59 / 205
59.フライパンの子
しおりを挟む
助けを求めていると思われるアカウントの持ち主が、あの礼儀正しい女子高生であることが分かった。
儀を重んじるおっさんとしては、一言二言であっても会話したことのある女の子を助けてあげたいと思う。
男子高校生だったらというイフは今は意味を成さないので考えない。
おっさんが女子高生を好きなのはもはや世界の摂理とかそういう問題だから、それを議論しても仕方がないだろう。
俺は中条さんの位置情報を調べる。
これは決して邪な気持ちからやっているわけではないのだ。
緊急事態だから。
中条さんがいるのはステルシア聖王国の大聖堂の地下のようだ。
建物のどこにいるかまでわかるとは、ゴッドポジショニングシステムは素晴らしいな。
しかし地下と聞くだけでなぜか悪い想像をしてしまうのは俺だけだろうか。
とにかく、一度様子を見にいってみよう。
最近分かったことなのだが、神のスマホのマップ機能を使うと行ったことの無い場所であっても転移することができるのだ。
神の苦無威を使えば、誰にも気が付かれずに浸入することも可能だろう。
俺は神の苦無威を握り締めて、聖王国に転移した。
「来ないでください!!それ以上近づいたら燃やしますよ」
「怖いねえ、勇者様は。だが、これを見てもそんな威勢のいいことが言えるかな?」
「助けてぇ、お姉ちゃん!!」
「なっ!あなたたちはどこまで卑劣なんですか!!獣人の子供を、人質にするなんて!!」
「ひひひっ、なんとでも言え。俺達はお前を拷問して犯せればなんでもいいからな。辛いのが嫌なら早くガキを生んで神器を受け継がせることだな。そうすれば楽に殺してやるからよ」
「くっ……」
とんでもない状況に転移してきてしまった。
しかし中条さんはまだ乱暴されたりはしていない様子。
なんとか間に合ってよかったな。
この様子だと獣人の子供を盾にどんなことをされるのか分かったものじゃない。
この状況は一体どうなっているのかな。
中条さんはステルシア聖王国の陣営に所属していたはずだ。
教皇派ではなく、枢機卿の一人の陣営だ。
それがこんなところに幽閉されて、獣人の子供を盾に酷い目にあわされようとしている。
まあ何があったのかは本人から聞くとしよう。
俺は獣人の子供を押さえつけている男の背中から忍び寄り、手にしたクナイで心臓を一突きにした。
「かはっ……」
ばたり、と男が倒れこむ。
神の苦無威の凄いところは、ここで他の人への隠密効果が切れないところだ。
神の苦無威の隠密効果は、触れた人間にのみ解除される。
しかし唯一触れた人間である男は絶命。
他の人には男が突然死んだように見えているだろう。
暗殺が失敗しない限りは無限の隠密能力を得ることができるとは、まさに神の名を冠するのに相応しい神器だ。
俺は中条さんと話していた男も心臓一突きで殺し、姿を現す。
「あ、あなたは……」
「お久しぶりですね。神の空間以来です」
「は、はい。ですが、なぜ?」
「これ、中条さんのつぶやきじゃありませんか?」
つぶやきを見てアカウントの特定をした俺のことを、中条さんは気持ち悪いと思うかもしれない。
しかしそれを秘密にするというのはちょっと卑怯な気がして、俺は馬鹿正直に神のスマホのことを話した。
「そうなんですか。いえ、気持ち悪いなんて思いませんよ。助けに来ていただいて本当にありがとうございます。あのままであれば、私はどんな目にあわされていたか……」
想像してしまったのか、中条さんは顔を青くしてぶるりと震える。
まあろくな死に方はできなかったことだけは確かだな。
さっき殺した男は子供を生ませて神器を受け継がせてから殺すと言っていた。
その子供もどんな教育がなされるのか分かったものではない。
まったく、三国同盟はこんな国しかないのか。
「とりあえずここで立ち話もなんですから、移動しましょう。私は転移が使えますから」
転移が魔法であることをぼかして伝える。
なんとなく俺の勘がこの子は善良であると伝えてきているが、すべての神器の力を伝えるまでの信用はすることができない。
伊藤紗江子のこともあって、少々女子高生に懐疑的になっていることもあるかもしれない。
若い子の考えがいまいち分からないというのは、おっさんの永遠の課題なんだ。
「あの、図々しいお願いなんですけど。もうひとり助けて欲しい人がいるんです」
「わかった」
「え、いいんですか?そんなに簡単なことでは無いと思いますけど……」
断わられることも覚悟していたのかもしれない。
中条さんは少し驚いた様子でその人の特徴を伝える。
まあ神の苦無威が無かったら断わったかもしれないけど、これがあればリスクはほとんど無いからな。
