何が何だか」
そーか、そーか、初めてだったのか。それはいいことを聞いた。もしやそうではとは思っていたが、本当にそうだったとはね。これは俺色に染め上げがいがあるというもの。これから先の行為への期待がさらに高まる。
「それは済まないことをした。なら今度は焦らず2人でゆっくり進めていこうな。ほら、そんなに緊張しないで。一緒に気持ちよくなろう」
そう言って俺は縮こまっていた主人のペニスへと手を伸ばす。剥き出しのソレを優しく握り込むと、主人の体がピクリと跳ねた。
「な、にを……」
「何って、とっても気持ちよくなれる方法を教えてあげようと思って。大丈夫、そんなに怖がるなよ。さっきはあんなに昂ってたじゃないか。自分の手で俺の中に挿れる夢想をしながら、弄ったんだろう? いっぱい擦って、締め付けてもらって、注ぎ込むことを考えながら、ね? なんていじらしい人だ。ああ、そんな顔しないで。別に責めているわけじゃないんだからさ」
我ながらペラペラとよく口が回る。俺も浮かれているのかもしれないな。ガチガチに固まった主人は、俺にされるがまま、なにも反応ができないようだ。それをいいことに俺は勝手にどんどんと事を進めていく。主人のペニスを握る手に少し力を込め、ゆっくりと動かし始める。
「あ、うっ……」
「どう、気持ちいい? 他人の手を借りてやると、また別の良さがあるだろう」
言いながらペニスを抜きあげる手付きに緩急をつけたり、先端を擽ったり、陰嚢を揉んだり、手を変え品を変え主人の性器を虐めぬく。血管の浮き出した竿を強く扱いたら、裏筋を指でスウッと辿って、張り出したカリを指で作った輪で何度も繰り返しいじくって。そうするうちに萎んでいた主人の性器は俺の手の中で益々硬さを増し、どんどんと大きく太く育っていった。
「っ、おい、もう」
「おい、じゃないだろう。俺の事、『マルセル』って名前で呼んでくれよ。さっきも頼んだじゃんか。お願いだよ、あなたに名前で呼ばれると、全身がゾクゾクして堪んないんだ」
言い終えるや否や、体を伸ばして主人の耳に唇でパクリと噛み付く。口内で先端を嬲れば、大きな体は面白いくらいにビクビクと小刻みに跳ね上がった。
「それ、やめろぉ……!」
「えー、どうしよっかなあ。だっていい反応するんだもんなあ」
あー、俺、今絶対悪い顔してる。自分でもいやらしいニヤニヤ笑いが顔に出ているのが分かるもの。でも、悪戯は止めてやれない。だってこの人、本当に体中敏感で、反応が良すぎるんだ。恨むんなら敏感な己自身を恨んでくれ。
今度は乳首にでも吸い付いてやったら、どうなっちゃうんだろう。どう転んでもエロいだろうな、めっちゃ気になる。
そうして主人の体を玩具にして遊び、よからぬ事を企む俺に、彼は本能的になにか危機感を覚えたのだろう。やられてばかりではいけないとばかりに、涙目で攻勢に出てきた。快感で震える手で、俺の体をたどたどしくまさぐり始めたのだ。
「おや、驚いた。あなたも俺になにかしてくれるのか?」
「私ばかりいい目を見ていては不公平だからな。マルセルも自分で言っていたじゃないか、『一緒に気持ちよくなろう』って。……それと、『あなた』じゃなくて『ロラン』と呼べ。私もマルセルに名前を呼ばれたい」
「っ!」
主人が……いや、ロランが俺にくれた言葉に、一気に余裕がなくなる。名前で呼んでくれた、名前を呼ぶことを許可してくれた、そして、俺に触れようとしてくれた。様々な思いが体の中を駆け巡る。嬉しい、嬉しくて堪らない。たったこれだけのことでこんなにも幸せになれるなんて、知らなかった!
