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2.神器のアタリハズレ
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名称:神巻きタバコ
効果:神のごとき香りがする。数量無限。所有者の能力を増幅する。神は巻かれていないのでご安心を。
なかなかシャレの効いた説明文だ。
無限にタバコが吸えるなんて素晴らしい神器だな。
完全に嗜好品としてタバコを取ったけれど、効果もなかなかいいんじゃないだろうか。
たぶんドーピングのような能力なのだろう。
こんなしょぼくれたおっさんの能力を増幅してもそんなにスーパーなおっさんにはなれないと思うが、若い子のように走れたりするようになるのであれば嬉しい能力だ。
俺は上機嫌で他の神器を眺めていく。
1つ目に嗜好品を取ってしまったので、2つ目は慎重に選ばないと。
しかし俺の目に入るのはまたも嗜好品。
酒だ。
ワインボトルのようなビンに、ご丁寧に酒と書いてある。
酒もまた、おっさんには無くてはならない嗜好品だ。
もし向こうの世界がアメリカ禁酒法時代のように酒の手に入らない時代だったら。
俺は迷いを振り払うように酒に手を伸ばした。
名称:神酒
効果:神のごとき味がする。数量無限。とても身体にいい。
隣でちょっと残念そうにしている50代くらいのサラリーマンがいた。
酒も一つしかないアイテムだったのでちょっと申し訳ない。
俺はひとつ会釈をした。
向こうのサラリーマンも苦笑を浮かべて会釈を返す。
能力は青汁みたいなものだったが、無限に湧き出る身体に悪くない酒というだけで神器たりえるだろう。
2つ目も嗜好品になってしまったが、後悔はない。
酒とタバコが揃ったんだ、異世界でも宇宙コロニーでも問題なく暮らせるだろう。
しかし最後のひとつだけは真面目に選びたいところだ。
向こうに召喚されてからの状況次第では、召喚した国を出て独力で生きたほうが利口な選択であったりする場合もありえる。
そうなったときに一番必要となるのは、金を稼ぐ力だろう。
酒とタバコを売れば生活できなくもないけれど、両方勝手に売っていいのかわからない商品だからな。
既得権益にちょっかいを出すとおっかない。
最後の一つは無難にお金が稼げるようなアイテムがいい。
俺は若者が集っているスマホや武器などのあるエリアをはなから除外して、日用品や嗜好品のある場所を中心に見て回る。
おっさんが凄い武器持ったって戦えるはずもない。
むしろ中途半端な力を持ってしまったら、前線に立たされて戦わされるかもしれない。
だから俺が最後に選ぶのは、金を稼ぐことのできる神器か逃げに特化した神器だ。
靴とか、いいんじゃないかな。
足が速くなるかもしれない。
俺は革靴に手を伸ばすが、先ほどの50代サラリーマンのほうが一歩早かった。
革靴はサラリーマンの中に吸い込まれる。
棚には文字が表示されているようには見えない。
神器の効果は他人には見えないようになっているのか。
俺と50代サラリーマンは、先ほどと逆の状況にまた互いに苦笑を浮かべながら会釈する。
「すみませんが、お先に」
「え?」
サラリーマンはもう3つすべてを選び終えたのか、光に包まれて消えてしまった。
3つ選ぶと自動的にこの空間から移動するのか。
神器を選ぶ人々を見ると、確かに人数が減ってきている。
おそらく召喚されたのは満員電車のあの車両に乗っていた乗客300人くらいだろうか。
それが今では半数ほどにまで減っていた。
もう3つ選び終えたのか。
急ぐ必要は無いと思うけれど、なぜか焦燥感に苛まれる。
残り物には福があるとは言うが、生まれてこのかたそのことわざを実感したことは無い。
みんなが選び終わった後に残ったものになんて、碌なものであったためしが無い。
俺は少し急いで日用品などを見て回る。
ホウキなんて飛べそうで面白そうだ。
しかし俺がそう思った瞬間に女子高生が手に取り、その肉体に吸い込まれて消えた。
まだ焦る必要はない。
まだたくさんあるじゃないか。
しかしこの空間にいる人の数は刻一刻と減り続ける。
