67 / 205
67.おっさんとオーク
しおりを挟む
「なあおっさん、大丈夫なのかよ。オーク相手にそんな皮鎧と細い剣で」
カールは魔法を教え終わったらまたおっさん呼びに戻ってしまったようだ。
先生って呼ばれるのは俺もちょっと恥ずかしいので別にいいが。
カールが心配しているのは俺の装備のことだろう。
町の武器屋で買った安物の皮鎧と刺突剣。
これが俺の装備だ。
オークを相手にするには、攻撃を受ける盾役と攻撃を仕掛ける攻撃役などの複数人であたるのがセオリーだ。
前衛後衛に分けて3人から4人くらいで1匹のオークを相手にするのが普通かな。
だが俺達は2人。
それも1人はとてもオークと戦える力量の無い非戦闘員。
つまり実質1人で相手をしなければならない。
1人でオークを相手取るならば、オークの攻撃をすべて避けコンパクトかつ確実な攻撃でちくちく削るのが常道。
つまり俺の皮鎧に刺突剣というのは1人でオークを狩るなら常道の装備なのだ。
「カール、オークっていうのはそこまで素早い魔物じゃない。1対1で相手をするなら、こういった身軽な装備に軽い武器っていうのが有効なんだ」
「へー。まあ俺達は2対1だけどな」
「オークを前にしても同じことが口にできたら頑張って戦ってくれ」
「余裕だぜ!」
頼もしいね。
さて、オークはどこかな。
「ブヒィィィッ!!」
「ひぇっ」
オークを目にしたカールの膝は振るえ、目に涙が溜まる。
ほう、漏らさないとは。
なかなか見所があるかもしれない。
まだこの身体の使い方がよく分かってなかった頃のおっさんは、オークを前にして軽く漏らしたからね。
大きいほうを。
あれは精神耐性が高まったよ。
「カール、さっきの大口はどこにいった?」
「お、おっさん、無理だよ。あれは子供じゃ絶対勝てない。たとえ獣人であっても」
「よく分かってるじゃないか。たぶん君のお友達が倒したのはビッグボアかなにかだろう。二足歩行の猪はそんなに牙が長くない」
「うん……」
涎を垂らして鼻息を荒くするオークの下顎から伸びる牙は、せいぜい5センチくらいのものだ。
そもそも2足歩行で口に大きな牙があったら邪魔でしょうがないからね。
「お、おっさん。逃げよう。殺されちまうよ」
「まあおっさんに任せておいて。おっさんはこういうの、得意だから」
俺は刺突剣を抜き、オークと対峙する。
「ブルヒヒヒヒッ」
オークがまるで嗤っているかのように嘶く。
小柄なおっさんが大した武器も持たずに自分に向かってくるのがおかしかったのだろう。
おっさんは確かにオークと比べたら体格は小さいし、武器も刺突剣だけだ。
だが、チートを持っている。
身体が大きいとか、手に持った武器が鋭いかくらいの情報で相手の強さを判断している豚野郎には、隠し持った拳銃の強さは想像ができないだろう。
銃を持てばゴブリンでも人間を虐殺できるように、チートを持ったおっさんは厄介だよ。
「ブヒィッ」
オークは手に持った斧を力任せに振るう。
ゴリラのように強靭な腕で振るわれた斧の威力は脅威だが、腕を振る前のモーションが分かりやすいので避けるのは難しくない。
俺は何も考えずにブンブンと斧を振り回すだけのオークに、刺突剣でチクチクとダメージを与えていった。
急所を一突きにすれば一撃だが、カールにはどうやればオークが効率的に倒せるのかを見せておきたい。
この年代の子供は、一撃で倒すのがかっこいいとか思っていそうだから。
たしかに一撃で倒せるのなら倒したほうが危険は無いが、どんな敵でも一撃で倒せるわけじゃない。
ここでおっさんがかっこよく一撃でオークを屠れば、カールは真似をしようとするだろう。
それは非常に危険だ。
オークはおっさんにとって雑魚だが、カールにとっては2ランク格上の敵に過ぎない。
