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1.あわてんぼうの神様
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「あー忙しい忙しい」
俺は、死んだはずだ。
「あー忙しい忙しい」
なのになぜ、こんなところに立っているのだろうか。
「あー忙しい忙しい」
このやたら忙しいアピールしてくるおっさんは誰なのだろう。
「誰やとぉ!?こちとら神様やっちゅうねん!!」
こいつ頭おかしい。
「おかしないわ!!あほボケホンマにぃ!!」
そして怖い。
「ホンマにこちとら忙しゅうてたまらんちゅうのに異世界転移だか転生だかでこんなとこに来よってからに!!」
そんなの俺が望んだわけじゃないのに。
「お前の望みとか知らんわ!!順当にくじ引きじゃボケカス!!」
ホントに口悪い。
「はいはい分かっとるよ、チートっちゅうやつが欲しいんやろ。ホンマに最近の若者は甘えくさりよって。チート用意するこっちの身にもなって欲しいわ」
チートが欲しいとかも一言も言ってないけど。
「アホゆうてんちゃうぞ!お前みたいなもやしが異世界行ったかて、10秒でゴブリンに殺されるわ!!貰えるもんはありがとうぞざいますゆーて貰っとかんかい!!」
ありがとうございます。
「それでええねん。ああもう!!お前がアホなこと言うからもう時間なくなってもろたやないかい!!はよ異世界行き!!」
え?チートとか何も説明……。
「なんでもかんでも説明してもらえると思てるとか、ホンマに最近の若いもんは。時間ないゆーてるやろ!!はよ行け!!」
おっさんがぺカーッと光る。
そこで俺の意識は途絶えた。
目が覚めたら森だった。
異世界転移にはよくあるパターンだな。
しかし、ここまでほとんど何も説明されてないし。
あの神様辞めさせたほうがいいんじゃないかな。
なんとなく異世界に転移だか転生だかして、なんとなくチートっぽいものをもらったことは分かったけど。
ひとつひとつ確認していこう。
まず、異世界転移だか転生だかしたのは本当なのだろうか。
俺の最期の記憶は、トラックにはねられたところだ。
多分間違いなく死んだ。
死んであの口の悪い神に会って、そしてこの森。
あの神の言動から、多分ここは異世界。
俺の身体は30代後半だったはずだが、手や顔のタマゴ肌感から考えるに若返っているもしくは作りなおされている?
ちょっとよくわからないけど、新品の30代後半か中古の10代後半みたいな感じ。
次に、チート。
WEB小説とかではステータスとかで確認できたりするけどな。
「ステータス」
お、ホントに出た。
名前:ヨシダ キイチ
年齢:未設定
種族:異世界人
スキル:なし
固有スキル:アイテムボックス、言語理解、鑑定
固有装備:ひのきの棒
まず、名前が間違っている。
喜一と書いてヨシカズと読むんだ。
病院とかではたまにされる間違いだけどね。
あわてんぼうのあの神様らしい間違いだ。
年齢も未設定だし。
神様適当に設定してんのかな。
まあ、固有スキルは概ね異世界転生のテンプレ通り。
しかし最後の固有装備:ひのきの棒ってなんなんだ?
これで戦えってことなんだろうか。
神様は俺みたいなもやし10秒でゴブリンに殺されるって言ってたけど、ひのきの棒でなにが変わるって言うんだ。
そうだ、鑑定、鑑定してみよう。
こういうときは鑑定だって異世界モノの主人公が言ってた。
ひのきの棒が実はすごい装備かもしれない。
あれ、でもこのひのきの棒ってどこに?
あ、念じたら出てきた。
無駄にかっこいいエフェクトで出てくるのはひのきの棒って。
俺の手のひらに収まった棒は、長さ1メートルほどで、表面は綺麗に磨かれているのか滑らかな肌触りだ。
妙に手になじむ。
どこからどう見てもひのきの棒だが、これ神様の間違いとかじゃないのかな。
こんな棒1本でゴブリンと戦えとか言われても無理だ。
なんか条件を満たすと聖剣にランクアップするとか?
わからん。
とりあえず鑑定してみよう。
名称:ひのきの棒
攻撃力:0
魔法攻撃力:0
MP:0/0
SP:0/0
耐久値:0
特殊能力:なし
RP:10
攻撃力も魔法攻撃力もゼロなんだけど。
耐久値もゼロだし、1発で折れるってこと?
MPとかSPって普通俺のステータスに表示されるものじゃない?
なにもかもがダメそうなひのきの棒だが、あのRPというのが少し異彩を放っている。
ひとつだけ10だし。
もしかしたらあのPはポイントのPなのではないだろうか。
あれをどうにかすることによってひのきの棒を育てていくシステムかもしれない。
RPというのをさらに鑑定してみる。
名称:RP(ロッドポイント)
備考:RPを振り分けることにより、固有装備『ひのきの棒』を強化することが可能。モンスターの魔石をひのきの棒に吸収させることによりRPを取得することができる。
なるほど、やっぱりひのきの棒を強化するためのポイントだったか。
モンスターの魔石というのも理解できる。
おそらくモンスターを倒して、剥ぎ取れってことなんだろう。
モンスターを倒せば倒すほど強くなるというわけだ。
この10ポイントは神様からの餞別ということなのだろう。
というか0ポイントスタートだと最初のモンスターが倒せないからね。
ありがたく使わせてもらおう。
しかし、最初から攻撃力に振っても戦える気がしない。
かといって魔法攻撃力に振っても魔法なんて使えないし。
ん?この特殊能力というのもRPで取得できるのか?
特殊能力をRPで取得したいと念じると、頭の中にずらっと能力一覧が浮かんだ。
すごい。
伝説の武器並みの能力がたくさん並んでいる。
これすべて取得できたら無敵の棒になる。
その分取得するためのポイントも桁外れなので現実的ではないが。
その中から俺は比較的取得するためのポイントが少なくて済む能力を選ぶ。
名称:トラバサミ
取得RP:5
備考:MPを1消費して、設置型魔法スキル『トラバサミ』を発動することができる。威力は魔法攻撃力に依存する。
何の力もない俺は罠に頼るほかないんですよ。
俺は、死んだはずだ。
「あー忙しい忙しい」
なのになぜ、こんなところに立っているのだろうか。
「あー忙しい忙しい」
このやたら忙しいアピールしてくるおっさんは誰なのだろう。
「誰やとぉ!?こちとら神様やっちゅうねん!!」
こいつ頭おかしい。
「おかしないわ!!あほボケホンマにぃ!!」
そして怖い。
「ホンマにこちとら忙しゅうてたまらんちゅうのに異世界転移だか転生だかでこんなとこに来よってからに!!」
そんなの俺が望んだわけじゃないのに。
「お前の望みとか知らんわ!!順当にくじ引きじゃボケカス!!」
ホントに口悪い。
「はいはい分かっとるよ、チートっちゅうやつが欲しいんやろ。ホンマに最近の若者は甘えくさりよって。チート用意するこっちの身にもなって欲しいわ」
チートが欲しいとかも一言も言ってないけど。
「アホゆうてんちゃうぞ!お前みたいなもやしが異世界行ったかて、10秒でゴブリンに殺されるわ!!貰えるもんはありがとうぞざいますゆーて貰っとかんかい!!」
ありがとうございます。
「それでええねん。ああもう!!お前がアホなこと言うからもう時間なくなってもろたやないかい!!はよ異世界行き!!」
え?チートとか何も説明……。
「なんでもかんでも説明してもらえると思てるとか、ホンマに最近の若いもんは。時間ないゆーてるやろ!!はよ行け!!」
おっさんがぺカーッと光る。
そこで俺の意識は途絶えた。
目が覚めたら森だった。
異世界転移にはよくあるパターンだな。
しかし、ここまでほとんど何も説明されてないし。
あの神様辞めさせたほうがいいんじゃないかな。
なんとなく異世界に転移だか転生だかして、なんとなくチートっぽいものをもらったことは分かったけど。
ひとつひとつ確認していこう。
まず、異世界転移だか転生だかしたのは本当なのだろうか。
俺の最期の記憶は、トラックにはねられたところだ。
多分間違いなく死んだ。
死んであの口の悪い神に会って、そしてこの森。
あの神の言動から、多分ここは異世界。
俺の身体は30代後半だったはずだが、手や顔のタマゴ肌感から考えるに若返っているもしくは作りなおされている?
ちょっとよくわからないけど、新品の30代後半か中古の10代後半みたいな感じ。
次に、チート。
WEB小説とかではステータスとかで確認できたりするけどな。
「ステータス」
お、ホントに出た。
名前:ヨシダ キイチ
年齢:未設定
種族:異世界人
スキル:なし
固有スキル:アイテムボックス、言語理解、鑑定
固有装備:ひのきの棒
まず、名前が間違っている。
喜一と書いてヨシカズと読むんだ。
病院とかではたまにされる間違いだけどね。
あわてんぼうのあの神様らしい間違いだ。
年齢も未設定だし。
神様適当に設定してんのかな。
まあ、固有スキルは概ね異世界転生のテンプレ通り。
しかし最後の固有装備:ひのきの棒ってなんなんだ?
これで戦えってことなんだろうか。
神様は俺みたいなもやし10秒でゴブリンに殺されるって言ってたけど、ひのきの棒でなにが変わるって言うんだ。
そうだ、鑑定、鑑定してみよう。
こういうときは鑑定だって異世界モノの主人公が言ってた。
ひのきの棒が実はすごい装備かもしれない。
あれ、でもこのひのきの棒ってどこに?
あ、念じたら出てきた。
無駄にかっこいいエフェクトで出てくるのはひのきの棒って。
俺の手のひらに収まった棒は、長さ1メートルほどで、表面は綺麗に磨かれているのか滑らかな肌触りだ。
妙に手になじむ。
どこからどう見てもひのきの棒だが、これ神様の間違いとかじゃないのかな。
こんな棒1本でゴブリンと戦えとか言われても無理だ。
なんか条件を満たすと聖剣にランクアップするとか?
わからん。
とりあえず鑑定してみよう。
名称:ひのきの棒
攻撃力:0
魔法攻撃力:0
MP:0/0
SP:0/0
耐久値:0
特殊能力:なし
RP:10
攻撃力も魔法攻撃力もゼロなんだけど。
耐久値もゼロだし、1発で折れるってこと?
MPとかSPって普通俺のステータスに表示されるものじゃない?
なにもかもがダメそうなひのきの棒だが、あのRPというのが少し異彩を放っている。
ひとつだけ10だし。
もしかしたらあのPはポイントのPなのではないだろうか。
あれをどうにかすることによってひのきの棒を育てていくシステムかもしれない。
RPというのをさらに鑑定してみる。
名称:RP(ロッドポイント)
備考:RPを振り分けることにより、固有装備『ひのきの棒』を強化することが可能。モンスターの魔石をひのきの棒に吸収させることによりRPを取得することができる。
なるほど、やっぱりひのきの棒を強化するためのポイントだったか。
モンスターの魔石というのも理解できる。
おそらくモンスターを倒して、剥ぎ取れってことなんだろう。
モンスターを倒せば倒すほど強くなるというわけだ。
この10ポイントは神様からの餞別ということなのだろう。
というか0ポイントスタートだと最初のモンスターが倒せないからね。
ありがたく使わせてもらおう。
しかし、最初から攻撃力に振っても戦える気がしない。
かといって魔法攻撃力に振っても魔法なんて使えないし。
ん?この特殊能力というのもRPで取得できるのか?
特殊能力をRPで取得したいと念じると、頭の中にずらっと能力一覧が浮かんだ。
すごい。
伝説の武器並みの能力がたくさん並んでいる。
これすべて取得できたら無敵の棒になる。
その分取得するためのポイントも桁外れなので現実的ではないが。
その中から俺は比較的取得するためのポイントが少なくて済む能力を選ぶ。
名称:トラバサミ
取得RP:5
備考:MPを1消費して、設置型魔法スキル『トラバサミ』を発動することができる。威力は魔法攻撃力に依存する。
何の力もない俺は罠に頼るほかないんですよ。
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