そして選べる神器の数も。
そして気付いたときには、この空間に残る人間は俺を含めて3人になってしまっていた。
一人は目つきの鋭いきつめの顔のOL。
そしてもう一人は気の弱そうな小動物を彷彿とさせる女子高生だ。
しかし困ったことに、残っている神器があと2つしか無いように思える。
1つは鍵の付いた大きな冷蔵庫の形をした神器。
もう1つはフライパンの形をした神器だ。
これでは誰か一人の神器が足りない。
「あの……」
一番年上として、俺は女神様に質問してみる。
「はいなんでしょう?」
「神器の数が、足りないように思えるのですが……」
「いいえ、足りていますよ?ほら、あちらの棚をよくご覧になってみてください」
「え?」
俺は女神様の指差す棚に目を凝らしてよく見る。
そこには確かに何かがあった。
小さくてよく見えないけれど、木の実かなにかだろうか。
俺は近づいてよく見る。
これは、どんぐりだな。
1センチに満たないような小さなどんぐりが、その棚には転がされていた。
「ね、あったでしょ?」
「ええ、ありがとうございました」
「どういたしまして」
さて、それでは誰がどれを選ぶかだ。
もうここまで来たら俺はどれになってもいいような気がしている。
冷蔵庫は便利そうだし、フライパンは防具にも武器にもなりそうだし、どんぐりなんてどんな力が秘められているのか想像もできない。
「俺は最後でいいので、お2人が先に選んでください」
「いいのですか?では、遠慮なく」
きつめの顔をしたOLはその外見の印象よりも幾分か甘い声でそう答え、冷蔵庫を選択。
ビールとか入ってたら最高だね。
OLは一礼して消えていく。
「あの、本当にいいんですか?」
「ああ、どちらもどんなものなのか想像できないしね」
「それもそうですね……」
女子高生はか細い声でそう呟くと、フライパンのほうを選んで消えた。
消えるときに俺のほうを見て、深くお辞儀をしていったのが印象的だ。
礼儀正しい女子高生は好きだ。
おっさんがこんなこと言うと犯罪に聞こえるけどね。
「さあ、あなたで最後ですね」
「ええ」
最後に残ったのはどんぐり。
いったいどんな能力が秘められているのか。
数量無限のただのどんぐりの可能性もあるのかな。
どんぐりは一応食料にもなるのでそれでも十分凄いけど、神器としてはハズレだ。
しかし仮にも神器と言っているのに、ハズレなアイテムがあるものだろうか。
実際に神巻きタバコと神酒の性能には少々の差があるように感じるのだから、ありうるのかもしれない。
「あの、もうひとつだけ質問してもいいですか?」
「なんですか?最後なので許します」
「頂いた神器に性能差があるように感じたのですが、明確な優劣というものはあるのですか?」
「うふふ、そんなに飾り立てた言葉を使わなくても、アタリハズレがあるのかと聞かれたくらいでは怒りませんよ」
「も、申し訳ない」
にっこりと笑った女神様の顔は、俺程度の人生ではきっと生涯目にすることはないような美しさだった。
これはアラフォーでも男子高校生のようにクラっときてしまうな。
「もちろん、神器にはアタリハズレがありますよ。そのほうが面白いですからね。人間とは何にでも優劣を付けたがる生き物ですから、すべて同列のアイテムを渡しても面白くないでしょ?」
「な、なるほど」
顔は綺麗だけどやっぱり中身は少々のサイコパス。
性能差のある神器を渡して人間同士で優劣を争わせる気なのか。
しかも一人に1つの神器ではなく、一人に対して3つの神器を渡すことによってその組み合わせや使い方なども工夫して争わせる気なのかもしれない。
見ず知らずの世界に召喚させられて、同郷同士がどちらが優れているのか争うなんてぞっとする話だ。
「さあ、もう質問は終わりね。行きなさい」
「はい、ありがとうございました」
「いえ、気をつけて」
俺はどんぐりに触れる。
名称:神樹の実(小)
効果:神不味い。食べるとすべての初級魔法が使えるようになる。育てるといいことがあるかも。
これは、アタリなのかハズレなのか。
俺の身体が光に包まれ、女神様の姿がぼやけ始める。