今は倒せないけどいつか倒したいと思ったとき、目標とするのは実際に見たことのある戦いだ。
この戦い方ならばカールにいつか仲間ができてタンクとアタッカーという役割分担をしたときに、応用次第でどちらの役割もこなすことができるだろう。
俺はカールが戦いを見ていることを背中で感じながら、オークをじっくりゆっくりと倒していった。
長く苦しむことになったオークはごめん。
おっさんのこと嗤った罰な。
やがて身体中の傷からの出血に体力を奪われたオークは膝をつく。
おっさんの勝ちだ。
俺は肋骨の隙間から刺突剣を差し入れ、心臓を突き刺した。
オークの瞳から光が消え、倒れ掛かってくる。
刺突剣を素早く抜き取り、オークから少し離れる。
ドシンと重そうな音を立ててオークは崩れ落ちた。
「す、すげぇ……」
「おっさんのこと、見直した?」
「ああ、ちょっとだけ」
「ちょっとだけか……」
おっさん悲しいな。
まあちょっとでも見直してくれたなら、よしとするか。
パチパチと爆ぜる焚き火と、その周囲に突き立った肉塊。
ジュージューと脂を溢れさせるその肉は、俺が狩ったオークの肉だ。
オークの肉は美味い。
それはもはや異世界の常識のようなもの。
2足歩行しているものをあまり食べたくないとか、そういう考えはこの肉を初めて食べたときに捨てた。
臭みのない猪のような肉は焼きすぎると固くなるが、薄く切って脂身に多少焦げ目がつくくらいまで焼いて食べると非常に美味しい。
孤児院の子供たちは昔からの夢だとか言って肉塊のまま焼いて食べるらしいが。
俺は薄切りにして網で焼いたほうが早いし美味いって言ったんだけどね。
やっぱりマンガ肉はどこの世界でもロマンなんだね。
ジュージューと焼ける肉塊にかじりつくように見つめる子供たちを見守りながら、俺は薄切り肉を頬張りビールを流し込む。
たまらん。
「すみませんね、私まで御馳走になってしまって」
孤児院の院長先生が挨拶に来た。
オークの肉を俺はギルドに売るつもりは無かったので、孤児院で盛大に焼いて食べることにしたのだ。
院長先生は高齢だが、健啖家なようで薄切り肉をバクバクと美味しそうに食べて俺の注いだビールをぐいっとやる。
やっぱり焼肉とビールの相性は抜群だ。
院長先生には長生きして欲しいので神酒のビールを何本かプレゼントしておこう。
「なあ、おっさん……」
「ん?どうした?」
カールは同じ孤児院の子供たちと一緒にさっきまで肉塊に張り付いていたが、さすがに待ちきれなくなったのか薄切り肉を皿に盛って俺の隣に座る。
「なんでオークをギルドに売らなかったんだ?俺達のためなら……」
「いや、カールが思っているようなことじゃないよ。いいことがしたいだけなら金を寄付するさ」
「じゃあなんで……」
「俺はもともと、オークを狩ってもギルドに売るつもりは無かったんだよ」
「だからなんでだよ!おっさんは強いじゃん。だったらオークをギルドに持っていけばもっとすぐに高ランクの冒険者になれるはずだ!」
なるほど、カールはギルドのシステムを誤解しているようだ。
今の若い冒険者たちも同じような勘違いをしているってガルマさんが先日話していたっけな。
「カール。オークを倒してギルドに持っていっても、高ランク冒険者にはなれないよ」
「え、そうなのか?」
「受付のガルマさんが言うには、ギルドはランクの査定をギルドへの貢献度で判断しているんだ。貢献度って分かる?」
「うーん、ギルドへの貢献度……」
「ギルドのためになったってことだね。その点で言えば町から離れた場所のオークを1匹狩るのは、孤児院の塀を直すよりも貢献度が低いってわけ」
「わかるような、わからないような……」
ちょっと子供にはまだ難しい話だったかな。
