名も無き私とメロス

名も無き私とメロス #31

「オェッ。。。

ヴォェッ。。。

あ、ごめんなさい、

違うんです。格闘家さん

そういう訳じゃないんだ

。そういう。。。

うぅ。。。」

昔からそうだった。通学

途中に、露出度の多い

グラビアアイドルの

少年誌の表紙の広告なんか

を観ると、その後、

体調が悪くなって、

学校の保健室で休む事が

結構あった。

とりあえず、格闘家さん

にはすまないが、洋服

を着て貰った。

本来男性恐怖症の私に

とって、男性と川の字に

なって寝る事は刺激が

強すぎる為、絶対出来ない

と思っていた。

ただ。。。

今まで、本当に幸せでした。

花子ちゃんとの生活は僕の

中で一生忘れられない

大切な思い出です。

これから離れて暮らす

事になるけど、でも、

僕は花子ちゃんが苦しむ

姿は見たくないし、

とにかく、僕の心配は

いいから、ちゃんと

ポスティングの仕事を

続けて、全うな生活を

歩んで下さい。

ちょっと寂しいけど、

また調子良くなったら

言ってね。

それじゃありがとうござい

ました。

...なんでこんな時まで

優しいんだよ。なんで。

私はこれから一人で生きよ

うとしている格闘家さんの

覚悟を前にして、引き留め

る手立てがない自分が悔し

くて、涙が止まらなかった

。

そうこうしているうちに、

格闘家さんは家を出て行き

その晩は一人で食事を

とった。

確かにこれが私にとって

日常だったし、それが

自然だ。

別れてもメールだけは

お互いにとっている。

格闘家さんの元々居た廃墟

には当然キッチンがない為

お弁当を作って、なるべく

持って行っている。

つらい。でも今出来る事を

やろう。