ちょっと最近は普通の神経というものを失いつつある。
「じゃあその狼獣人の女性を助け出せばいいんだね。君たちは危険だから一度俺のお世話になっている貴族の領地に送るけど、その場からあまり離れないようにしてくれるかな」
「分かりました。すみませんが、よろしくお願いします」
俺は中条さんと獣人の子供を連れて一度男爵領へと転移した。
男爵達に説明するのは面倒なので後回しだ。
とりあえずは獣人たちが暮らしていた壁付近の居住スペースに2人を案内し、そこからあまり動かないようにお願いする。
男爵領内は俺や警備隊の兵士たちが定期的に魔物を狩っているとはいえ、全く生息していないわけではない。
魔物の素材も貴重な資源なので狩り尽くしてしまうわけにもいかないのだ。
神器を持つ中条さんには余計なお世話かもしれないけれど、念のためだ。
お茶とお菓子を2人の前に置いて、俺は再び大聖堂の地下へと転移した。
さきほど中条さんが幽閉されていた牢を出て、他の房を見て回る。
見るからに罪人っぽい人やら、獣人やら、身分の良さそうな人やら、わけの分からない牢だな。
とりあえず獣人だけは全員解放してしまおう。
俺は獣人の房の鍵を壊して軽く説明し、男爵領へ転移させていく。
「かたじけねぇ……」
獣人たちは深い恩義を感じてくれているようだ。
なんか王国よりも獣人に対する扱いが輪をかけて酷いような気がするな。
聖王国っていう国はいったいどういう国なんだ。
やがて獣人が囚われているすべての房を開放し終える。
「おい、そこのお前。頼む、ワシも出してくれんか?礼は弾むぞ?」
「ワシも」
「俺も」
「私も」
俺に声をかけてきたのは身分の良さそうな感じの人たちだ。
この人たちはおそらく政治犯なのだろうけど、判断に困る。
まあ聖王国が混乱してくれるのは望むところか。
俺は政治犯の人たちを出してあげた。
「じゃあ首都の郊外に転移させますね」
「「「恩に着る」」」
これでよし、と。
あ、期待されてるところ悪いのですが、ガラの悪そうな人たちはちょっとダメですね。
善良な人に危害を加えそうなんで。
俺はそれらの房からのジトッとした視線を無視して一番奥の扉に向かった。
物々しい鉄の扉だ。
どう考えても中の部屋はまともな使われ方をしていない。
今も女の人のくぐもったうめき声が漏れ出ている。
急いだほうがよさそうだ。
俺は扉を破壊して中に入った。
儀を重んじるおっさんとしては、一言二言であっても会話したことのある女の子を助けてあげたいと思う。
男子高校生だったらというイフは今は意味を成さないので考えない。
おっさんが女子高生を好きなのはもはや世界の摂理とかそういう問題だから、それを議論しても仕方がないだろう。
俺は中条さんの位置情報を調べる。
これは決して邪な気持ちからやっているわけではないのだ。
緊急事態だから。
中条さんがいるのはステルシア聖王国の大聖堂の地下のようだ。
建物のどこにいるかまでわかるとは、ゴッドポジショニングシステムは素晴らしいな。
しかし地下と聞くだけでなぜか悪い想像をしてしまうのは俺だけだろうか。
とにかく、一度様子を見にいってみよう。
最近分かったことなのだが、神のスマホのマップ機能を使うと行ったことの無い場所であっても転移することができるのだ。
神の苦無威を使えば、誰にも気が付かれずに浸入することも可能だろう。
俺は神の苦無威を握り締めて、聖王国に転移した。
「来ないでください!!それ以上近づいたら燃やしますよ」
「怖いねえ、勇者様は。だが、これを見てもそんな威勢のいいことが言えるかな?」
「助けてぇ、お姉ちゃん!!」
「なっ!あなたたちはどこまで卑劣なんですか!!獣人の子供を、人質にするなんて!!」
「ひひひっ、なんとでも言え。俺達はお前を拷問して犯せればなんでもいいからな。辛いのが嫌なら早くガキを生んで神器を受け継がせることだな。そうすれば楽に殺してやるからよ」
「くっ……」
とんでもない状況に転移してきてしまった。
しかし中条さんはまだ乱暴されたりはしていない様子。
なんとか間に合ってよかったな。
この様子だと獣人の子供を盾にどんなことをされるのか分かったものじゃない。
この状況は一体どうなっているのかな。
中条さんはステルシア聖王国の陣営に所属していたはずだ。
教皇派ではなく、枢機卿の一人の陣営だ。
それがこんなところに幽閉されて、獣人の子供を盾に酷い目にあわされようとしている。
まあ何があったのかは本人から聞くとしよう。
俺は獣人の子供を押さえつけている男の背中から忍び寄り、手にしたクナイで心臓を一突きにした。
「かはっ……」
ばたり、と男が倒れこむ。
神の苦無威の凄いところは、ここで他の人への隠密効果が切れないところだ。