カールは魔法を教え終わったらまたおっさん呼びに戻ってしまったようだ。
先生って呼ばれるのは俺もちょっと恥ずかしいので別にいいが。
カールが心配しているのは俺の装備のことだろう。
町の武器屋で買った安物の皮鎧と刺突剣。
これが俺の装備だ。
オークを相手にするには、攻撃を受ける盾役と攻撃を仕掛ける攻撃役などの複数人であたるのがセオリーだ。
前衛後衛に分けて3人から4人くらいで1匹のオークを相手にするのが普通かな。
だが俺達は2人。
それも1人はとてもオークと戦える力量の無い非戦闘員。
つまり実質1人で相手をしなければならない。
1人でオークを相手取るならば、オークの攻撃をすべて避けコンパクトかつ確実な攻撃でちくちく削るのが常道。
つまり俺の皮鎧に刺突剣というのは1人でオークを狩るなら常道の装備なのだ。
「カール、オークっていうのはそこまで素早い魔物じゃない。1対1で相手をするなら、こういった身軽な装備に軽い武器っていうのが有効なんだ」
「へー。まあ俺達は2対1だけどな」
「オークを前にしても同じことが口にできたら頑張って戦ってくれ」
「余裕だぜ!」
頼もしいね。
さて、オークはどこかな。
「ブヒィィィッ!!」
「ひぇっ」
オークを目にしたカールの膝は振るえ、目に涙が溜まる。
ほう、漏らさないとは。
なかなか見所があるかもしれない。
まだこの身体の使い方がよく分かってなかった頃のおっさんは、オークを前にして軽く漏らしたからね。
大きいほうを。
あれは精神耐性が高まったよ。
「カール、さっきの大口はどこにいった?」
「お、おっさん、無理だよ。あれは子供じゃ絶対勝てない。たとえ獣人であっても」
「よく分かってるじゃないか。たぶん君のお友達が倒したのはビッグボアかなにかだろう。二足歩行の猪はそんなに牙が長くない」
「うん……」
涎を垂らして鼻息を荒くするオークの下顎から伸びる牙は、せいぜい5センチくらいのものだ。
そもそも2足歩行で口に大きな牙があったら邪魔でしょうがないからね。
「お、おっさん。逃げよう。殺されちまうよ」
「まあおっさんに任せておいて。おっさんはこういうの、得意だから」
俺は刺突剣を抜き、オークと対峙する。
「ブルヒヒヒヒッ」
オークがまるで嗤っているかのように嘶く。
小柄なおっさんが大した武器も持たずに自分に向かってくるのがおかしかったのだろう。
おっさんは確かにオークと比べたら体格は小さいし、武器も刺突剣だけだ。
だが、チートを持っている。
身体が大きいとか、手に持った武器が鋭いかくらいの情報で相手の強さを判断している豚野郎には、隠し持った拳銃の強さは想像ができないだろう。
銃を持てばゴブリンでも人間を虐殺できるように、チートを持ったおっさんは厄介だよ。
「ブヒィッ」
オークは手に持った斧を力任せに振るう。
ゴリラのように強靭な腕で振るわれた斧の威力は脅威だが、腕を振る前のモーションが分かりやすいので避けるのは難しくない。
俺は何も考えずにブンブンと斧を振り回すだけのオークに、刺突剣でチクチクとダメージを与えていった。
急所を一突きにすれば一撃だが、カールにはどうやればオークが効率的に倒せるのかを見せておきたい。
この年代の子供は、一撃で倒すのがかっこいいとか思っていそうだから。
たしかに一撃で倒せるのなら倒したほうが危険は無いが、どんな敵でも一撃で倒せるわけじゃない。
ここでおっさんがかっこよく一撃でオークを屠れば、カールは真似をしようとするだろう。
それは非常に危険だ。
オークはおっさんにとって雑魚だが、カールにとっては2ランク格上の敵に過ぎない。
今は倒せないけどいつか倒したいと思ったとき、目標とするのは実際に見たことのある戦いだ。
