題名「見えない空想をつかまえるはなし」

中村翔

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秋の線路

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秋「兄ちゃーん!」
秋は僕の妹ではある。
秋「兄!ちゃーん!!」
どさっ!
僕「コラ!覆いかぶさるなと。」
秋「でも返事しない兄ちゃんが悪いよ」
それもそうかと納得しかけた。というかした。
秋「兄ちゃんの幼馴染さんが来てるよ。」
僕「わかったから退いて」
秋「もー!仕方ない兄ちゃん!ほら、早く行ってあげなよ。」ぷんぷん‼︎
がちゃっ。
「おはよう。秋くん。」
僕「苗字で呼んだら妹が噛み付いてくるよ?物理的に。」
「そうだったねごめんね?えっと、盟主の王様?」
僕「ふっ、そう。世界各地にいる盟主を束ねる者その名を!秋 津‼︎というわけだから秋津って呼んどいてくれ。」
「じゃあ私はなんてよばれようかな・・・?」
僕「間に受けないでくれ・・・。いつも通り澪でいいからさ。」
「へー初めまして!!澪くんっていうんだ?私は東雲  湖南。じゃ、会社でね。ばいばい」
僕「まてまて。僕を嘲笑いに来たのか?」
東雲「ちがうよ?秋ちゃんあっ妹ちゃんね。の中学に私の妹も受かったからご挨拶にと思って。えへへ。」
僕「そうか。でもあそこ入学に試験なんてないんだから受かったっておかしいんじゃ。」
東雲「そうなんだよね。確かにおかしいんだよ。ほら温度計見てみてよ。秋なのに氷点下なんだよ。」
僕「そういえば授業で習ったっけ。もうすぐ氷河期の周期がくる。だから地球は滅びるとかなんとか。」
東雲「そう!ニュースでは核爆弾だとか生物爆弾が落ちたから一年中雪が見られるんでしょ?氷河期は大袈裟だけどねー。」
僕「・・・」
東雲「じゃあばいばい。風邪ひいちゃだめだよ。」
僕「うん。」
がちゃり。
僕はすかさずカギをかけた。
なんで東雲はわざわざ隣町までそんなことを言いに来たんだ?
まあいいか。
がちゃっ。
秋「もう!兄ちゃん遅い!何話してたの!?」
僕「東雲ってクラスにいるだろ?そいつが幼馴染の妹だってさ。入学したからお知らせに来ただけだよ」
秋「東雲?あー東雲さんね知ってる知ってる。」
僕「東雲っ。いたっ。噛んだ。もうめんどくさいから幼馴染って呼ぼう」
秋「そういえばさ。昨日の死者数みた?なんていうか不自然だよね」
僕「死者数が?」
秋「うん。昨日だけで県内1234人。全国で12345人。」
僕「そんなにいるわけないじゃないか。」
秋「なんか病気が流行ってるとか言ってた。」
僕「病気か。バイオハザードを思い出すよ」
秋「バイオより怖いよ。だって現実のことなんだもん。」
僕「秋春、夏の心知らずってやつだよ。」
秋「意味わかんない。」
僕「春と秋は暑さとは無縁だって諺だよ。つまり実際にその時になって初めて気づくってこと」
秋「つまりは他人事を難しく言ってるだけだよね?」
僕「いや、これは最初から起こることが決まってることを指してる諺なんだ。運命は他人事に見えて実のところ自分を映す合わせ鏡だっていうこと」
秋「なるほどね。つまり私が死ぬということを見てしまった兄ちゃんは死ぬことが確定してしまってるってこと。でも一方で死ぬことを見なかった兄ちゃんは死ぬことが確定する前の状態で死に直面するまでは自分の死以外見たことがないから死ぬことがない状態ってことだね。」
僕「そ、そうだね。そういう解釈もあるかな」
秋「つまりだよ?死ぬことを見たことない人は自分の死を認識して回避できるってことじゃない?むむ?」
僕「まあ諺なんて当てにならないってことだよもう寝よう」
秋「ええー?これからが楽しいのに」
僕「明日は休みだろ?早起きして勉強しな?朝の方が頭に入るよ」
秋「う~!わかった・・・おやすみ兄ちゃん」
僕「おやすみ。ふあぁ。寝るか」
カチッカチッ。
zzzzzzz……zzzz……zzz……zzz…….。

