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2 閉ざされた私たちと違和感
遊戯
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怖さを紛らわすため、八人でしりとりをした。提案は、湖さんがしてくれた。湖さんは、肌の色が黒く、彼女曰く「南国出身」らしい。髪は水色に染めており、いつも花の髪飾りをしている。彼女は真の楽観主義であり、また天然な性格でもあるから、クラスでも時たまおかしな発言を連発することがあり、いい意味でいえばクラスに笑いを巻き起こす女子。悪い意味でいえば馬鹿ということになる。
邪魔な机を後ろに下げて、イスで円卓を囲んでしりとりが始まった。最初は自分もわざわざ“しりとり”をやるなんて、ばかばかしい、子供っぽいことをやるものだと小馬鹿にしていたが、やりだすと意外にもハマってしまった。
特にただのしりとりだけにとどまらず、制限をつけて遊ぶしりとりが意外にも奥深く面白い。例えば、「三文字限定」のしりとりだったり、山手線ゲームらしく時間制限を設けてのしりとりだったりといったような制限によって、ゲームオーバーの概念や詰まる概念が生まれ、より面白さが際立つ。
ただ、そういったしりとりをやっていくうち、ただのしりとりに飽きてきたのか、はたまたネタが切れたのか、外山が絵しりとりをやろうと提案しだした。彼の机の中に入っていたラクガキ用のルーズリーフ一枚を手に取って、みんなにそれを見せた。
自分はそのルーズリーフを見ていると、なんだか不思議な気持ちになった。あの絵の下手な外山が絵しりとりの提案をするのに関しては、非常にレアなケースだと感じた。一度、外山が他の友達に彼の絵心のなさを揶揄われていたような記憶がどこかにあった故だ。
自分を含めても男子三人、女子五人というメンバーであるため、絵しりとりに対する反対意見はなかった。自分と外山は絵が下手なのはお互い承知の上であるが、それ以外の人たちはみんな絵がうまい。
案の定、下手な絵が二つ連続で続いた後に、うまい絵が六つ連続で続くという構図が成り立った。飯村もほかの女子にひけを取らないほどの絵のうまさ、分かりやすさがある。
絵しりとりで二十分ほど盛り上がっただろうか。急に何かを思い出したように柿本さんが椅子から立ち上がった。
「ねえ、このまましりとり続けていてもどうにもならなくない?」
一瞬、冷たい空気が教室を流れた。
「う、うん・・・・・・」
柿本さんの隣にいた能勢さんが小声で一番早く反応した。能勢さんは、ピンク色に髪を染めた女の子。柿本さんの隣の席であり、なおかつ自分の前の席の人ということになるのではあるが、前述したとおり柿本さんとは滅多に会話を交わすことがない。席が近いということもあり、何回か能勢さんと自分は会話を交わしたことはあるのだが、別にそんな変わったところのない普通の女の子という印象だった。強いて言えば少し気弱な感じもするが、それもある意味おしとやかという形で言い換えられるし、柿本さんが能勢さんにたいして毛嫌いする理由はよく分からない。もっとも柿本さんと能勢さんとの関係が険悪であるというのはこちら側の勝手な想像にすぎないのだが。
ただ、そういう認識でいたため、柿本さんの言葉に対して能勢さんが一番早く反応したのは少し驚きではあった。
「んじゃ、どうするんだよ?」
絵しりとりで使われたルーズリーフを右手に持ちながら、外山が言った。それに対して柿本さんが答えた。
「抜け出せる道があるかどうか探してみない?もしくは、だれか先生がいないかどうか」
「ああ、そうだな」
外山はあっさり柿本さんの提案を受け入れた形となった。いつもなんだかんだ自信たっぷりな外山がこのメンバーの中でまとめ役のような存在になっているため、外山の言うことに自然とみんなが従うような形となっていた。
邪魔な机を後ろに下げて、イスで円卓を囲んでしりとりが始まった。最初は自分もわざわざ“しりとり”をやるなんて、ばかばかしい、子供っぽいことをやるものだと小馬鹿にしていたが、やりだすと意外にもハマってしまった。
特にただのしりとりだけにとどまらず、制限をつけて遊ぶしりとりが意外にも奥深く面白い。例えば、「三文字限定」のしりとりだったり、山手線ゲームらしく時間制限を設けてのしりとりだったりといったような制限によって、ゲームオーバーの概念や詰まる概念が生まれ、より面白さが際立つ。
ただ、そういったしりとりをやっていくうち、ただのしりとりに飽きてきたのか、はたまたネタが切れたのか、外山が絵しりとりをやろうと提案しだした。彼の机の中に入っていたラクガキ用のルーズリーフ一枚を手に取って、みんなにそれを見せた。
自分はそのルーズリーフを見ていると、なんだか不思議な気持ちになった。あの絵の下手な外山が絵しりとりの提案をするのに関しては、非常にレアなケースだと感じた。一度、外山が他の友達に彼の絵心のなさを揶揄われていたような記憶がどこかにあった故だ。
自分を含めても男子三人、女子五人というメンバーであるため、絵しりとりに対する反対意見はなかった。自分と外山は絵が下手なのはお互い承知の上であるが、それ以外の人たちはみんな絵がうまい。
案の定、下手な絵が二つ連続で続いた後に、うまい絵が六つ連続で続くという構図が成り立った。飯村もほかの女子にひけを取らないほどの絵のうまさ、分かりやすさがある。
絵しりとりで二十分ほど盛り上がっただろうか。急に何かを思い出したように柿本さんが椅子から立ち上がった。
「ねえ、このまましりとり続けていてもどうにもならなくない?」
一瞬、冷たい空気が教室を流れた。
「う、うん・・・・・・」
柿本さんの隣にいた能勢さんが小声で一番早く反応した。能勢さんは、ピンク色に髪を染めた女の子。柿本さんの隣の席であり、なおかつ自分の前の席の人ということになるのではあるが、前述したとおり柿本さんとは滅多に会話を交わすことがない。席が近いということもあり、何回か能勢さんと自分は会話を交わしたことはあるのだが、別にそんな変わったところのない普通の女の子という印象だった。強いて言えば少し気弱な感じもするが、それもある意味おしとやかという形で言い換えられるし、柿本さんが能勢さんにたいして毛嫌いする理由はよく分からない。もっとも柿本さんと能勢さんとの関係が険悪であるというのはこちら側の勝手な想像にすぎないのだが。
ただ、そういう認識でいたため、柿本さんの言葉に対して能勢さんが一番早く反応したのは少し驚きではあった。
「んじゃ、どうするんだよ?」
絵しりとりで使われたルーズリーフを右手に持ちながら、外山が言った。それに対して柿本さんが答えた。
「抜け出せる道があるかどうか探してみない?もしくは、だれか先生がいないかどうか」
「ああ、そうだな」
外山はあっさり柿本さんの提案を受け入れた形となった。いつもなんだかんだ自信たっぷりな外山がこのメンバーの中でまとめ役のような存在になっているため、外山の言うことに自然とみんなが従うような形となっていた。
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