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3.ブリッジ放尿

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 夢という可能性は最初から却下しよう。
 こんなにはっきりくっきりとしたものが、夢のはずがない。
 世の中には明晰夢めいせきむというものがあると聞くが、さっきから巨大なプリン出てこいと念じても一向に出てこないし、そもそも私は今の状態を夢だと認識していないのでこれもない。
 ただ、さっきからプリン出てこいと念じるたびに出てくるものがある。
 軽く光って空中からポロンと転がり出てくる青いジェル。
 ジェルの中にはビー玉くらいの大きさの玉が入っている。
 顕微鏡で見たアメーバのようで少しグロテスクだが、どこか愛嬌のあるその姿は、私の記憶の中ではスライムと呼ばれるオンラインゲームの中の生物に似ている。
 私がずっとやっていたグラフィックがクソだと評判のオンラインゲームの中で見た姿とは、その質感のリアルさが全然違うが、スライムがもし現実にいたらこんな姿だっただろう。
 いくら空気が読めなくて察しの悪い私でも、そろそろ気づく。
 ニートな私は無料で読めるその手の小説を腐るほど読んでいる。
 これはおそらく異世界転移なのだろう。
 はなはだ信じがたい事実ではあるけれど、ゲームのキャラクターに融合もしくは憑依して、どこか違う世界に飛ばされたのだ。
 その手の小説にもパターンがあり、この世界がゲームの世界なのか、はたまた全く別の異世界なのかは分からないが、おそらく私とゲームのキャラは憑依ではなく融合している。
 なぜなら、今無性におしっこがしたいからだ。
 思い返せば寝オチするまえに、ミネラルウォーターをがぶ飲みした。
 それが今、尿意となって押し寄せているのだから、おそらくあちらの世界の私は忽然と姿を消しているのだろう。
 ゲームのキャラに膀胱の設定などあるはずがないので、今身体の中にある膀胱は元の世界の私の膀胱で間違いないと思う。
 それにしても、ここは異世界か。
 まだ地球のどこかの可能性も完全にゼロではないが、念じればスライムが召喚できるなんて地球ではありえない。
 それならここはおそらく異世界なのだろう。
 
「んふっ、ふっふっふっふふふふふ、あはははははははははは」

 日頃から自分の笑い声は気持ち悪いと思っていたけれど、今日に限っては何も気にならなかった。
 私は笑い転げまわる。
 危うくおしっこが漏れてしましそうになるほど笑った。
 むしろ、今ここでおしっこを漏らしたら最高に気持ちがいいのではないだろうか。
 私は自分でも抑えきれないほどに高揚していた。
 この世界には私を散々苦しめたあの会社がないということが、こんなにも嬉しいとは思わなかった。
 家にいても、部屋に閉じこもっていても、いつかあの会社の上司が怒鳴り込んでくるのではないかと、そんなありえない不安がいつも胸の奥に燻っていた。
 だが、この世界にはあの会社はない。
 絶対に、100%、あの会社の人と会うことはない。
 圧倒的な開放感が私の胸を高揚させていた。
 私が部屋に引きこもったことを、ずっと心配してくれていた両親には少し申し訳ないけれど、私はこの世界に来られて嬉しい。
 願わくば、両親の記憶から私の記憶が消えていますように。
 どうしてこんなことが起こったのかはわからないけれど、私を転移させた神とかがいるのならお願いします。
 もし、次元の穴的なものに落ちてこうなったとしたら、世界の修復力的なものが両親の記憶を消してくれますように。あと私の尿ペットボトルも。
 私は神式で空に向かって二礼二拍手一礼をする。
 両親のことを考えるのはもうやめる。
 冷たいようだが、元々引きこもりのニートだ。
 両親とは、もう2年近く顔を合わせていない。
 悲しまなくてもいいと両親に伝えることができない、それだけが私の現実世界での心残りだった。





 兎にも角にも、もうおしっこが漏れそうだ。
 私は木陰に行って短いスカートを捲り上げ、パンツを下ろす。
 パンツも現実世界で直前まで私が履いていたものだった。
 そこで、私はふと気がつく。
 別に誰もいないんだから、原っぱの真ん中でしちゃえばいいんじゃないか、と。
 原っぱには私がさっき召喚したスライムが数匹、ぽよんぽよんしているだけだ。
 私は高鳴る胸を押さえつけて、パンツを下ろしたまま不恰好ながに股で原っぱの真ん中に向かう。
 そこで私にまた天啓が下る。
 ブリッジだ。
 ブリッジの体勢のままおしっこしたら、めちゃくちゃ気持ちよさそうじゃないか、と。
 私は一通りのエロいポーズができるように、普段からストレッチは欠かしていない。
 ブリッジは得意なポーズだ。
 パンツにおしっこがかかるのは嫌なので、私はパンツを完全に脱ぎ、原っぱに投げ捨てる。
 どうせならと私はドエロいコスプレ衣装みたいな服を全部脱ぎ捨て、全裸になる。
 現実世界の私が着けていたダサいスポーツブラを取ると、そこには今までの身体にはなかった胸の出っ張りがツンと天に向かってそびえ立っており、自分の裸を見るのとは違う新鮮さがさらに私を興奮させる。
 
「はぁ、はぁ、はぁ」

 自然と息が荒くなり、心拍は早くなり、膣の奥が脈動している。
 もうすでに軽くイキそうだ。
 私は全裸のまま、いやらしく足をがに股に開き、上体を後ろに倒し、ブリッジの体勢に移行していく。
 身体が反るにつれて、膀胱が圧迫され猛烈な尿意に抗えなくなっていく。
 地面に手がついた瞬間、勢いよくおしっこが噴出する。
 
「んほぉぉぉぉぉ!あっ、ぁあっ、あぁぁぁあ!」

 口に出してみたかった喘ぎ声ナンバー1の『んほぉぉぉぉ』を叫んだ次の瞬間、私は絶頂した。
 もはや尿だか潮だか分からないものが尿道から噴き出す。
 私の膝はブルブル震えてお尻が地面についてしまう。
 わたしはぐったりと地面に横たわって、しばらく余韻を楽しんだ。
 
「ああ、今までで最高のオナニーだった」
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