『わーわー!!わー!わー!』
『こちら現場です。大量の米空軍の戦闘機がおびただしいほどに空を埋め尽くしています。』
『なにをしてるんだ!早く逃げなさい!』
『警官が避難を促しています。大変危険な状態だと窺えます』
『なんだ・・・。空から何かが大量に・・・』

ちゅんちゅん。
なんだ。夢かよ・・・。汗ぐっしょり。
お風呂に入って寝直そう。
秋「あっ兄ちゃんもお風呂?昨日寝苦しかったからねー。」
僕「一緒に入るか。」
秋「うん」
ざぱーん!
なんか重要なことを見逃してる気がする・・・
風呂から出て数分後妹とお風呂に入っていたことに気づきなぜ見ておかなかったのか!?と後悔に苛まれた。
秋「う~・・・。」
妹はというとなにかショッキングなものを見てしまったらしくベットに突っ伏していた。
その日に妹がいなくなるなんて予想もしてなかった。
次の日になっても部屋の布団にくるまって起きてこない妹にゴウを煮やして布団を剥ぎ取った。
僕「あれ?いない。」
妹の状態から考えて外出するとは考えずらい。
!!。最悪の考えが頭をよぎった。
僕「家出・・・?」


タッタッタッ!タッタッ!
秋(バカっ!ばかばか私のばか!)
秋(お風呂一緒、入るなんて冗談に決まってんじゃん!)
「秋ちゃん・・・?いきなり頭ポカポカしたら怖いよ・・・?」
秋「東雲ぇ。。。……。」
東雲「うん!東雲だよ?よく分かったね。」
私が一心不乱に走ってた所に急に曲がり角からドーーーン!!
さっき兄ちゃんを訪ねてきた女の妹にあたる。
秋「学校で見てたから・・・グスッ。」
東雲「そっそんなに見てないよ??」
見てた。私が見てた。
なぜか男子に人気があり運動も勉強もできるなんて・・・って思いながら。
想像してみよう。もし私が東雲のように万能感あふれてたら?モテまくるのはイヤだなぁ。
やっぱり兄ちゃんだけに・・・。
東雲「……ちゃん……秋ちゃん!」
秋「はっ!アブナイアブナイ。想像に飲まれるとこだった・・・。」
東雲「想像?何想像してたの?」
秋「いやいやなんでもないっていうか東雲はこんな時間になにしてんの?」
東雲「最近朝になるとさ・・・。人の‘’アレ‘’が転がってるって話だからさ。見ておかなきゃなーって。」
秋「あれ?あれって何?もしかしてえっちな・・・うぅ・・・思い出しちゃった・・・。」
昨日の今日で忘れられるはずもない。
東雲「アレだよ。人の」
死んでるのが。
秋「東雲?顔が怖いよ?」
東雲「最近さ夜ふと外を見たんだよ。そしたらどうだったと思う?赤い雪とゾンビみたいに眼が真っ赤で苦しんでる人がそこら中に。」
いや・・・。
秋「いやーーーー!!」
東雲「あっ!秋ちゃん!そっちは・・・。」
タッタッタッ!ドサッ。
秋「いてて・・・なんかに掴まれて・・・。!!。」
足元には・・・。眼が赤く腫れ上がった男が手を伸ばしていた。
秋「ここ・・・!線路・・・!いや、やめて!」
ガシャん!!!

研究員「また同じ夢見てるんすかね?早く特効薬を作らないと精神が壊れちゃいますって。」
秋澪「妹が眠って。いや空想を始めてもう2年か。あの日家出して赤い雪に触れてしまったけど幸か不幸か生きてはいる。目を開けたまま空想の中を彷徨いながら・・・ね。」
研究員「心中お察しします。」

妹は、見えない空想をつかまえた。永遠に。




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