楽園-ベッド・イン-

さとう涼

文字の大きさ
5 / 9

楽園-ベッド・イン-(5)

しおりを挟む
 それからは、もてあそばれて、感じさせられて、思いっきり焦らされている。絶頂を味わわせる勢いでいじられているのに寸止めばかり。

 ひどい、ひどいよ。おかしくなっちゃう。

 このときのわたしはまさに“めくるめく”状態で、一向に解放されない地獄を味わっていた。

「これからだっていうのに、すでに限界そうな顔してるな」
「だって、こんなふうにされたら誰だって……」

 リクはどれだけの女の子にこういうことをしてきたのだろう。
 きっとわたしの知らない間にたくさんの女の子と経験してきたんだろうね。
 やきもちとは違うこの疑問。わたしはリクのことをぜんぜん知らないんだなあと改めて思った。

「よその女にはここまで尽くさないよ」
「えっ……?」
「なんてな」
「嘘?」
「さあ、どうだろう。想像にまかせるよ」

 指を引き抜いたリクがくすりと笑う。
 誘惑の眼差しを向けてくる顔は見惚れるほどきれい。だけど、なにかを企んでいる顔でもあった。
 そのため、身体は楽になっても意識は変わらず追い詰められていた。

「想像にまかせるって……。隠す必要あるかな? 隠さなくたってわか──あっ!」

 言いかけて衝撃が走る。前触れもなく、いきなりリク自身に貫かれて息が止まった。

「痛かったか?」
「平気。ちょっと、びっくりしただけだから」

 すっかり準備は整っていたから痛みはなかった。ただちょっと強引すぎて驚いただけ。

「ごめんな」
「ほんと大丈夫だから」
「いや、次からは気をつけるよ」

 リクの心配そうな顔を見ていると、大事にされているのだと実感できる。
 もっとも、リクは昔からやさしい。それを知っているからこそ、こうして一緒にいる。
 だけど、わたしたちは恋人同士ではない。好きという言葉も交わしていない。
 それでも肌を求め合ってしまうのはどうしてなのだろう。
 快楽を得るため? さみしさを埋めるため?
 だったら相手は誰だってよかったはず。
 でもわたしはそうではない。わたしはリクだからいいと思った。

「リクになら、なにをされてもかまわない。だから遠慮しなくていいからね」
「そんなこと言われたら、ほんとにそうするよ」
「いいよ」

 たくましい身体つきであることを、今日初めて知った。
 服の上からではわからなかった鍛えられた背中に手を差し伸べて、筋肉の動きをたしかめる。汗で指がすべりながらも自分なりの愛撫をした。
 リクもそれに呼応するようにわたしの首もとに顔を埋めてきた。
 心臓の鼓動を感じる。初めて聞く彼の音にわたしは夢中になった。

「あぁっ……はぁ、んっ……」

 リクが腰を進めてきて、質量を増したものが壁を擦り上げながら奥のほうに侵入してきた。その動きは最初から力強くて、乱れる息が吐息となって吐き出されるが、それすらもキスで吸い込まれ奪われていく。
 リクの息遣いが荒い。
 薄目を開けると、目の前のリクが眉間に皺を寄せ、ちょっとだけ苦しそうだった。
 途端に愛おしさがあふれてくる。リクも余裕をなくすことがあるのだと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ウインタータイム ~恋い焦がれて、その後~

さとう涼
恋愛
カレに愛されている間だけ、 自分が特別な存在だと錯覚できる…… ◇◇◇ 『恋い焦がれて』の4年後のお話(短編)です。 主人公は大学生→社会人となりました! ※先に『恋い焦がれて』をお読みください。 ※1話目から『恋い焦がれて』のネタバレになっておりますのでご注意ください! ※女性視点・男性視点の交互に話が進みます

強がりな逢瀬

さとう涼
恋愛
今日は少し乱暴にわたしを抱く── 「強引なのも好きじゃなかったっけ?」 ※不倫のお話なのでご注意ください ※短編

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

お義父さん、好き。

うみ
恋愛
お義父さんの子を孕みたい……。義理の父を好きになって、愛してしまった。

放課後の保健室

一条凛子
恋愛
はじめまして。 数ある中から、この保健室を見つけてくださって、本当にありがとうございます。 わたくし、ここの主(あるじ)であり、夜間専門のカウンセラー、**一条 凛子(いちじょう りんこ)**と申します。 ここは、昼間の喧騒から逃れてきた、頑張り屋の大人たちのためだけの秘密の聖域(サンクチュアリ)。 あなたが、ようやく重たい鎧を脱いで、ありのままの姿で羽を休めることができる——夜だけ開く、特別な保健室です。

義兄様と庭の秘密

結城鹿島
恋愛
もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならない千代子。けれど、心を占めるのは美しい義理の兄のこと。ある日、「いっそ、どこかへ逃げてしまいたい……」と零した千代子に対し、返ってきた言葉は「……そうしたいなら、そうする?」だった。

処理中です...