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ちょっと、好きという気持ちが爆発して暴走しちゃったけど大事にしたいんだ友哉くんのこと、とベッドインした次の日曜日の買い物デートの時、僕が待ち合わせ場所についた途端、告げられた。僕は答えた。
「殊勝な発言で」
「本気だから。好きな子と両思いになれるなんて滅多にないし、そもそもあんまり人を好きにならないし、男の子と両思いなんてなおさら難しいし、体の相性いいし、好きだし、ずっと隣にいてほしいって思うし、抱きしめたいし、まばゆい奇跡だと思ってるし、一緒に年取っていきたいし、もっといい景色見せたいし」
まくしたてて彼は赤面した。
「とにかく大好きです。これからよろしくお願いします」
僕も照れて「こちらこそよろしくねっ」
ふたりは固く握手をした。
都心のショッピングモール。ファストファッションのお店でウィンドウショッピングをしながら僕は言った。
「光化学スモッグ注意放、今日発令してたね」
「え、そう」
「流れてたじゃん」
「聞こえなかったな」
「注意散漫」
「だってー」
「ダブルジッパーは使い勝手が悪い。スナップボタンついてる服、僕、好きなんだ。これイロチ買いしようかな黒と白」
僕はスナップボタンがついた前開きの黒のカーディガンを手に取った。彼は、似合いそうと僕の体にその服をあてた。
彼の今日のファッションのコーディネートは、薄茶色のシャツにエメラルドグリーンのストールを首に巻いて濃紺のストレートジーンズにローファーにアウトドアブランドのコットンキャンバスのトートバックという無難な服装。僕は、お気に入りの古着のピンク色のジャージに古着の、あたりのついたストレートジーンズに白いキャンバススニーカーに黒いリュック。僕は物色しながら
「秋って何着るか難しいよね」
「そうだね」
僕は頭ひとつ背の高い俊明を見上げて「髪切った?」
「うん、切った」
「いかにも、切りたて、だね」
「どうかな?」
「黒髪センター分け似合ってるよ。顔が良すぎて直視したら天に召されそう」
彼はうれしそうにした。
「もし将来ハゲても俺のこと好きでいてくれる?」
「それはどうだろう」
「一緒のお墓に入ってくれる?」
「今すぐ答えが出せる問題じゃないな」
「いけず」
笑いあって、人がいない場所で恋人つなぎで手をつないだ。俊明は「人生最後の日、何が飲みたい?」
僕は悩んだ。普段はウーロン茶ばかり飲んでいるが最後に飲むには味気ない。緑茶ほうじ茶は渋い。ふいに「コーラ」「え、一緒。俺もコーラだよ」「本当?」「マジマジ」「僕たち、感性が同じだね」僕が笑ったら俊明は目を輝かせて笑ってキスしてきた。
この日、ランチを奢ってもらった。ハンバーガーショップでハンバーガーセットをふたりとも頼んだ。声が通らない僕は飲食店で注文するのが大の苦手だった。さりげなく俊明が注文してくれて僕は席を探してとった。
俊明がふたり分のトレーに入ったセットを持って僕の確保していた席に座った。隣のテーブルに座る二人組の女性がチラッと俊明を見たのを彼はまばゆい0円スマイルで返した。女性達から「カッコイイ」小さく感嘆の声があがる。
ハンバーガーを齧りながら話す。
「ハンバーガーショップの店員さんと対峙するの苦手だから俊明ありがとう」
「恐れることなかれ。店員の子、顔、アメーバみたいだったよ」
僕は絶句して
「僕も蝉の裏側みたいな顔してるけど」
「まーそーだねー」
「おいっ」
「笑顔作るなんて簡単じゃん」
満面の笑みでこちらに顔を向ける。キランッ☆ まぶしいゼ。
「形状記憶でもしてんの」
「いくらあったって困らないじゃん」
「誰にとっても印象を良くしたいんだね」
「童貞とは考え方違うし、人は外側しか見ないし。俺だって若い頃、軽犯罪くらいしたし、そう見えないでしょ」
