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8話 色欲(後編) ※R15

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 あれからその女性…佐々木春さんは週に三日ほど俺とセックスしに店に通うようになり、気づけば俺を利用する常連さんの一人になっていた。
 佐々木さんとセックスして正直言うと、今までやってきた来た中で佐々木さんとの方がすごく気持ちよかった。
 夜のバイトを始めて一年が経っていろんな人とやってきたが佐々木さんとのセックスが一番良い。

 でも、なぜ佐々木さんなのだろう、体の相性が良いからなのか?

 「一さん?ぼーっとしてるけど、何かあったの?」

 上目遣いで俺を見つめる佐々木さん、見慣れた光景のはずなのに、今日はなんだか佐々木さんを抱きたい欲がめちゃくちゃ強くなる、それでもなんとか平静を装う。

 「いや、特に何も、それより佐々木さん、今日はすごくご機嫌が良いようですが、何か良いことがありましたか?」

 「そう?そんなに私が上機嫌に見える?そうねえ…しいて言うとここ最近会社の業績が伸びてるくらいかな、良くなったのは、私が風俗に通うようになってからと被るね」

 「じゃあ、佐々木さんの経営する会社が良くなってきたのは俺のおかげってことですかね」

 「調子に乗らないの一さん」

 いつも通りお互いの体を弄り舐め合って性欲を満たしていく、最初は佐々木様と呼んでいたが今ではさん付けで呼ぶくらいにまで親しくなった。
 佐々木さんとはセックス以外にもなにかと話が合うし、一緒にいて嫌な気もしない。

 「そろそろ始める?」

 「そうですね、時間も迫ってきてるしね」

 「もう…そんな時間なのね」

 俺と佐々木さんは最後に限られた時間内で様々な態勢でセックスする、時間になっても物足りなかったのか(俺もだけど)、佐々木さんの要望でさらに1時間延長して俺とのセックスが継続した。

 「あっ、そこ、気持ちい…」

 「俺も…すごく…気持ちいです」

 「…良かった」

 「すいません、もう…出そうです」

 「いいよ、もう出しちゃって」

 俺と佐々木さんが絶頂に達する直前、お互いの抱きしめる力が強くなり、特に佐々木さんがエロい喘ぎ声を上げていたことに俺はすごく興奮を覚えた。
 イき終えた俺と佐々木さんはベットの上で「ハア…ハア…」と息切れしてくたびれたように寝転んで休憩を取る。
 長時間のセックスに疲れたのか、佐々木さんはスースーッと小さな寝息を上げて寝てしまっていた。
 ふと何を思ったのか、俺はつい寝ている佐々木さんの頬にキスをした。
 キスしたことに俺自身驚いたが、賢者タイムに突入してるせいか、そのときの俺は冷静だった。


 ―30分後

 時間になったと同時にベットで寝てた佐々木さんを起こし、利用時間が終了したことを伝える。
 佐々木さんは自分が寝てしまったことに少しショックを受けていたが、すぐに立ち直って着替えを済ませて店を出ていった。

 「もう1時半か、明日学校行く日じゃなくて助かった~、あれ、違うな、1時半だから明日じゃなくて今日か」

 シフトを終えた俺はそのまま自宅へと向かった。

 
 学校のない日でも俺は夜いつも通りバイト先へと向かう、どうやら今日は4人ほど俺をご指名とのことで、いつもは6時に向かうところを2時にバイト先に行くことになった。

 今日はハードな日だな、なんとか耐えられるといいけど。

 そう思いつつ俺はバイト先に着いてさっそく相手する準備等をしていった。


 ―7時間30分後

 「ふう…やっとあと一人かあ…」

 一日で4人、3人を7時間で満足させるのも至難の業、しかし俺の今までの経験とテクニックで困難を乗り越えた。
 この調子なら、最後の一人を相手にするのは容易い。

 「えーっと最後は……佐々木…佐々木さん!?」

 疲れてる中での最後は佐々木さん、最後の締めにはふさわしい相手、これはこれで佐々木さんの相手をするのが楽しみだ。

 「もうひと踏ん張り、頑張りますか」

 俺はすぐに佐々木さんとやる予定の専用個室へと向かった。

 
 「お待たせ、一さん、また来ちゃった」

 「昨日セックスしたばかりなのに、体力ありますね」

 部屋に入ってきた佐々木さんは分厚いコートを着ていたが、入ってきた瞬間、すぐに服を脱ぎ始め、1分もしないうちに佐々木さんは下着姿に変身した。

 「そういう一さんだって、今日で3人のお相手をしたんでしょ、私を含めれば4人になるけど、大丈夫?」

 「最後が佐々木さんなら問題ないですよ、あなたとなら、俺の性欲がすぐに回復しますので」

 「口がうまいこと」

 「一応本当のことですけどね」

 「あまり思わせぶりな言動はしない方がいいよ、一さん」

 会話をこのまま続けながら、俺と佐々木さんでお決まりの大人の遊びを始める、互いの体をマッサージし合いながら口と口とを重ねて強気のキスをする。
 キスとマッサージをしながら、俺の刀を佐々木さんの鞘にゆっくりと入れる。

 「アッ!待って!これ…すごくいい…」

 「佐々木さんの中だってすごく…気持ちいいです」

 お互いの快楽を感じながら激しい運動をする、あまりの気持ちよさに俺は佐々木さんとのセックスで夢中になった。

 
 ―1時間後

 大人の遊びが一旦終わり、少し休憩時間を取ることにした。
 セックスを終えた俺と佐々木さんは個室のシャワーに一緒に入り、互いの体や頭を洗い合う。

 「ねえ、一さん、私…あなたに伝えておきたいことがあるの」

 俺の頭を洗う佐々木さんが突如俺にそう言った。

 「伝えておきたいこと?なんですか?」

 佐々木さんに問うと、少し間が空いたあと口を開いた。

 「私ね、お見合いすることになったの、お父さんの元直属の部下だった人の息子さんとね、だから、もしかしたらこの店を利用できなくなるかもしれない」

 佐々木さんの言葉に俺の脳内に衝撃が走る。

 「え!?…てことはつまり、俺とはもう…」

 「うん、なんだか寂しくなるわね、でも、あなたと夜を過ごせて楽しかった、たぶん、一生の思い出に残ると思う」

 そう言う佐々木さんはどこか寂しげで悲しそうな顔をしていた、でも、俺は佐々木さんを引き留めることはできない。

 「俺も楽しかったです、こんな話題を出していいかわかりませんが、今までお相手してきた女性の中で、あなたが一番俺にとって一番の女です」

 すると、佐々木さんは照れ隠しなのか、俺から見られまいと顔を隠してそっぽを向く、でも俺の視界からは佐々木さんの頬が少し赤らんでいるのが見えた。

 「やっぱり、私の初めての相手が一さんでよかった」

 「俺も、あなたに出会えてよかったです」

 俺がそう言うと、佐々木さんが突如俺に抱きつき俺の頬にキスをした。

 「ありがとう、一さん、私がこうしてうまくやれたのは、あなたとの性の発散があったからよ」

 「お役に立てたならよかった」

 「…じゃあ、続き…やる?」

 「もちろん、最後まで付き合いますよ」

 俺と佐々木さんは深夜2時になるまで何回も何回もセックスを繰り返した。


 ―1年半後

 あれから俺は夜のバイトを続けながら高校に通い、第一希望の大学進学を決め、高校卒業を控えるまでに至っている。
 一方、佐々木春さんはというと、美人で若き女性社長として雑誌や新聞などでも取り上げられ、テレビに出演したりと有名人化していた。

 いつの間にか、遠くの存在になっちゃったな。

 「そういや最近、佐々木さん来てないよな、何かあったか?」

 同僚の若林が俺にそう聞く、若林は佐々木さんの下の名前を知らないので、テレビで話題になってる人だということにまだ気づいていないよう、これはどうでもいいことだが、若林は現在俺が前に紹介した北村さんとお付き合いしているとのこと、夜を過ごした後、なんだかんだ意気投合したらしい。

 「今はどうしてるかわからないけど、たぶん元気にしてると思うよ」

 なにせこうして有名人になっているのだから。

 俺は都会の高いビルの壁に設置されているテレビの方に視線を向け、佐々木さんが映っているのを見た後、俺は若林と共にバイト先へと向かった。

 『佐々木春さんはSASAKI証券会社の社長を勤めていらっしゃいますが、現在ご結婚はされてるんですか』

 『いいえ、現在は独り身です、お見合いなどの話もありますが、実は私には忘れられない人がいるんです、なのでしばらくまだ結婚とかは考えていないですね』
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