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「お姉さまが姿を消した理由は私には全くわかりません。でもそれは、私がお姉さまのお気持ちを察することができなかっただけで、お姉さまの行動が私たち一族への裏切りだとか、そうは思わないようにしているのです」
姉がいなくなって、最初はただ驚いた。
その次に感じたのは、裏切り者、信じていたのにという気持ちだった。しかし、そう考えてしまうと気分が沈むだけなので、その気持ちをどうにかして切り替えたかった。
「お姉さまの知らない一面を垣間見ることができた良い機会だと思うことにしています。こんな形で知るのではなく、きちんとお話ができたら良かったと反省はしていますけれど……」
姉は一人で悩んでいたのだろうか。そう思うと胸が苦しくなる。できることならば、きちんと会って話がしたい。
「私がお姉さまのお気持ちを察してあげることができていたら、きっと旦那さまもここまで傷つかなかったですわよね」
申し訳ございません、とソフィアは丁寧に頭を下げる。
「いや、謝ることはない。そんなことは君が謝ることじゃないのだ!」
イーサンは重ねられていたソフィアの手を握った。小刻みに震えるくらいに強く握られる。
「本当にすまなかった!」
イーサンは勢いよく頭を下げる。
「いつまでもいじけていた私がいけなかったのだ! 君の気持ちに何一つ配慮することができなかった」
まさかイーサンから謝罪の言葉が聞けるとは思っていなかった。ソフィアはそれまで饒舌に話していたことが嘘のように、次の言葉が出てこない。
「申し訳ないことをしていた! ここまで君を追い詰めていただなんて、いまさら謝っても意味がないよな」
ソフィアが黙りこんでしまったので、イーサンは不安になったのかさらに深く頭を下げる。
互いに頭を下げ合うという奇妙な時間がしばらく続いた。
「…………意味がないことはないですが、ちょーっと遅いですわね」
ソフィアはそう言いながらゆっくりと頭をあげて、穏やかに微笑んだ。
「では、お互いに謝罪をしたということで、今までの無礼はなかったことにしてくださいましね」
ソフィアの言葉を聞いたイーサンが、複雑そうな顔をしながら頭をあげる。
「私が言うのはどうかとも思うのだが、君はもう少し弱みを見せてもいいと思う」
「……っな⁉」
イーサンにそんなことを言われるとは思わず、ソフィアはまた言葉に詰まる。
「どんなことでも無理やり前向きにとらえ直そうとし過ぎている気がする。そんなに強がらずに、君こそ少し力を抜いたらどうだ?」
「――っあなたにだけは言われたくありません‼︎」
イーサンにもっともなことを指摘されるのは悔しくて、ソフィアはつい叫んでしまった。
結局、この日はこんな調子で終わってしまった。
イーサンの言い訳に、ソフィアが自分の意見を言い聞かせるというやり取りが永遠に続いたのだ。時折、イーサンに的確な指摘を受けるので、それには動揺しっぱなしだった。
恋がしたい、とエイナルの前で強がって言っていたことを、イーサンに伝える余裕はなかった。
姉がいなくなって、最初はただ驚いた。
その次に感じたのは、裏切り者、信じていたのにという気持ちだった。しかし、そう考えてしまうと気分が沈むだけなので、その気持ちをどうにかして切り替えたかった。
「お姉さまの知らない一面を垣間見ることができた良い機会だと思うことにしています。こんな形で知るのではなく、きちんとお話ができたら良かったと反省はしていますけれど……」
姉は一人で悩んでいたのだろうか。そう思うと胸が苦しくなる。できることならば、きちんと会って話がしたい。
「私がお姉さまのお気持ちを察してあげることができていたら、きっと旦那さまもここまで傷つかなかったですわよね」
申し訳ございません、とソフィアは丁寧に頭を下げる。
「いや、謝ることはない。そんなことは君が謝ることじゃないのだ!」
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イーサンは勢いよく頭を下げる。
「いつまでもいじけていた私がいけなかったのだ! 君の気持ちに何一つ配慮することができなかった」
まさかイーサンから謝罪の言葉が聞けるとは思っていなかった。ソフィアはそれまで饒舌に話していたことが嘘のように、次の言葉が出てこない。
「申し訳ないことをしていた! ここまで君を追い詰めていただなんて、いまさら謝っても意味がないよな」
ソフィアが黙りこんでしまったので、イーサンは不安になったのかさらに深く頭を下げる。
互いに頭を下げ合うという奇妙な時間がしばらく続いた。
「…………意味がないことはないですが、ちょーっと遅いですわね」
ソフィアはそう言いながらゆっくりと頭をあげて、穏やかに微笑んだ。
「では、お互いに謝罪をしたということで、今までの無礼はなかったことにしてくださいましね」
ソフィアの言葉を聞いたイーサンが、複雑そうな顔をしながら頭をあげる。
「私が言うのはどうかとも思うのだが、君はもう少し弱みを見せてもいいと思う」
「……っな⁉」
イーサンにそんなことを言われるとは思わず、ソフィアはまた言葉に詰まる。
「どんなことでも無理やり前向きにとらえ直そうとし過ぎている気がする。そんなに強がらずに、君こそ少し力を抜いたらどうだ?」
「――っあなたにだけは言われたくありません‼︎」
イーサンにもっともなことを指摘されるのは悔しくて、ソフィアはつい叫んでしまった。
結局、この日はこんな調子で終わってしまった。
イーサンの言い訳に、ソフィアが自分の意見を言い聞かせるというやり取りが永遠に続いたのだ。時折、イーサンに的確な指摘を受けるので、それには動揺しっぱなしだった。
恋がしたい、とエイナルの前で強がって言っていたことを、イーサンに伝える余裕はなかった。
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