彼は、コーラをストローで音を立てて吸った。ストローが噛み潰されてデコボコになっている。
「そう見えないね」
「仲間と多少の犯罪を犯して、悪いこともして、経験をたくさんして育たないと、立派な大人になれないんじゃないかな。つらさをバネにして」
「僕はつらさに現状、押しつぶされそうだけど、だから、引きこもっちゃってるし」
「今度、合コン、一緒に行く? 女はネイル褒めとけば釣れるよ。俊明くん、顔悪くないから女釣れるよ」
「遠慮しとく」
俊明は胸をなでおろした。
「断ってくれると思った。俺におあつらえ向きだもん。友哉くんって。ずっと一緒にいよな」
僕は苦笑いしてフライドポテトに手をのばした「フライドポテトって原価激安だよな」美味しく頂こうとしてた僕に彼は水を差した。彼はとってつけたように
「俺の分のポテトも食べていいよ」
「ありがとう」
「ほら、あ~ん」
しなしなの干からび気味の細いフライドポテトを手に持って差し出してくる。僕は口を大きくあけて食べた。塩気が口に広がる。
「おいしい」
「友哉くんって食べるの早いよね。誰も奪いはしないよ。ゆっくりお食べ」
「うん」
「好きな料理ある?」
「美味しい料理」
「今度紅葉見に行こうよ。ほら、京都とかいいんじゃない、泊まりで」
僕は、恋人と旅行できることにうれしかった。ルンルンお嫁さん気分。
「いいわね。もう秋ね。季節が過ぎるのって早いわ。あっという間に一年過ぎてしまうのでしょうね」
「そうだね、これから一緒に年を重ねていきたいな」
「そうね。わたしたち、年老いても末永く仲良くしていたいわね」
「かわいいなあこいつぅ」
おでこをこつんとされた。わたしははにかんだ。
お開きの時間になった。お互いの家は近い。家路への道の歩道橋の上で「ここから飛び降りたら死ねるかな?」彼が尋ねた。僕は「かまってちゃんか?」彼は「俊明くん限定でね」僕が「今日はエロいことしなくていいの?」
彼は真面目に「しばらくおあずけで。大事にしたいんだ。友哉くんのこと宝物だから」
「殊勝な発言で」
「本気だから。好きな子と両思いになれるなんて滅多にないし、そもそもあんまり人を好きにならないし、男の子と両思いなんてなおさら難しいし、体の相性いいし、好きだし、ずっと隣にいてほしいって思うし、抱きしめたいし、まばゆい奇跡だと思ってるし、一緒に年取っていきたいし、もっといい景色見せたいし」
まくしたてて彼は赤面した。
「とにかく大好きです。これからよろしくお願いします」
僕も照れて「こちらこそよろしくねっ」
ふたりは固く握手をした。
都心のショッピングモール。ファストファッションのお店でウィンドウショッピングをしながら僕は言った。
「光化学スモッグ注意放、今日発令してたね」
「え、そう」
「流れてたじゃん」
「聞こえなかったな」
「注意散漫」
「だってー」
「ダブルジッパーは使い勝手が悪い。スナップボタンついてる服、僕、好きなんだ。これイロチ買いしようかな黒と白」
僕はスナップボタンがついた前開きの黒のカーディガンを手に取った。彼は、似合いそうと僕の体にその服をあてた。
彼の今日のファッションのコーディネートは、薄茶色のシャツにエメラルドグリーンのストールを首に巻いて濃紺のストレートジーンズにローファーにアウトドアブランドのコットンキャンバスのトートバックという無難な服装。僕は、お気に入りの古着のピンク色のジャージに古着の、あたりのついたストレートジーンズに白いキャンバススニーカーに黒いリュック。僕は物色しながら
「秋って何着るか難しいよね」
「そうだね」
僕は頭ひとつ背の高い俊明を見上げて「髪切った?」
「うん、切った」
「いかにも、切りたて、だね」
「どうかな?」
「黒髪センター分け似合ってるよ。顔が良すぎて直視したら天に召されそう」
彼はうれしそうにした。
「もし将来ハゲても俺のこと好きでいてくれる?」
「それはどうだろう」
「一緒のお墓に入ってくれる?」
「今すぐ答えが出せる問題じゃないな」
「いけず」
笑いあって、人がいない場所で恋人つなぎで手をつないだ。俊明は「人生最後の日、何が飲みたい?」
僕は悩んだ。普段はウーロン茶ばかり飲んでいるが最後に飲むには味気ない。緑茶ほうじ茶は渋い。ふいに「コーラ」「え、一緒。俺もコーラだよ」「本当?」「マジマジ」「僕たち、感性が同じだね」僕が笑ったら俊明は目を輝かせて笑ってキスしてきた。
この日、ランチを奢ってもらった。ハンバーガーショップでハンバーガーセットをふたりとも頼んだ。声が通らない僕は飲食店で注文するのが大の苦手だった。さりげなく俊明が注文してくれて僕は席を探してとった。
俊明がふたり分のトレーに入ったセットを持って僕の確保していた席に座った。隣のテーブルに座る二人組の女性がチラッと俊明を見たのを彼はまばゆい0円スマイルで返した。女性達から「カッコイイ」小さく感嘆の声があがる。
ハンバーガーを齧りながら話す。
「ハンバーガーショップの店員さんと対峙するの苦手だから俊明ありがとう」
「恐れることなかれ。店員の子、顔、アメーバみたいだったよ」
僕は絶句して
「僕も蝉の裏側みたいな顔してるけど」
「まーそーだねー」
「おいっ」
「笑顔作るなんて簡単じゃん」
満面の笑みでこちらに顔を向ける。キランッ☆ まぶしいゼ。
「形状記憶でもしてんの」
「いくらあったって困らないじゃん」
「誰にとっても印象を良くしたいんだね」
「童貞とは考え方違うし、人は外側しか見ないし。俺だって若い頃、軽犯罪くらいしたし、そう見えないでしょ」
彼は、コーラをストローで音を立てて吸った。ストローが噛み潰されてデコボコになっている。
「そう見えないね」
「仲間と多少の犯罪を犯して、悪いこともして、経験をたくさんして育たないと、立派な大人になれないんじゃないかな。つらさをバネにして」
「僕はつらさに現状、押しつぶされそうだけど、だから、引きこもっちゃってるし」
「今度、合コン、一緒に行く? 女はネイル褒めとけば釣れるよ。俊明くん、顔悪くないから女釣れるよ」
「遠慮しとく」
俊明は胸をなでおろした。
「断ってくれると思った。俺におあつらえ向きだもん。友哉くんって。ずっと一緒にいよな」
僕は苦笑いしてフライドポテトに手をのばした「フライドポテトって原価激安だよな」美味しく頂こうとしてた僕に彼は水を差した。彼はとってつけたように
「俺の分のポテトも食べていいよ」
「ありがとう」
「ほら、あ~ん」
しなしなの干からび気味の細いフライドポテトを手に持って差し出してくる。僕は口を大きくあけて食べた。塩気が口に広がる。
「おいしい」
「友哉くんって食べるの早いよね。誰も奪いはしないよ。ゆっくりお食べ」
「うん」
「好きな料理ある?」
「美味しい料理」
「今度紅葉見に行こうよ。ほら、京都とかいいんじゃない、泊まりで」
僕は、恋人と旅行できることにうれしかった。ルンルンお嫁さん気分。
「いいわね。もう秋ね。季節が過ぎるのって早いわ。あっという間に一年過ぎてしまうのでしょうね」
「そうだね、これから一緒に年を重ねていきたいな」
「そうね。わたしたち、年老いても末永く仲良くしていたいわね」
「かわいいなあこいつぅ」
おでこをこつんとされた。わたしははにかんだ。
お開きの時間になった。お互いの家は近い。家路への道の歩道橋の上で「ここから飛び降りたら死ねるかな?」彼が尋ねた。僕は「かまってちゃんか?」彼は「俊明くん限定でね」僕が「今日はエロいことしなくていいの?」
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