「……ロラン。ロラン、ロラン! ああ、俺の愛しい人! どれだけこの日を待ちわびたことか、ようやくあなたの名前を呼べる!」
両腕をロランの首に絡め、もう一度、唇にかぶりつく。今度は先程までの揶揄うものとは違う。もっと直接的で欲をのせた、余裕のないものだ。咄嗟のことに反応できずに半開きになった彼の唇の隙間に舌をねじ込み、絡め、夢中で貪る。
俺の突然の息もつかせぬ猛攻にロランは最初こそ戸惑っていたようだが、すぐさま俺の体をまさぐるのを再開した。
ロランの手は最初は一生懸命彼の唇を求める俺の頭を撫で、首を通過し肩峰を辿り、胴体へとたどり着く。ただ撫でて手を当てるだけの稚拙な愛撫だったが、それにすら今は腰が抜けそうなほど痺れてしまう。
ロランの手の温かさ、彼の体の表面を覆う短く柔らかい毛の感覚、大きく広いその手の平。そしてなにより、彼が彼自身の意思で俺に触れて気持ちよくしようと思っていてくれていること。その何もかもが俺を高ぶらせる。
「ん、はあ。マルセル、固く、なってる……」
彼の手の触れる感触を少しでも逃すまいと集中して、俺のキスが少し疎かになった合間に、ロランがなんとかそう口にしてきた。言われてみれば確かに、俺のソレはロランの何もかもに煽られてズボンの中できつく自分を主張し始めていて、愛しさのあまり体を擦り付けた際にそれがロランにも分かったらしい。
「そりゃあね。愛しい人と触れ合えば、否が応でもこうなるさ。ロランだってほら、もう限界なんじゃないか?」
「あ、う」
腕を下ろし、ロランの性器を一撫でしてやれば、彼は面白いくらいに反応する。そのことにまた笑みを深くすれば、それを見たロランは涙目で抗議の声を上げた。
「ちょ、ちょっと待て! さっきからマルセルばっかり、ズルいぞ!」
「ズルいって、なにが?」
「だって、私はマルセルに触れられるだけでいっぱいいっぱいなのに、そっちは私が何をしても余裕綽々な満面の笑みで次々とよからぬ事を企んで……ズルい! 私だってマルセルが前後不覚になるくらい気持ちよくさせたい!」
「別に余裕綽々って程でもないけどな。ロランだって、自分の足に当たる硬いものが何かわからないほど世間知らずってわけじゃないでしょう。俺だってしっかり興奮してるんだよ。それでも余裕に見えるのなら、経験の差もあるし、仕方ないんじゃない?」
「経、験……」
ん? なんでそこで引っかかったような顔をするの? 別に俺なんもおかしなこと言ってないと思うんだけど。お互いそれぞれの人生で短くはない時間を生きてきたのだから、世間知らずの箱入り息子のロランと、軍人として世界中を飛び回っていた俺とじゃ色々違うに決まってる。
「ロラン、どうした?」
「そうか、そうか。そうだったな。たしかに私は世間知らずだ。世情に疎いし世故にもたけていない。人生経験にも乏しいし、対人関係は壊滅的だ。……だがな、だからって愛を確かめ合う場で、今までの相手のことを匂わすような発言が許されないものだってことぐらい分かっているつもりだ」
「へ?」
最初、ロランの言った言葉の意味が上手く分からなくて、間抜けな声を出して彼の方を見た。ロランの方も熱で潤んでいて色っぽい筈なのに、ジトッとした目付きでこっちを見ている。しばし見つめ合った後、数瞬遅れて馬鹿な俺はようやくロランが俺の『経験の差』という言葉に、過去俺が寝てきた人間たちの影を敏感に感じとったのだということに気がついた。
「ロ、ロラン! 待ってくれ! 今のはそういった意味じゃなくて!」
「ほーう、ならどういう意味があるんだ? 私を揶揄いついでに出た言葉のあやだなんて言っても、納得しないぞ」
ロランの目には、明らかな怒りの火が燻っている。これはちょっとやそっとの事じゃ、収まりそうにない。
今や、形勢は逆転した。
俺がロランを虐めてロランがまごつく状況から一点、この場をどう切り抜けようかと慌てる俺とそれを追求するロラン、という図になってしまったのだ。
「ロラン、俺が悪かった! あんなこと言うなんて、どうかしてたよ。すまない、許してくれ」
「そいつらにも私にしたように熱心に言葉をかけたのか?」
「とんでもない! そんなことあるもんか! ロラン、俺が恋をしたのも、愛を捧げたのも、こんなに心を尽くして手に入れたいと思ったのだって、後にも先にも誓ってあなた1人だけだ。本当だよ。そりゃあ経験がないと言ったら嘘になるけど……でも、今までのことは全部お遊びもいいところだ! もう2度とあんなこと言わないから、許してくれ。あなたに心を疑われるのは、とても辛い。それに、折角のロランとの最初の思い出を、こんなことで台無しになんてしたくないんだ!」
そっぽを向いてしまったロランの体に擦り寄り、必死になって懇願する。ああ、どうして俺はあんなこと言ってしまったんだろう! 間抜けにも程がある。せっかくロランが心を開き始めてくれていたのに、軽はずみな発言で全部台無しにしてしまうなんて!
「ロラン、ロラン。ごめんよ、どうか機嫌を直して。俺が信じられないっていうのなら、今は一旦止めてもいい。あなたにもう一度信じてもらえるよう、俺は前にも増して頑張るから、そうしていつか俺の行いがあなたのお眼鏡にかなった時に、全部仕切り直すことにしようか」
「……それは嫌だ」
ああ、そんな、女神様! なんてご無体な! せっかくここまでたどり着いたのに、これで全部おしまいなんて!
「今更止めていつか仕切り直しなんて、嫌だ。私が我慢できない。愛もないのに運良くマルセルと寝れただけの奴らに負けたような気分だし、そいつらのせいでお預けを食らわされるのは滅法ごめんだ。マルセルは他でもない、私のものだと証明してみせる」
「ロラ……ヒャッ!」
ロランの言葉を上手く飲み込めず惚けていたら、おもむろにその大きく分厚い手で尻を掴まれた。思わず、情けない声が出る。先程まで俺の腰のあたりを摩るだけだったはずのその手は、存外器用に俺の尻を揉み込む。
「ひっ、ぅん。ロ、ロラン。なにを」
「マルセル、お前の言う通りだ。獣人と人間とじゃ無理だとか、あんな偉そうにご高説を垂れていたが、私はさっき1人でしていた時、どうにかこうにかマルセルのここに自分のモノをぶち込んで、中に出して汚してやることばっかり考えていた」
ロランの手は片手ですっぽり俺の尻臀が包み込めるほど大きい。それが俺の尻を揉みしだくのだ。手付きは巧みとは言い難いが、情熱と執着を感じさせる手付きに、俺は頭が蕩けてしまいそうだ。
「ッ!」
ロランの、指が。指が、着衣の上からではあるが、俺のアナルに触れた。そのままズボンの薄い布越しに、グリグリと入口を弄ぶ。
「ロラン、それはっ」
「ああ、そうだったな。まずはこれを脱がさないと」
世界がグルリと反転した。背中に柔らかい感触があり、目の前には俺に覆い被さるようにするロランが居る。先程までとは反対に、ロランにベッドに押し倒されたのだ。
突然のことに上手く現状を認識できず、俺がポカンとしている間に、あっという間の早業でロランは俺のズボンを緩め、スルリと足から引き抜いてしまった。
脱がせたズボンを遠くに放り、ロランはベッドサイドの辺りをゴソゴソと探っている。
「ロラ、ん!」
『何をしているんだ?』とその後に続くはずだった言葉は最後まで言えず、途中で情けなくひっくり返った。ベッドサイドにロランが先程1人遊びの時にでも使っていた潤滑剤でもあったのだろうか。恐らくそれで濡らしたであろう指が、俺のアナルにあてがわれたのだ。指はそのままゆっくりと、しかし確かな意志を持って俺の中に入り込んでくる。
「あ、あ、あ、あ、あ」
凄まじい重量感。肺から空気が押し出されるように、勝手に声が出る。なんということだ。指ですら太い。1本でこれか。信じられない。指1本でこれなら、ロランのモノを入れてしまったら、俺はどうなってしまうんだろう。
「確か、ここら辺にあるはずなんだが」
ロランが何か言っているが、そちらに意識を向けることができない。中を探るように指を動かされて、それどころではないからだ。ロランの指は俺の中で窮屈そうにしながらも、あちこち擦ったり、引っ掛けたりするような動きを繰り返している。
ロランが、俺の中に。異物感に支配されて気持ち悪くなってもいいはずなのに、その事だけに気持ちを持ってかれて、感極まってそれだけで満たされてしまう。
だが、もちろんことはそこでは終わらなかった。
「っ!」
「お、ここか」
なんだ、今の? ロランの指が触れた箇所から、まるで稲妻のように今まで経験したことのない何かが駆け巡った。それは決して悪いものじゃない。むしろ……。
「マルセル、今度はお前が私に翻弄される番だ。覚悟しろ」
「ひぃ、ぁっ!」
囁かれた言葉を飲み込む前に、ロランの指の動きを元にまた先程の何かがやってきた。あまりのことに思わず腰を引きかけたが、ロランの腕に許さないとばかりに引き戻される。そのまま片腕で腰を抱き込まれ、固定された。もちろん、もう片方の腕の指は俺の中を弄るのを止めない。
「んっ、はあ、あぁ、やんっ!」
なんだこれ、なんなんだこれ! ロランの指に暴かれるように、腰の奥から今まで経験したことない類の快感が次々に押し寄せてくる。それが全身隅々にまで浸透して、暴れだしたくなるような、力の抜けてしまいそうな、不思議な焦燥感に襲われた。衝撃的すぎて、喘ぎ声が止まらない。
「マルセル、確かにお前は経験豊かかもしれないが、男のここに気持ちよくなれる場所があるなんて、知らなかったみたいだな」
「ひぅ、ん、ロ、ラン。ロラン、ロラン……」
「ふっ、快感で訳が分からなくなって呼ぶのが私の名前なんて、唆るじゃないか。だが、拡張はしていたみたいだが知識がなくてまだ開発していないから、後ろだけじゃ完全にイけず、苦しいだろう?」
「ロラン。ロラン、あ、ふぅ」
あまりの快感に背中が戦慄く。気持ちいい。だが、もう一押しが足りない。あと少し、あと少しなのに。俺は半分意識の飛んだ頭で、まともに言うことをきかない指に叱咤をし、あるモノを探した。腰に当たるそれに、手を伸ばす。
「んっ、マルセル。今はお前が奉仕される時間だ。私のには触らなくていいんだよ」
「は、ぁ。欲しい。これ、欲し、い。中に、中に全部、欲しぃ……」
「っ、……。駄目だ、マルセル。私もお前にこれをあげたいが、現状私の指1本でいっぱいいっぱいのお前には、まだこれは早いよ。いつか、もう少し慣れたら、その時に存分に食わせてやるから、な? それまで我慢してくれ」
「んん、やぁ……」
「駄々をこねないで。もうそろそろイかせてやるから」
どうして? どうしてくれないの? こんなにガチガチにそそり立っているじゃないか。ロランだって俺の中に入りたいだろう。なんで我慢するんだ。あなたが欲しい、たまらなく欲しい。お願いだ、遠慮なんていらないから、俺に慈悲をくれ。
その時、また体勢を変えられた。世界がグッと持ち上がり、快感でフニャフニャと頼りなく揺れる背中を逞しい手で支えられる。ガクッと頭が仰け反って晒された首筋に、濡れた鼻とキスをされる感触がした。これは、対面座位というやつか。
「マルセル、こっちを向いてごらん」
「……?」
頭が蕩けたせいで上手く現状を飲み込めぬまま、言われた通り前を向く。目の前には、あの恐ろしく整った美しい黒い狼の顔があって、俺はその琥珀色をした目に真っ直ぐ射抜かれた。
「さあ、マルセル。手を前に持ってきて。そうそう、その調子だ。俺はお前の背中を支えるのと、後ろを弄るので手一杯だから、ソレはマルセルが擦ってくれないか」
ソレという言葉と、ロランの視線に導かれて下を向くと、そこにはロランの大きく太く、立派なものと、それより一回り小さな自分のものが向かい合うように対面させられているではないか。
「さあ、マルセルの好きにしていいんだよ」
「俺の、好きに……」
生唾を飲み込む。興奮して息が乱れる。殆ど何も考えず、本能的に俺は互いのペニスに手を伸ばし、両方を包み込むように握りこんだ。
デカい。特に、ロランのが。自分のだって興奮しすぎてパンパンになっているが、体格にみあって元からデカいらしいロランはそれ以上だ。今は凶悪な程その存在を主張している。
まず手始めに両手で作った手筒を上下させた。それだけでも、互いのものが擦れ合って、十分に気持ちいい。快感にヘコヘコと腰が勝手に動くせいで、裏筋までも満遍なく刺激されるのだ。
次は亀頭を刺激する。手筒にしなくても止まらない腰の動きのせいで互いのペニスが勝手に擦れ、刺激されるから、片手で纏めるだけでいい。余った手で纏められた2人分のペニスの上に掌をくっつけ、クルクルと円をかくように動かす。ペニスの長さが違うので少々やり辛いが、これもまた気持ちがいい。
ロランも気持ちがいいのだろう。ちらっと見上げた彼の顔は、眉間に皺を寄せ、快感に耐えるようにきつく目を閉じているものだった。
嬉しいやら気持ちいやらで、夢中になって手を動かす。
その時。
「ひんっ!」
突然、今まで目の前のことに夢中になって忘れていたロランの指が、忘れてくれるなと言うかのように、中で動き出し、主張をし始めたではないか。指は的確にあの何もかも無茶苦茶になってしまう俺のイイトコロを弄ってくる。
「ん、うっ、は、ふぅ、あぅ、あぁ!」
「はぁ、マルセル。気持ちいいみたいだな。私もそろそろ限界だ一緒にイこう」
突然、彼の指が俺のイイトコロを強く押した。脳天からつま先まで、荒れ狂う性感が奔流となって流れ、俺の全てを押し流す。
「────っ!」
「クッ!」
衝撃で海老反りになった俺の体を、反対的に前屈みになったロランが抱き抱え、2人の体が密着する。互いの腹に、温かい飛沫が飛び散った。快感が細胞までおかしくさせていくようだ。肌が擦れる感覚でさえ、今は耐えられないほど気持ちがいい。ああ、駄目だ。気持ちがいい。ガクガクと震える体をきつく抱きしめられ、柔らかく肌触りのいい毛皮の感触を感じながら、俺は意識を手放した。
獣人とのキスのやり方なんて分からなかったが、取り敢えず閉じられた唇を舐め上げ、吸い付くと、それが僅かに開かれたので、すかさず舌をねじ込む。
体の構造が人間と違うから勝手が難しいが、要領は人間と一緒だ。舐めて、しゃぶって、注ぎ込む。夢中になってそれを繰り返した。
伸ばした舌で、歯列を辿る。ああ、本当に犬歯が無いんだ。抜く時さぞ痛かったろうに。俺は犬歯がないのが気になって、しつこくしつこくそこを舐める。
恥ずかしいのか主人は頭を少しモゾモゾとさせていたが、俺が顔を両手で挟み込みやんわりと拘束すると、大人しくなった。歯列を舐めた後は、縮こまった舌を吸ったり、甘噛みしたり、好き放題する。そのまま暫く、彼の唇を堪能した。リップ音なんて可愛らしいものではなく、グチョグチョとみだりがましい水音が静かな部屋に響く。
どれくらいそうしていただろうか。散々やりたい放題してもういい加減満足した俺は、最後のひと押しにもう1度強く吸い付いたあと、唇を離す。体を起こして見下ろせば、そこには口を半開きにしてトロットロに蕩けた表情でこちらを見上げる主人の姿があった。
「はあっ、はあっ、はあっ……」
「ふふふ。キスひとつでこんなに息を乱して、堪らないな。どう、俺のキスはお気に召しましたか?」
「お、お、お、お気に召したもなにも、初めてなのに好き放題されて、何が何だか」
そーか、そーか、初めてだったのか。それはいいことを聞いた。もしやそうではとは思っていたが、本当にそうだったとはね。これは俺色に染め上げがいがあるというもの。これから先の行為への期待がさらに高まる。
「それは済まないことをした。なら今度は焦らず2人でゆっくり進めていこうな。ほら、そんなに緊張しないで。一緒に気持ちよくなろう」
そう言って俺は縮こまっていた主人のペニスへと手を伸ばす。剥き出しのソレを優しく握り込むと、主人の体がピクリと跳ねた。
「な、にを……」
「何って、とっても気持ちよくなれる方法を教えてあげようと思って。大丈夫、そんなに怖がるなよ。さっきはあんなに昂ってたじゃないか。自分の手で俺の中に挿れる夢想をしながら、弄ったんだろう? いっぱい擦って、締め付けてもらって、注ぎ込むことを考えながら、ね? なんていじらしい人だ。ああ、そんな顔しないで。別に責めているわけじゃないんだからさ」
我ながらペラペラとよく口が回る。俺も浮かれているのかもしれないな。ガチガチに固まった主人は、俺にされるがまま、なにも反応ができないようだ。それをいいことに俺は勝手にどんどんと事を進めていく。主人のペニスを握る手に少し力を込め、ゆっくりと動かし始める。
「あ、うっ……」
「どう、気持ちいい? 他人の手を借りてやると、また別の良さがあるだろう」
言いながらペニスを抜きあげる手付きに緩急をつけたり、先端を擽ったり、陰嚢を揉んだり、手を変え品を変え主人の性器を虐めぬく。血管の浮き出した竿を強く扱いたら、裏筋を指でスウッと辿って、張り出したカリを指で作った輪で何度も繰り返しいじくって。そうするうちに萎んでいた主人の性器は俺の手の中で益々硬さを増し、どんどんと大きく太く育っていった。
「っ、おい、もう」
「おい、じゃないだろう。俺の事、『マルセル』って名前で呼んでくれよ。さっきも頼んだじゃんか。お願いだよ、あなたに名前で呼ばれると、全身がゾクゾクして堪んないんだ」
言い終えるや否や、体を伸ばして主人の耳に唇でパクリと噛み付く。口内で先端を嬲れば、大きな体は面白いくらいにビクビクと小刻みに跳ね上がった。
「それ、やめろぉ……!」
「えー、どうしよっかなあ。だっていい反応するんだもんなあ」
あー、俺、今絶対悪い顔してる。自分でもいやらしいニヤニヤ笑いが顔に出ているのが分かるもの。でも、悪戯は止めてやれない。だってこの人、本当に体中敏感で、反応が良すぎるんだ。恨むんなら敏感な己自身を恨んでくれ。
今度は乳首にでも吸い付いてやったら、どうなっちゃうんだろう。どう転んでもエロいだろうな、めっちゃ気になる。
そうして主人の体を玩具にして遊び、よからぬ事を企む俺に、彼は本能的になにか危機感を覚えたのだろう。やられてばかりではいけないとばかりに、涙目で攻勢に出てきた。快感で震える手で、俺の体をたどたどしくまさぐり始めたのだ。
「おや、驚いた。あなたも俺になにかしてくれるのか?」
「私ばかりいい目を見ていては不公平だからな。マルセルも自分で言っていたじゃないか、『一緒に気持ちよくなろう』って。……それと、『あなた』じゃなくて『ロラン』と呼べ。私もマルセルに名前を呼ばれたい」
「っ!」
主人が……いや、ロランが俺にくれた言葉に、一気に余裕がなくなる。名前で呼んでくれた、名前を呼ぶことを許可してくれた、そして、俺に触れようとしてくれた。様々な思いが体の中を駆け巡る。嬉しい、嬉しくて堪らない。たったこれだけのことでこんなにも幸せになれるなんて、知らなかった!