神の苦無威の隠密効果は、触れた人間にのみ解除される。
しかし唯一触れた人間である男は絶命。
他の人には男が突然死んだように見えているだろう。
暗殺が失敗しない限りは無限の隠密能力を得ることができるとは、まさに神の名を冠するのに相応しい神器だ。
俺は中条さんと話していた男も心臓一突きで殺し、姿を現す。
「あ、あなたは……」
「お久しぶりですね。神の空間以来です」
「は、はい。ですが、なぜ?」
「これ、中条さんのつぶやきじゃありませんか?」
つぶやきを見てアカウントの特定をした俺のことを、中条さんは気持ち悪いと思うかもしれない。
しかしそれを秘密にするというのはちょっと卑怯な気がして、俺は馬鹿正直に神のスマホのことを話した。
「そうなんですか。いえ、気持ち悪いなんて思いませんよ。助けに来ていただいて本当にありがとうございます。あのままであれば、私はどんな目にあわされていたか……」
想像してしまったのか、中条さんは顔を青くしてぶるりと震える。
まあろくな死に方はできなかったことだけは確かだな。
さっき殺した男は子供を生ませて神器を受け継がせてから殺すと言っていた。
その子供もどんな教育がなされるのか分かったものではない。
まったく、三国同盟はこんな国しかないのか。
「とりあえずここで立ち話もなんですから、移動しましょう。私は転移が使えますから」
転移が魔法であることをぼかして伝える。
なんとなく俺の勘がこの子は善良であると伝えてきているが、すべての神器の力を伝えるまでの信用はすることができない。
伊藤紗江子のこともあって、少々女子高生に懐疑的になっていることもあるかもしれない。
若い子の考えがいまいち分からないというのは、おっさんの永遠の課題なんだ。
「あの、図々しいお願いなんですけど。もうひとり助けて欲しい人がいるんです」
「わかった」
「え、いいんですか?そんなに簡単なことでは無いと思いますけど……」
断わられることも覚悟していたのかもしれない。
中条さんは少し驚いた様子でその人の特徴を伝える。
まあ神の苦無威が無かったら断わったかもしれないけど、これがあればリスクはほとんど無いからな。
ちょっと最近は普通の神経というものを失いつつある。
「じゃあその狼獣人の女性を助け出せばいいんだね。君たちは危険だから一度俺のお世話になっている貴族の領地に送るけど、その場からあまり離れないようにしてくれるかな」
「分かりました。すみませんが、よろしくお願いします」
俺は中条さんと獣人の子供を連れて一度男爵領へと転移した。
男爵達に説明するのは面倒なので後回しだ。
とりあえずは獣人たちが暮らしていた壁付近の居住スペースに2人を案内し、そこからあまり動かないようにお願いする。
男爵領内は俺や警備隊の兵士たちが定期的に魔物を狩っているとはいえ、全く生息していないわけではない。
魔物の素材も貴重な資源なので狩り尽くしてしまうわけにもいかないのだ。
神器を持つ中条さんには余計なお世話かもしれないけれど、念のためだ。
お茶とお菓子を2人の前に置いて、俺は再び大聖堂の地下へと転移した。
さきほど中条さんが幽閉されていた牢を出て、他の房を見て回る。
見るからに罪人っぽい人やら、獣人やら、身分の良さそうな人やら、わけの分からない牢だな。
とりあえず獣人だけは全員解放してしまおう。
俺は獣人の房の鍵を壊して軽く説明し、男爵領へ転移させていく。
「かたじけねぇ……」
獣人たちは深い恩義を感じてくれているようだ。
なんか王国よりも獣人に対する扱いが輪をかけて酷いような気がするな。
聖王国っていう国はいったいどういう国なんだ。
やがて獣人が囚われているすべての房を開放し終える。
「おい、そこのお前。頼む、ワシも出してくれんか?礼は弾むぞ?」
「ワシも」
「俺も」
「私も」
俺に声をかけてきたのは身分の良さそうな感じの人たちだ。
この人たちはおそらく政治犯なのだろうけど、判断に困る。
まあ聖王国が混乱してくれるのは望むところか。
俺は政治犯の人たちを出してあげた。
「じゃあ首都の郊外に転移させますね」
「「「恩に着る」」」
これでよし、と。
あ、期待されてるところ悪いのですが、ガラの悪そうな人たちはちょっとダメですね。
善良な人に危害を加えそうなんで。
俺はそれらの房からのジトッとした視線を無視して一番奥の扉に向かった。
物々しい鉄の扉だ。
どう考えても中の部屋はまともな使われ方をしていない。
今も女の人のくぐもったうめき声が漏れ出ている。
急いだほうがよさそうだ。
俺は扉を破壊して中に入った。
102
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる