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侵入 プレイヤー
第4話
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「……あんた、プレイヤーか?」
「違うと言って信じられるのかな?」
魔法使いの男が不快だと思っていることを隠しもしない態度で尋ねてくる。
そんな男に、サクラはあえて質問に質問で返した。途端に男の顔が忌々しそうに醜く歪んだので、サクラはおもわず苦笑する。
「まさか転生しても侵入ありってわけかよ」
「そうだね。残念だけど、プレイヤーは同時に存在できるみたい」
「……っクソが! 攻略難易度が一気に上がるじゃねえかよ」
「ゲームシナリオの中でもさ、この世界には複数の稀人の存在が示唆されていたし。そのうちの何人かはプレイヤーであってもおかしくはないってことじゃないかな」
魔法使いの男はサクラの言葉を聞いて、大きく舌打ちをした。彼は腕を組んで、サクラをじろじろと眺めている。
ひとまずはサクラの情報を得ることにしたらしい。すぐさま戦闘を再開する気はないようだ。サクラの割り込みに動揺して取り乱したものの、基本的には理性に従って動くことができる人物なのかもしれない。
もしかしたら、目の前にいる魔法使いの男は話し合いでこの場を去ってくれるのではないか、サクラはそう思った。
「……ねえ、あなた……」
サクラが対話を試みようと、魔法使いの男に声をかけた瞬間だった。
こちらに向かって、青白い火球が飛んできた。
「そうだった。こんなところで意味もなくNPCを処分しようとしたライブ感。だいたいさ、ステータスを極振りをするような変態なんだもんねえ」
サクラは話し合いで解決しようとした自分に呆れかえっていた。
「オリチャー発動させちゃう人とかさ、極端なステ振りするやつは人の話なんて聞かないって知ってるじゃん。自分で決めたこだわりが強すぎる、プライドが高い連中だもん!」
サクラのうしろにはクロビスがいる。
この程度の攻撃であれば、クロビスは避けてくれる。そう信頼はしているが、あえてサクラはクロビスを守るように立ち塞がったまま、青白い火球を真正面から受け止めた。
「……ふーん、やっぱりな」
サクラはパタを握った拳を、力強く前に突きだした。
その剣をかざした勢いだけで、火球は霧散してしまう。
サクラのもとには、ほんの少しだけあたたかな風が届いた。
「性能ガン無視で装備決めてるような人なら、こんな火球くらい避けずに真っ正面から軽くあしらえるよなあ」
魔法使いの男は納得した声を出しながら、なにかを考えている素振りをみせる。
いまの攻撃には殺意がなかった。サクラの実力を測るために、火球を飛ばしてきただけなのだろう。
それがわかっていたからこそ、サクラは火球による攻撃を正面から受け流した。探りを入れられたのだから、少しでも相手を納得させられる実力を示さなくては攻撃が繰り返されると思ったからだ。
いくら回復薬で怪我が治ったとはいえ、そんな茶番にクロビスを付き合わせられない。
「パタって騎士剣なんかとはモーションが違うから、ジャストガードするのなんて難しいはずだけどな」
ジャストガードとは、防御技や回避技の一つだ。
パリィや受け流しといった言葉と、ほぼ同義である。
通常は相手の物理攻撃を防ぐといった意味合いで言われることが多い。
相手の攻撃に合わせて特定のタイミングで防御行動を取ることで、被ダメージを軽減することができる。
また、攻撃そのものを無効化したり、そこから派生して追加効果を得たりと、通常のガードでは発動しないさまざまな恩恵を得られる便利な技だ。
サクラのパタは、特殊派生を行っている。
そのため、防げるのは物理攻撃だけではない。
大火力の魔法攻撃でなければ、たいていは受け流すことが可能なのである。
「そりゃ持ちたい武器のためなら練習するでしょ。慣れればたいしたことじゃないもの」
「性能の良い剣なんかいくらでもあるのに、わざわざ格闘モーションの剣なんて選択しねえよ」
「それがカッコよくていいんじゃないの。手数が多くてリーチだって長いし、初心者でも使いやすいと思うけどね」
「……ああ、面倒くせえなあ。なんでこんな奴の相手をしなくちゃならねえんだよ」
「あら、奇遇だわ。私だってあなたを相手にするのは骨が折れるなって思っていたところよ」
「挨拶も済んだことだし、あとはもうどっちが最後まで立っているかって話でいいでしょ」
「そう、ね。ゲームの中ならそれでもいいと思うけど……」
サクラにとって、ここはもう現実だ。
簡単に命のやりとりをするには抵抗がある。
しかし、魔法使いの男には、そんなサクラの気持ちは届かないらしい。
「ここは俺の世界なんだよ。侵入者のおばさんには、さっさと出ていってもらうからな」
「はあああああ! おばさんってひどくない? てか、俺の世界はイタすぎないかな」
「あ、もしかしてネカマの人? よかったじゃん、転生して女になれてさ」
「もとから女だっつの! ふざけるのも大概に……」
サクラが大声をあげていると、魔法使いの男の杖の先端が光りだす。
「──悪いけどね、詠唱はさせないわよ」
「違うと言って信じられるのかな?」
魔法使いの男が不快だと思っていることを隠しもしない態度で尋ねてくる。
そんな男に、サクラはあえて質問に質問で返した。途端に男の顔が忌々しそうに醜く歪んだので、サクラはおもわず苦笑する。
「まさか転生しても侵入ありってわけかよ」
「そうだね。残念だけど、プレイヤーは同時に存在できるみたい」
「……っクソが! 攻略難易度が一気に上がるじゃねえかよ」
「ゲームシナリオの中でもさ、この世界には複数の稀人の存在が示唆されていたし。そのうちの何人かはプレイヤーであってもおかしくはないってことじゃないかな」
魔法使いの男はサクラの言葉を聞いて、大きく舌打ちをした。彼は腕を組んで、サクラをじろじろと眺めている。
ひとまずはサクラの情報を得ることにしたらしい。すぐさま戦闘を再開する気はないようだ。サクラの割り込みに動揺して取り乱したものの、基本的には理性に従って動くことができる人物なのかもしれない。
もしかしたら、目の前にいる魔法使いの男は話し合いでこの場を去ってくれるのではないか、サクラはそう思った。
「……ねえ、あなた……」
サクラが対話を試みようと、魔法使いの男に声をかけた瞬間だった。
こちらに向かって、青白い火球が飛んできた。
「そうだった。こんなところで意味もなくNPCを処分しようとしたライブ感。だいたいさ、ステータスを極振りをするような変態なんだもんねえ」
サクラは話し合いで解決しようとした自分に呆れかえっていた。
「オリチャー発動させちゃう人とかさ、極端なステ振りするやつは人の話なんて聞かないって知ってるじゃん。自分で決めたこだわりが強すぎる、プライドが高い連中だもん!」
サクラのうしろにはクロビスがいる。
この程度の攻撃であれば、クロビスは避けてくれる。そう信頼はしているが、あえてサクラはクロビスを守るように立ち塞がったまま、青白い火球を真正面から受け止めた。
「……ふーん、やっぱりな」
サクラはパタを握った拳を、力強く前に突きだした。
その剣をかざした勢いだけで、火球は霧散してしまう。
サクラのもとには、ほんの少しだけあたたかな風が届いた。
「性能ガン無視で装備決めてるような人なら、こんな火球くらい避けずに真っ正面から軽くあしらえるよなあ」
魔法使いの男は納得した声を出しながら、なにかを考えている素振りをみせる。
いまの攻撃には殺意がなかった。サクラの実力を測るために、火球を飛ばしてきただけなのだろう。
それがわかっていたからこそ、サクラは火球による攻撃を正面から受け流した。探りを入れられたのだから、少しでも相手を納得させられる実力を示さなくては攻撃が繰り返されると思ったからだ。
いくら回復薬で怪我が治ったとはいえ、そんな茶番にクロビスを付き合わせられない。
「パタって騎士剣なんかとはモーションが違うから、ジャストガードするのなんて難しいはずだけどな」
ジャストガードとは、防御技や回避技の一つだ。
パリィや受け流しといった言葉と、ほぼ同義である。
通常は相手の物理攻撃を防ぐといった意味合いで言われることが多い。
相手の攻撃に合わせて特定のタイミングで防御行動を取ることで、被ダメージを軽減することができる。
また、攻撃そのものを無効化したり、そこから派生して追加効果を得たりと、通常のガードでは発動しないさまざまな恩恵を得られる便利な技だ。
サクラのパタは、特殊派生を行っている。
そのため、防げるのは物理攻撃だけではない。
大火力の魔法攻撃でなければ、たいていは受け流すことが可能なのである。
「そりゃ持ちたい武器のためなら練習するでしょ。慣れればたいしたことじゃないもの」
「性能の良い剣なんかいくらでもあるのに、わざわざ格闘モーションの剣なんて選択しねえよ」
「それがカッコよくていいんじゃないの。手数が多くてリーチだって長いし、初心者でも使いやすいと思うけどね」
「……ああ、面倒くせえなあ。なんでこんな奴の相手をしなくちゃならねえんだよ」
「あら、奇遇だわ。私だってあなたを相手にするのは骨が折れるなって思っていたところよ」
「挨拶も済んだことだし、あとはもうどっちが最後まで立っているかって話でいいでしょ」
「そう、ね。ゲームの中ならそれでもいいと思うけど……」
サクラにとって、ここはもう現実だ。
簡単に命のやりとりをするには抵抗がある。
しかし、魔法使いの男には、そんなサクラの気持ちは届かないらしい。
「ここは俺の世界なんだよ。侵入者のおばさんには、さっさと出ていってもらうからな」
「はあああああ! おばさんってひどくない? てか、俺の世界はイタすぎないかな」
「あ、もしかしてネカマの人? よかったじゃん、転生して女になれてさ」
「もとから女だっつの! ふざけるのも大概に……」
サクラが大声をあげていると、魔法使いの男の杖の先端が光りだす。
「──悪いけどね、詠唱はさせないわよ」
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