この戦い方ならばカールにいつか仲間ができてタンクとアタッカーという役割分担をしたときに、応用次第でどちらの役割もこなすことができるだろう。
俺はカールが戦いを見ていることを背中で感じながら、オークをじっくりゆっくりと倒していった。
長く苦しむことになったオークはごめん。
おっさんのこと嗤った罰な。
やがて身体中の傷からの出血に体力を奪われたオークは膝をつく。
おっさんの勝ちだ。
俺は肋骨の隙間から刺突剣を差し入れ、心臓を突き刺した。
オークの瞳から光が消え、倒れ掛かってくる。
刺突剣を素早く抜き取り、オークから少し離れる。
ドシンと重そうな音を立ててオークは崩れ落ちた。
「す、すげぇ……」
「おっさんのこと、見直した?」
「ああ、ちょっとだけ」
「ちょっとだけか……」
おっさん悲しいな。
まあちょっとでも見直してくれたなら、よしとするか。
パチパチと爆ぜる焚き火と、その周囲に突き立った肉塊。
ジュージューと脂を溢れさせるその肉は、俺が狩ったオークの肉だ。
オークの肉は美味い。
それはもはや異世界の常識のようなもの。
2足歩行しているものをあまり食べたくないとか、そういう考えはこの肉を初めて食べたときに捨てた。
臭みのない猪のような肉は焼きすぎると固くなるが、薄く切って脂身に多少焦げ目がつくくらいまで焼いて食べると非常に美味しい。
孤児院の子供たちは昔からの夢だとか言って肉塊のまま焼いて食べるらしいが。
俺は薄切りにして網で焼いたほうが早いし美味いって言ったんだけどね。
やっぱりマンガ肉はどこの世界でもロマンなんだね。
ジュージューと焼ける肉塊にかじりつくように見つめる子供たちを見守りながら、俺は薄切り肉を頬張りビールを流し込む。
たまらん。
「すみませんね、私まで御馳走になってしまって」
孤児院の院長先生が挨拶に来た。
オークの肉を俺はギルドに売るつもりは無かったので、孤児院で盛大に焼いて食べることにしたのだ。
院長先生は高齢だが、健啖家なようで薄切り肉をバクバクと美味しそうに食べて俺の注いだビールをぐいっとやる。
やっぱり焼肉とビールの相性は抜群だ。
院長先生には長生きして欲しいので神酒のビールを何本かプレゼントしておこう。
「なあ、おっさん……」
「ん?どうした?」
カールは同じ孤児院の子供たちと一緒にさっきまで肉塊に張り付いていたが、さすがに待ちきれなくなったのか薄切り肉を皿に盛って俺の隣に座る。
「なんでオークをギルドに売らなかったんだ?俺達のためなら……」
「いや、カールが思っているようなことじゃないよ。いいことがしたいだけなら金を寄付するさ」
「じゃあなんで……」
「俺はもともと、オークを狩ってもギルドに売るつもりは無かったんだよ」
「だからなんでだよ!おっさんは強いじゃん。だったらオークをギルドに持っていけばもっとすぐに高ランクの冒険者になれるはずだ!」
なるほど、カールはギルドのシステムを誤解しているようだ。
今の若い冒険者たちも同じような勘違いをしているってガルマさんが先日話していたっけな。
「カール。オークを倒してギルドに持っていっても、高ランク冒険者にはなれないよ」
「え、そうなのか?」
「受付のガルマさんが言うには、ギルドはランクの査定をギルドへの貢献度で判断しているんだ。貢献度って分かる?」
「うーん、ギルドへの貢献度……」
「ギルドのためになったってことだね。その点で言えば町から離れた場所のオークを1匹狩るのは、孤児院の塀を直すよりも貢献度が低いってわけ」
「わかるような、わからないような……」
ちょっと子供にはまだ難しい話だったかな。
101
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる