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序章:鬼虐人尊国家 日の国
参話:背後の声
しおりを挟む酷く俺に怯えていた。
そりゃそうだろう。さっきまで磔にされ解体されていたんだから。
この街で鬼の処刑を見世物として扱う行事があると聞いて船で急いで来たのに、また救えなかった。
もっと早く着いていれば処刑が始まる前にみんな救えたかもしれない。
もっと自分が強ければあのまま侍達を倒せたかもしれない。
さっき死んでしまった幼い少年は何を思って死んでいったのだろう。
人間に対する恨みだろうか。
空から雨が振り続ける。あと一歩でれば雨に濡れてしまうだろう。
自分が弱いせいでこんなことになってしまった。せめて、あの少女だけは護ってみせる。
「素晴らしい顔をしておる。そそるぞ小僧。
どうせ、また自分が無能だったから救えなかったなどと考えておるのだろう?お主は飯も食わずに寝もせずに2日かけてここまで来たではないか。運が悪かっただけの事じゃ、自分を責めるのはよせ、小僧や。まぁ、自分をそうやって責める小僧の顔も吾は好きだがな」
背後から声がする。あの白髪の鬼の少女の声ではない。
「して、いいのか?あの幼い少女をひとりにして。戻って傷を慰めてやれよ。鬼は惚れやすいぞお?」
「うるさい。君は黙っててくれ」
自分はそう言うが、こいつがそれで黙ったことなんて1度もない。
「あの餓鬼。逃げ出したぞぉ」
「そんな筈・・・!!」
こいつは嘘を言わない。俺は振り返り洞窟を走って進む。
そのには畳まれた毛布があるだけで、あの白髪の少女はどこにも居ない。
洞窟を見上げると、地上に繋がる空洞がある。
暗くて気づかなかった。あそこからあの少女は出たのだろう。
外は雨が降っている。視界が悪くなるし、足跡も消してしまう。
「追わないと・・・」
「追うのか?それはあの餓鬼の意思をねじ曲げるのでなないかぁ?ふふふ。お前が怖くて、逃げたのかもしれんぞぉ?ふふふ。」
「うるさい・・・!」
俺は急いで毛布を自分の鞄に入れる。
きっと俺の身を心配して、ひとりで逃げたのだ。
あの少女は自分を助けてしまって俺が幕府の侍共に殺されてしまうことを心配していた。
あの少女は起きた時、あの死んでしまった男の子のことをすぐに尋ねた。逃げる時も磔にされた同族を残していくことを気にした。自分が死にかけているのに。
「そんな優しい奴をほっとけるか」
俺は洞窟を急いで出た。
この大雨の中、肩に1匹の黒い蝶が止まる。
「ふふふ。お前は本当にかわいいなぁ・・・。あの餓鬼を探したいなら、もう一度あの街に行くとよい。」
俺は蝶を強く手ではらった。
あとがき
(誤字ってたら教えて下さい)
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