「……ロラン。ロラン、ロラン! ああ、俺の愛しい人! どれだけこの日を待ちわびたことか、ようやくあなたの名前を呼べる!」
両腕をロランの首に絡め、もう一度、唇にかぶりつく。今度は先程までの揶揄うものとは違う。もっと直接的で欲をのせた、余裕のないものだ。咄嗟のことに反応できずに半開きになった彼の唇の隙間に舌をねじ込み、絡め、夢中で貪る。
俺の突然の息もつかせぬ猛攻にロランは最初こそ戸惑っていたようだが、すぐさま俺の体をまさぐるのを再開した。
ロランの手は最初は一生懸命彼の唇を求める俺の頭を撫で、首を通過し肩峰を辿り、胴体へとたどり着く。ただ撫でて手を当てるだけの稚拙な愛撫だったが、それにすら今は腰が抜けそうなほど痺れてしまう。
ロランの手の温かさ、彼の体の表面を覆う短く柔らかい毛の感覚、大きく広いその手の平。そしてなにより、彼が彼自身の意思で俺に触れて気持ちよくしようと思っていてくれていること。その何もかもが俺を高ぶらせる。
「ん、はあ。マルセル、固く、なってる……」
彼の手の触れる感触を少しでも逃すまいと集中して、俺のキスが少し疎かになった合間に、ロランがなんとかそう口にしてきた。言われてみれば確かに、俺のソレはロランの何もかもに煽られてズボンの中できつく自分を主張し始めていて、愛しさのあまり体を擦り付けた際にそれがロランにも分かったらしい。
「そりゃあね。愛しい人と触れ合えば、否が応でもこうなるさ。ロランだってほら、もう限界なんじゃないか?」
「あ、う」
腕を下ろし、ロランの性器を一撫でしてやれば、彼は面白いくらいに反応する。そのことにまた笑みを深くすれば、それを見たロランは涙目で抗議の声を上げた。
「ちょ、ちょっと待て! さっきからマルセルばっかり、ズルいぞ!」
「ズルいって、なにが?」
「だって、私はマルセルに触れられるだけでいっぱいいっぱいなのに、そっちは私が何をしても余裕綽々な満面の笑みで次々とよからぬ事を企んで……ズルい! 私だってマルセルが前後不覚になるくらい気持ちよくさせたい!」
「別に余裕綽々って程でもないけどな。ロランだって、自分の足に当たる硬いものが何かわからないほど世間知らずってわけじゃないでしょう。俺だってしっかり興奮してるんだよ。それでも余裕に見えるのなら、経験の差もあるし、仕方ないんじゃない?」
「経、験……」
ん? なんでそこで引っかかったような顔をするの? 別に俺なんもおかしなこと言ってないと思うんだけど。お互いそれぞれの人生で短くはない時間を生きてきたのだから、世間知らずの箱入り息子のロランと、軍人として世界中を飛び回っていた俺とじゃ色々違うに決まってる。
「ロラン、どうした?」
「そうか、そうか。そうだったな。たしかに私は世間知らずだ。世情に疎いし世故にもたけていない。人生経験にも乏しいし、対人関係は壊滅的だ。……だがな、だからって愛を確かめ合う場で、今までの相手のことを匂わすような発言が許されないものだってことぐらい分かっているつもりだ」
「へ?」
最初、ロランの言った言葉の意味が上手く分からなくて、間抜けな声を出して彼の方を見た。ロランの方も熱で潤んでいて色っぽい筈なのに、ジトッとした目付きでこっちを見ている。しばし見つめ合った後、数瞬遅れて馬鹿な俺はようやくロランが俺の『経験の差』という言葉に、過去俺が寝てきた人間たちの影を敏感に感じとったのだということに気がついた。
「ロ、ロラン! 待ってくれ! 今のはそういった意味じゃなくて!」
「ほーう、ならどういう意味があるんだ? 私を揶揄いついでに出た言葉のあやだなんて言っても、納得しないぞ」
ロランの目には、明らかな怒りの火が燻っている。これはちょっとやそっとの事じゃ、収まりそうにない。
今や、形勢は逆転した。
俺がロランを虐めてロランがまごつく状況から一点、この場をどう切り抜けようかと慌てる俺とそれを追求するロラン、という図になってしまったのだ。
「ロラン、俺が悪かった! あんなこと言うなんて、どうかしてたよ。すまない、許してくれ」
「そいつらにも私にしたように熱心に言葉をかけたのか?」
「とんでもない! そんなことあるもんか! ロラン、俺が恋をしたのも、愛を捧げたのも、こんなに心を尽くして手に入れたいと思ったのだって、後にも先にも誓ってあなた1人だけだ。本当だよ。そりゃあ経験がないと言ったら嘘になるけど……でも、今までのことは全部お遊びもいいところだ! もう2度とあんなこと言わないから、許してくれ。あなたに心を疑われるのは、とても辛い。それに、折角のロランとの最初の思い出を、こんなことで台無しになんてしたくないんだ!」
そっぽを向いてしまったロランの体に擦り寄り、必死になって懇願する。ああ、どうして俺はあんなこと言ってしまったんだろう! 間抜けにも程がある。せっかくロランが心を開き始めてくれていたのに、軽はずみな発言で全部台無しにしてしまうなんて!
「ロラン、ロラン。ごめんよ、どうか機嫌を直して。俺が信じられないっていうのなら、今は一旦止めてもいい。あなたにもう一度信じてもらえるよう、俺は前にも増して頑張るから、そうしていつか俺の行いがあなたのお眼鏡にかなった時に、全部仕切り直すことにしようか」
「……それは嫌だ」
ああ、そんな、女神様! なんてご無体な! せっかくここまでたどり着いたのに、これで全部おしまいなんて!
「今更止めていつか仕切り直しなんて、嫌だ。私が我慢できない。愛もないのに運良くマルセルと寝れただけの奴らに負けたような気分だし、そいつらのせいでお預けを食らわされるのは滅法ごめんだ。マルセルは他でもない、私のものだと証明してみせる」
「ロラ……ヒャッ!」
ロランの言葉を上手く飲み込めず惚けていたら、おもむろにその大きく分厚い手で尻を掴まれた。思わず、情けない声が出る。先程まで俺の腰のあたりを摩るだけだったはずのその手は、存外器用に俺の尻を揉み込む。
「ひっ、ぅん。ロ、ロラン。なにを」
「マルセル、お前の言う通りだ。獣人と人間とじゃ無理だとか、あんな偉そうにご高説を垂れていたが、私はさっき1人でしていた時、どうにかこうにかマルセルのここに自分のモノをぶち込んで、中に出して汚してやることばっかり考えていた」
ロランの手は片手ですっぽり俺の尻臀が包み込めるほど大きい。それが俺の尻を揉みしだくのだ。手付きは巧みとは言い難いが、情熱と執着を感じさせる手付きに、俺は頭が蕩けてしまいそうだ。
「ッ!」
ロランの、指が。指が、着衣の上からではあるが、俺のアナルに触れた。そのままズボンの薄い布越しに、グリグリと入口を弄ぶ。
「ロラン、それはっ」
「ああ、そうだったな。まずはこれを脱がさないと」
世界がグルリと反転した。背中に柔らかい感触があり、目の前には俺に覆い被さるようにするロランが居る。先程までとは反対に、ロランにベッドに押し倒されたのだ。
突然のことに上手く現状を認識できず、俺がポカンとしている間に、あっという間の早業でロランは俺のズボンを緩め、スルリと足から引き抜いてしまった。
脱がせたズボンを遠くに放り、ロランはベッドサイドの辺りをゴソゴソと探っている。
「ロラ、ん!」
『何をしているんだ?』とその後に続くはずだった言葉は最後まで言えず、途中で情けなくひっくり返った。ベッドサイドにロランが先程1人遊びの時にでも使っていた潤滑剤でもあったのだろうか。恐らくそれで濡らしたであろう指が、俺のアナルにあてがわれたのだ。指はそのままゆっくりと、しかし確かな意志を持って俺の中に入り込んでくる。
「あ、あ、あ、あ、あ」
凄まじい重量感。肺から空気が押し出されるように、勝手に声が出る。なんということだ。指ですら太い。1本でこれか。信じられない。指1本でこれなら、ロランのモノを入れてしまったら、俺はどうなってしまうんだろう。
「確か、ここら辺にあるはずなんだが」
ロランが何か言っているが、そちらに意識を向けることができない。中を探るように指を動かされて、それどころではないからだ。ロランの指は俺の中で窮屈そうにしながらも、あちこち擦ったり、引っ掛けたりするような動きを繰り返している。
ロランが、俺の中に。異物感に支配されて気持ち悪くなってもいいはずなのに、その事だけに気持ちを持ってかれて、感極まってそれだけで満たされてしまう。
だが、もちろんことはそこでは終わらなかった。
「っ!」
「お、ここか」
なんだ、今の? ロランの指が触れた箇所から、まるで稲妻のように今まで経験したことのない何かが駆け巡った。それは決して悪いものじゃない。むしろ……。
「マルセル、今度はお前が私に翻弄される番だ。覚悟しろ」
「ひぃ、ぁっ!」
囁かれた言葉を飲み込む前に、ロランの指の動きを元にまた先程の何かがやってきた。あまりのことに思わず腰を引きかけたが、ロランの腕に許さないとばかりに引き戻される。そのまま片腕で腰を抱き込まれ、固定された。もちろん、もう片方の腕の指は俺の中を弄るのを止めない。
「んっ、はあ、あぁ、やんっ!」
なんだこれ、なんなんだこれ! ロランの指に暴かれるように、腰の奥から今まで経験したことない類の快感が次々に押し寄せてくる。それが全身隅々にまで浸透して、暴れだしたくなるような、力の抜けてしまいそうな、不思議な焦燥感に襲われた。衝撃的すぎて、喘ぎ声が止まらない。
「マルセル、確かにお前は経験豊かかもしれないが、男のここに気持ちよくなれる場所があるなんて、知らなかったみたいだな」
「ひぅ、ん、ロ、ラン。ロラン、ロラン……」
「ふっ、快感で訳が分からなくなって呼ぶのが私の名前なんて、唆るじゃないか。だが、拡張はしていたみたいだが知識がなくてまだ開発していないから、後ろだけじゃ完全にイけず、苦しいだろう?」
「ロラン。ロラン、あ、ふぅ」
あまりの快感に背中が戦慄く。気持ちいい。だが、もう一押しが足りない。あと少し、あと少しなのに。俺は半分意識の飛んだ頭で、まともに言うことをきかない指に叱咤をし、あるモノを探した。腰に当たるそれに、手を伸ばす。
「んっ、マルセル。今はお前が奉仕される時間だ。私のには触らなくていいんだよ」
「は、ぁ。欲しい。これ、欲し、い。中に、中に全部、欲しぃ……」
「っ、……。駄目だ、マルセル。私もお前にこれをあげたいが、現状私の指1本でいっぱいいっぱいのお前には、まだこれは早いよ。いつか、もう少し慣れたら、その時に存分に食わせてやるから、な? それまで我慢してくれ」
「んん、やぁ……」
「駄々をこねないで。もうそろそろイかせてやるから」
どうして? どうしてくれないの? こんなにガチガチにそそり立っているじゃないか。ロランだって俺の中に入りたいだろう。なんで我慢するんだ。あなたが欲しい、たまらなく欲しい。お願いだ、遠慮なんていらないから、俺に慈悲をくれ。
その時、また体勢を変えられた。世界がグッと持ち上がり、快感でフニャフニャと頼りなく揺れる背中を逞しい手で支えられる。ガクッと頭が仰け反って晒された首筋に、濡れた鼻とキスをされる感触がした。これは、対面座位というやつか。
「マルセル、こっちを向いてごらん」
「……?」
頭が蕩けたせいで上手く現状を飲み込めぬまま、言われた通り前を向く。目の前には、あの恐ろしく整った美しい黒い狼の顔があって、俺はその琥珀色をした目に真っ直ぐ射抜かれた。
「さあ、マルセル。手を前に持ってきて。そうそう、その調子だ。俺はお前の背中を支えるのと、後ろを弄るので手一杯だから、ソレはマルセルが擦ってくれないか」
ソレという言葉と、ロランの視線に導かれて下を向くと、そこにはロランの大きく太く、立派なものと、それより一回り小さな自分のものが向かい合うように対面させられているではないか。
「さあ、マルセルの好きにしていいんだよ」
「俺の、好きに……」
生唾を飲み込む。興奮して息が乱れる。殆ど何も考えず、本能的に俺は互いのペニスに手を伸ばし、両方を包み込むように握りこんだ。
デカい。特に、ロランのが。自分のだって興奮しすぎてパンパンになっているが、体格にみあって元からデカいらしいロランはそれ以上だ。今は凶悪な程その存在を主張している。
まず手始めに両手で作った手筒を上下させた。それだけでも、互いのものが擦れ合って、十分に気持ちいい。快感にヘコヘコと腰が勝手に動くせいで、裏筋までも満遍なく刺激されるのだ。
次は亀頭を刺激する。手筒にしなくても止まらない腰の動きのせいで互いのペニスが勝手に擦れ、刺激されるから、片手で纏めるだけでいい。余った手で纏められた2人分のペニスの上に掌をくっつけ、クルクルと円をかくように動かす。ペニスの長さが違うので少々やり辛いが、これもまた気持ちがいい。
ロランも気持ちがいいのだろう。ちらっと見上げた彼の顔は、眉間に皺を寄せ、快感に耐えるようにきつく目を閉じているものだった。
嬉しいやら気持ちいやらで、夢中になって手を動かす。
その時。
「ひんっ!」
突然、今まで目の前のことに夢中になって忘れていたロランの指が、忘れてくれるなと言うかのように、中で動き出し、主張をし始めたではないか。指は的確にあの何もかも無茶苦茶になってしまう俺のイイトコロを弄ってくる。
「ん、うっ、は、ふぅ、あぅ、あぁ!」
「はぁ、マルセル。気持ちいいみたいだな。私もそろそろ限界だ一緒にイこう」
突然、彼の指が俺のイイトコロを強く押した。脳天からつま先まで、荒れ狂う性感が奔流となって流れ、俺の全てを押し流す。
「────っ!」
「クッ!」
衝撃で海老反りになった俺の体を、反対的に前屈みになったロランが抱き抱え、2人の体が密着する。互いの腹に、温かい飛沫が飛び散った。快感が細胞までおかしくさせていくようだ。肌が擦れる感覚でさえ、今は耐えられないほど気持ちがいい。ああ、駄目だ。気持ちがいい。ガクガクと震える体をきつく抱きしめられ、柔らかく肌触りのいい毛皮の感触を感じながら、俺は意識を手放した。
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