心の傷は残り続ける

濃霧

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5 心の爆弾

用意

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 さて、なぜ自分たちが警備室を真っ先に訪れたのかについてだが、それは荻原さんが、犯人が潜んでいるとするならば入るために鍵が必要な特別教室である可能性が高いとふんでいるからである。そのため、この警備室にない鍵を探せば、犯人が潜んでいる場所が自ずと見えてくるというわけだ。しかし、警備室になかった鍵は「職員室」の鍵と「校門」の鍵のみだった。ほかの鍵は全てこの警備室にあった。
 ということは、荻原さんの推理は外れということなのだろうか。ただ、鍵ごと持っていけばすぐに隠れ場所がばれてしまうというところまで考えると、鍵を借りずに特別教室に潜んでいる可能性は十分に考えられるため、まだ荻原さんの推理が外れだと確定したわけではない。また、荻原さんもむしろそれが当然であるかのように、その状況に対して深く頷いていた。
 また、自分たちが警備室に最初来た理由はもう一つあった。そこまで考えている点において荻原さんは流石だなと思った。
 外山は荻原さんに言われた通り、体育倉庫の鍵を盗んで彼の制服のズボンのポケットにしまった。外山が最初に荻原さんにそう指示されたとき、外山は「何で?」と軽く聞き返したが、荻原さんは何も答えなかった。少し沈黙ののち、彼は自分ではっと何か気付いたかのように「なるほどね」と言い、彼女の指示に従順に従った。自分としては、彼女の意図を完璧に汲み取ることはできなかったが、特に彼女に対して聞くことはなくそのままその場を流した。聞いたところで、単に外山の二の舞になるだけだ。
 警備室に滞在していた時間は五分くらいだろうか。時間の感じ方は人間非常にあいまいであり、五分くらいという時間でも体感時間と実際の時間には差異がある。ましてや時計が一つもない警備室にずっといた自分たちにとっては尚更そうだろう。ただ、そこまでこの警備室に長居する用事もなかったため、比較的速くスムーズに事が進んでいったと個人的には思っている。また、外で待っていた五人に関しては特に何も異常はなく、警備室付近を通る人物はほかに誰も見かけなかったらしい。
 それにしても、いくら八人での行動とはいえ緊張がほとばしる。まず迂闊に声を立ててはいけないため、慎重にならざるをえない。すべての会話はジェスチャーを交えながら行われる。時々湖さんが我慢しきれず声を出してしまうことが度々あったが、その度に能勢さんや荻原さんから「しーっ」と言われたり、あるいはそうジェスチャーしたりした。そして、曲がり角一つ曲がるだけでも、まるでテストの答案が返却されるときのあの緊張感のようなものを再現してしまう。
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