「たくさん楽しませてくださいね?」
最後にそんな声が聞こえた気がした。
効果:神のごとき香りがする。数量無限。所有者の能力を増幅する。神は巻かれていないのでご安心を。
なかなかシャレの効いた説明文だ。
無限にタバコが吸えるなんて素晴らしい神器だな。
完全に嗜好品としてタバコを取ったけれど、効果もなかなかいいんじゃないだろうか。
たぶんドーピングのような能力なのだろう。
こんなしょぼくれたおっさんの能力を増幅してもそんなにスーパーなおっさんにはなれないと思うが、若い子のように走れたりするようになるのであれば嬉しい能力だ。
俺は上機嫌で他の神器を眺めていく。
1つ目に嗜好品を取ってしまったので、2つ目は慎重に選ばないと。
しかし俺の目に入るのはまたも嗜好品。
酒だ。
ワインボトルのようなビンに、ご丁寧に酒と書いてある。
酒もまた、おっさんには無くてはならない嗜好品だ。
もし向こうの世界がアメリカ禁酒法時代のように酒の手に入らない時代だったら。
俺は迷いを振り払うように酒に手を伸ばした。
名称:神酒
効果:神のごとき味がする。数量無限。とても身体にいい。
隣でちょっと残念そうにしている50代くらいのサラリーマンがいた。
酒も一つしかないアイテムだったのでちょっと申し訳ない。
俺はひとつ会釈をした。
向こうのサラリーマンも苦笑を浮かべて会釈を返す。
能力は青汁みたいなものだったが、無限に湧き出る身体に悪くない酒というだけで神器たりえるだろう。
2つ目も嗜好品になってしまったが、後悔はない。
酒とタバコが揃ったんだ、異世界でも宇宙コロニーでも問題なく暮らせるだろう。
しかし最後のひとつだけは真面目に選びたいところだ。
向こうに召喚されてからの状況次第では、召喚した国を出て独力で生きたほうが利口な選択であったりする場合もありえる。
そうなったときに一番必要となるのは、金を稼ぐ力だろう。
酒とタバコを売れば生活できなくもないけれど、両方勝手に売っていいのかわからない商品だからな。
既得権益にちょっかいを出すとおっかない。
最後の一つは無難にお金が稼げるようなアイテムがいい。
俺は若者が集っているスマホや武器などのあるエリアをはなから除外して、日用品や嗜好品のある場所を中心に見て回る。
おっさんが凄い武器持ったって戦えるはずもない。
むしろ中途半端な力を持ってしまったら、前線に立たされて戦わされるかもしれない。
だから俺が最後に選ぶのは、金を稼ぐことのできる神器か逃げに特化した神器だ。
靴とか、いいんじゃないかな。
足が速くなるかもしれない。
俺は革靴に手を伸ばすが、先ほどの50代サラリーマンのほうが一歩早かった。
革靴はサラリーマンの中に吸い込まれる。
棚には文字が表示されているようには見えない。
神器の効果は他人には見えないようになっているのか。
俺と50代サラリーマンは、先ほどと逆の状況にまた互いに苦笑を浮かべながら会釈する。
「すみませんが、お先に」
「え?」
サラリーマンはもう3つすべてを選び終えたのか、光に包まれて消えてしまった。
3つ選ぶと自動的にこの空間から移動するのか。
神器を選ぶ人々を見ると、確かに人数が減ってきている。
おそらく召喚されたのは満員電車のあの車両に乗っていた乗客300人くらいだろうか。
それが今では半数ほどにまで減っていた。
もう3つ選び終えたのか。
急ぐ必要は無いと思うけれど、なぜか焦燥感に苛まれる。
残り物には福があるとは言うが、生まれてこのかたそのことわざを実感したことは無い。
みんなが選び終わった後に残ったものになんて、碌なものであったためしが無い。
俺は少し急いで日用品などを見て回る。
ホウキなんて飛べそうで面白そうだ。
しかし俺がそう思った瞬間に女子高生が手に取り、その肉体に吸い込まれて消えた。
まだ焦る必要はない。
まだたくさんあるじゃないか。
しかしこの空間にいる人の数は刻一刻と減り続ける。
そして選べる神器の数も。
そして気付いたときには、この空間に残る人間は俺を含めて3人になってしまっていた。
一人は目つきの鋭いきつめの顔のOL。
