お題に挑戦した短編・掌編集

黒蜜きな粉

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お題:落とし物を届けたら

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『書かなきゃ駄目ですか?』


 免許更新で訪れた最寄りの警察署。

 免許更新の書類を書こうとカウンターに向かったら、そこにお財布がおかれていました。
 きっとお財布の中から免許証を取り出して書類の記載をしたとき、そのまま財布をカウンターの上に置き忘れてしまったのでしょう。
 私は少し大きめの声で、周囲の人にお財布を忘れていないか聞いてまわりました。

 しかし、誰も自分の物ではないとおっしゃるのです。
 ならばしかたがない。
 私はさっさと自分の免許更新用の書類を書き終えました。
 それを免許更新の窓口に提出しようとしたときに、そこにいた警察官のお姉さんに「免許証の更新書類を書くカウンターの上にありました」とお財布をお渡ししようとしました。
 すると警察のお姉さん「拾得物の窓口はこちらではありません」と受け取ってくれず。

 うん、そうなんだけどさ。
 間違いなくそうなんだけどさ。
 なんかさ、なんかさあ?

「でも、免許更新書類を書くカウンターにありましたし。気がついたらこちらにいらっしゃるんじゃないかと思うのですが」
「ですから、拾得物の窓口はこちらではありません。そちらの窓口にいっていただいて、書類をお書きください」

 なんと免許更新の書類も受け取ってくれず。
 まずは拾得物の窓口へ行くことに……。

 いや、うん。
 更新時の講習を受けているから、今はここにいないだけじゃないのかと思うんだよね。
 てか財布の中身を見たらさ、持ち主が講習中かもわかるんじゃないのかな。
 警察官なら中身を見ても文句言われないと思ったからさ、頼んでいるのよね。

 結局、拾得物の窓口に行ったら「署内の拾得物で書類を書いていただくのは、ちょっと」と言葉を濁されてしまいました。
 
 そうですよね!
 そんな感じがしましたよと、激しく同意。

 拾得物の窓口にいた警察官のお兄さんは、持ち主が講習を受けている最中かすぐに調べてくれました。
 無事にお財布は持ち主のもとへ帰っていきました。


 なんだかんや拾得物の窓口でのやり取りを終え、私は本来の目的である免許証の更新をするために再びそちらの窓口へ。
 さきほどのお姉さんとご対面。

「拾得物の窓口はこちらではありません」
「いいえ、免許証の更新をしにきたんです」


 今日のお題を見て、思い出したエピソードでございます。
 おしまい!
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