霊怪

水砦

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転校生、そして対決

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町のはずれの誰も居ない廃工場の中には、2人
の男女と一匹の妖怪がいた

「おい!そっちに行ったぞ!」
男が女に言う

「言われなくても分かるわよ…」
女はそう言い肩に乗っているイタチのようなも
のにつぶやく。妖怪は既に跳躍し女に手を向けていた

「かまいたち…切り刻みなさい」

瞬間女に向かっていた妖怪は縦に切り裂かれたあとバラバラになり地に落ちた
女は一息つくとそこに男が近寄る

「お疲れ~、あーあー今日も派手にやっちゃっ
でこれ掃除すんの大変なんだぞ~」

そう言い男は空中に術式を描き始めた

「仕方ないじゃない、いつも出逢うのは雑魚ば
つかだもの、鬱憤晴らしに切り刻んでもばちは
あたらないはずよ」

「そういうことじゃないんだけどなぁ、よっ」

男が軽い掛け声を言うと空中に出来ていた術式
から小さい鬼が出てきた

「悪いな餓鬼、このお嬢様のせいでまた汚れち
まった、掃除してくれ」

男がそう言うと餓鬼は1度頷き切り刻まれた妖怪の近くに行き妖怪の残骸や血を食べ始めた

「そのこ便利よね…食べ方が少し恐いけど」

「ああ、あいつは一応戦うことも出来るがあれ
が本分みたいな感じだしな」
そう喋りながら数分がたつと餓鬼がその男の傍に近寄る

「おっ食べおわったか、どうだ、美味しかった
か」
餓鬼はまた1度頷くと空中に残っていた術
式の中に入っていき男はそれを見届けると
言った

「よし、それじゃあそろそろ行くか、学校」

「そうね、これ以上もたもたしてたら遅れちゃ
う、高2の転入早々遅れるとかは嫌よ」

「そうだなーあ、前みたいに幽霊の力でも借り
るか?」

「いやそれはやめておくわ、あの後こってり絞
られたから」

「ははは、そうだったな、んじゃ行くか」
「ええ」



─────────────────────



「暇だな~」

[なら友達を作ればいいじゃない]

「作れたら苦労しないよ」

[それはまず貴方が苦労してから言いなさいよ]

「それはお前達のせいだろ…お前達と喋ってい
ると…」

「なあ、あいつ何1人で喋ってるんだ?」

「知らねーよ放っとこうぜ、あんな陰キャ、プ
ッ」
そう言い笑い始める

[あら、私の初めてのお話相手に向けて一体何
てこと言うのかしら、一度懲らしめてやろうか
しら]

「やめてくれ、今に始まったことじゃないだ
ろ 」

キーンコーンカーンコーン
チャイムがなり席を離れていた人達はすぐに自
分の席に戻っていく

「は~いそれじゃあHRを始めるがまず転校生を
紹介する」

「えっマジ?男かな女かな、女だったらいいな
の」

「え~男でしょーイケメンがいいなぁ」
等の言葉で教室は一時騒がしかったが先生がお
さめる

「静かにしろー転校生は2人だ、じゃあ入ってくれ」
そう言うとドアが開き2人の男女が入ってきた
入ってきたのは美男美女で、また教室が騒がし
くなる
「ほらほら早く静かにしろ一、じゃあ自己紹介
をしてくれ」

2人の内一人の女の方が先生に促され自己紹介
を始める
「柊琴葉といいます、これからよろしくお願いし
ます」

そのあとに男の方が自己紹介をする
「高嶋奏斗っていいまーすよろしくー!」

自己紹介が終わると拍手があり先生が席を言った
「じゃあ席は、そことそこで」
そう言い先生は指をさし転校生達はなその指をさされた席へ座りにいく















「わぁ髪さらさら~、どんなシャンプー使ってるのー?」

「ねぇねぇ彼女とかいるのー?」

「うるさいな、教室出るか…」

[そうねぇ、私貴方とちょうど小話がしたかったからいいわよ]

そう霊とぶつぶつ喋っていると

「ごめんなさい、少し頼みたい人がいるから」
転校生がこちらに向かってきた

ん?何だこいつ、こっちに来て…

「波瀬君…だよね」
そう柊琴葉は波瀬淳一の席の横で止まり言った

「え?あ、はい、」

「学校案内してくれないかしら…先生に波瀬君に案内してもらってくれって言われたから、奏斗」

「おっ学校案内か~俺もいく~」

マ、マジか……

「う、うんいいよ」

「何であんな奴が?」

「俺たちがしてあげるのに」

何で俺なんだ…?他のやつの視線が痛いってのに…

そう答え学校を案内すべく席を立ち先を歩くと転校生達ががついてきた

[ねぇ]

「何だ?」

[あの子達、私が見えてる…気を付けた方がいいわよ]

「本当か…?わかった、気を付けとく」

そう霊に言うと振り返り

「ここが理科室だよ」

学校案内を始める























「そしてここが理科準備室、そしてあっちが中庭」
今は一階の教室を案内している
今はもう早く終わらしたい一心で着々と案内を進めていた

「おー綺麗だな~」

「まぁ清掃は行き届いてるからね」

「少し見ていっていいかしら」

そういい先々と中庭に向け歩いていく柊と高嶋

「はぁ、めんどくさい」

[ついていくのはいいけれど用心はしてよね?憑いている対象が死んで尚且つそれが唯一喋れる人だと私悲しいから]

「そりゃどーも」
そう俺は呟き柊達についていく、が少しすると急に辺りが暗くなる

「なんだ?急に暗くなって…」
急に暗くなり周りを見渡していると足を払われこけてしまう

「!」

「かまいたち!」

柊のだと思える声がした瞬間目の前でガキンッという音が聞こえ、そのあとに舌打ちのような声が聞こえる

それから少しの沈黙がたち逆に急に明るくなり目がチカチカとして周りがよく見えなくなるが怒鳴り声のようなものが聞こえてくる

「ちょっと、もうちょっと粘れないの!」

「ほんの少しの隙があればいけるって言ったのは誰だよ!」

「思ってたより霊の抵抗が速かったのよ!」

「な、なんだ?こいつら」
さっきのは何だったんだ…急に暗くなって目の前で音がして…

「!」
柊達は何やら言い争いをしていたが何を察したのか急に真面目な顔になり辺りを警戒し始める

その時
ブァッッッ!

突風が起き柊達はその突風の元となる方向へ振り向く

[貴方達…私のお話相手に一体なんてことをしてくれたの]
霊は浮きながら長い黒髪が大きく揺れ柊達に向け手をかざしていた

「めんどくさいことになったなぁ」
高嶋が苦い顔をしそう呟くと同時に両手をあげて「降参だ」と言った

「もう俺らが今使える手札は無いに等しい、話し合わないか?」

[最初に手を出してきたのはそちらでしょう?なのにどう考えたらそんな発想が思い付くのかしら]

「そうよ、何で私が霊に降参しなければいけないのよ!早く成仏させるわよ!」

「おい、相手は完全臨戦体制でこっちは学校だからほとんど武器という武器を持ってない、それに相手は強い霊だぞ今勝てるわけがない、状況を判断しろそれに」
そう言い高嶋は校舎の渡り廊下に向け指を指す

「ねぇあの子可愛くない?」

「え、誰々?あ、ほんとだ可愛い!あ隣にいる人もかっこよくない?」

「ほんとだかっこいい~!」

「…」

「ほらな、今の状況で戦えるか?」

柊は正論を言われたことに顔を苦くし舌打ちをした

「分かったわ、今回はこちらから手を引いてあげるわ」

そう言い残すと柊達は校舎に向け歩いていく

[逃がすわけないじゃない]
そういい霊は柊達に向けてをかざす

「やめてくれ、別に怪我はしてないんだし面倒事は起こしたくない」
これは本音だ、怪我をしていなければ別にそれほど気にしないし面倒事を起こすことは絶対にしたくない

[貴方が言うのなら仕方ないわね今回だけはあの子達を許してあげる。でも今度は許さないわよ]

「ああ、その時はよろしく頼むよ」

[ええ]

そのあとに少し話をして俺達も教室へ向かった




    
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