そしてもう一人は気の弱そうな小動物を彷彿とさせる女子高生だ。
しかし困ったことに、残っている神器があと2つしか無いように思える。
1つは鍵の付いた大きな冷蔵庫の形をした神器。
もう1つはフライパンの形をした神器だ。
これでは誰か一人の神器が足りない。
「あの……」
一番年上として、俺は女神様に質問してみる。
「はいなんでしょう?」
「神器の数が、足りないように思えるのですが……」
「いいえ、足りていますよ?ほら、あちらの棚をよくご覧になってみてください」
「え?」
俺は女神様の指差す棚に目を凝らしてよく見る。
そこには確かに何かがあった。
小さくてよく見えないけれど、木の実かなにかだろうか。
俺は近づいてよく見る。
これは、どんぐりだな。
1センチに満たないような小さなどんぐりが、その棚には転がされていた。
「ね、あったでしょ?」
「ええ、ありがとうございました」
「どういたしまして」
さて、それでは誰がどれを選ぶかだ。
もうここまで来たら俺はどれになってもいいような気がしている。
冷蔵庫は便利そうだし、フライパンは防具にも武器にもなりそうだし、どんぐりなんてどんな力が秘められているのか想像もできない。
「俺は最後でいいので、お2人が先に選んでください」
「いいのですか?では、遠慮なく」
きつめの顔をしたOLはその外見の印象よりも幾分か甘い声でそう答え、冷蔵庫を選択。
ビールとか入ってたら最高だね。
OLは一礼して消えていく。
「あの、本当にいいんですか?」
「ああ、どちらもどんなものなのか想像できないしね」
「それもそうですね……」
女子高生はか細い声でそう呟くと、フライパンのほうを選んで消えた。
消えるときに俺のほうを見て、深くお辞儀をしていったのが印象的だ。
礼儀正しい女子高生は好きだ。
おっさんがこんなこと言うと犯罪に聞こえるけどね。
「さあ、あなたで最後ですね」
「ええ」
最後に残ったのはどんぐり。
いったいどんな能力が秘められているのか。
数量無限のただのどんぐりの可能性もあるのかな。
どんぐりは一応食料にもなるのでそれでも十分凄いけど、神器としてはハズレだ。
しかし仮にも神器と言っているのに、ハズレなアイテムがあるものだろうか。
実際に神巻きタバコと神酒の性能には少々の差があるように感じるのだから、ありうるのかもしれない。
「あの、もうひとつだけ質問してもいいですか?」
「なんですか?最後なので許します」
「頂いた神器に性能差があるように感じたのですが、明確な優劣というものはあるのですか?」
「うふふ、そんなに飾り立てた言葉を使わなくても、アタリハズレがあるのかと聞かれたくらいでは怒りませんよ」
「も、申し訳ない」
にっこりと笑った女神様の顔は、俺程度の人生ではきっと生涯目にすることはないような美しさだった。
これはアラフォーでも男子高校生のようにクラっときてしまうな。
「もちろん、神器にはアタリハズレがありますよ。そのほうが面白いですからね。人間とは何にでも優劣を付けたがる生き物ですから、すべて同列のアイテムを渡しても面白くないでしょ?」
「な、なるほど」
顔は綺麗だけどやっぱり中身は少々のサイコパス。
性能差のある神器を渡して人間同士で優劣を争わせる気なのか。
しかも一人に1つの神器ではなく、一人に対して3つの神器を渡すことによってその組み合わせや使い方なども工夫して争わせる気なのかもしれない。
見ず知らずの世界に召喚させられて、同郷同士がどちらが優れているのか争うなんてぞっとする話だ。
「さあ、もう質問は終わりね。行きなさい」
「はい、ありがとうございました」
「いえ、気をつけて」
俺はどんぐりに触れる。
名称:神樹の実(小)
効果:神不味い。食べるとすべての初級魔法が使えるようになる。育てるといいことがあるかも。
これは、アタリなのかハズレなのか。
俺の身体が光に包まれ、女神様の姿がぼやけ始める。
「たくさん楽しませてくださいね?」
最後にそんな声が聞こえた気がした。
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