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6.馬券の力
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馬券を手に入れてから初めてのガチャだ。
この紙切れに溜め込まれているという膨大な運気というやつがどのくらいのものなのか、楽しみだ。
「すぅ、はぁぁぁ」
キューレの背に手を置き、いつものように魔力を循環させる。
キューレはなんとなく異変を感じ取ったのか身体をピクリと震わせた。
驚いたことにキューレもまた身体の中で魔力を循環させ始めた。
漏れ出る魔力が手を伝って感じ取れる。
俺の真似をしているのだろうか。
魔力量が俺よりも上だからかなり威圧感がすごい。
馬にも負けるとはな。
キューレはユニコーンの血を受け継ぐ馬だ。
そりゃあ俺よりも魔力量は多いよな。
そこそこの時間落ち込み、ようやく気分が上向いてきたのでガチャを回した。
虚空に現れたのは銀の玉。
幸先がいい。
銀の玉が出る頻度は大体1か月に1度くらいだ。
最長で2か月半くらい出なかったこともある。
それが初日に出るということに馬券の運気の効果を感じる。
「問題は中身だな」
銀の玉から出るアイテムは概ね希少なアイテムではあるのだが、高級な家具や業物の武器などの金を出せば買うことができるようなアイテムと鑑定の魔眼やハートストレージのような滅多に出回らない超レアアイテムではハズレとアタリと呼んでも間違いではないほどの差がある。
これから北の大森林という超危険地帯に向かうことになるので、なるべく戦闘に役立つようなアイテムが望ましい。
俺はガチャ神に祈りながら銀の玉を開けた。
目を焼く光を手のひらで覆って遮り、光が収まるのを待つ。
手触りはツルツルとしている。
大きさは手のひらに収まる大きさ。
「これは、爆裂石か」
光が収まったのを確認して目で確認すると、それは燃えるように赤い手のひらサイズの石だった。
以前にも手に入れたことのあるアイテムで、爆裂石という。
魔力を込めると10秒ほどで爆発する石だ。
「悪くないな」
むしろ良い。
爆裂石はいざというときに必ず役に立つ。
今日出たものを合わせると爆裂石は全部で6個。
少し心もとないが、ないよりは良い。
この調子で戦闘に役立つアイテムをストックしていければいいのだけどな。
夜、開拓団の全員で焚火を囲み食事をとる。
改めて人数を数えると、俺とローレンを除いたメンバーは全部で12人だった。
男が8人、女が4人だ。
見たところ戦える人数は半分といったところか。
大体全員が食事を食べ終わったことを確認し、俺は口を開いた。
「これから俺たちが向かうのは地獄の釜が口を開けたような北の大森林だ。生き延びるには全員の協力が必要となるだろう。とりあえず自己紹介をしよう。俺は知っての通り領主の息子の中で一番出来が悪いせいで生贄に出された三男のダグラスだ。一応この開拓団の団長ということになっているが、生きるか死ぬかの瀬戸際で身分だなんだと言うのも馬鹿らしいので気軽に接してくれ。もちろんリーダーとしての資質が無いと思ったら誰か別の者が指揮をとってくれても構わない」
全員がシーンと静まり返る。
自虐ネタを挟んでまでユーモラスをアピールしたのだが、どうやらスベったようだ。
まあ空気は先ほどよりは温まっただろう。
俺は右隣りのローレンにパスする。
「え、次俺ですかい?空気が冷え切ってるってのに。まあ仕方がねえ。俺は領主様の屋敷で庭師としてお世話になっていたローレンという者だ。こう見えても昔騎士をしていたこともあって剣には自信がある。これからよろしくな」
ローレンは昔騎士だったのか。
初めて聞いた。
昔山賊をしていたとかのほうが説得力があるんだがな。
ローレンのおかげで逆時計回りに自己紹介していく流れができた。
次はローレンの右隣りの村娘風の女だ。
「わ、私はレーナです。なんの取り柄もない村娘です。私の家はとっても貧乏で……」
よくある話だった。
家が貧乏で働く場所もなく、嫁ぎ先もなく口減らしのような形でこの開拓団に参加したようだ。
隣の村娘風の女も同じくだった。
同じような理由で参加した者が他に4人。
全員男で鍛冶職人見習い、大工見習い、木こりが2人。
我が領は経済の衰退から人口が減少傾向にあり、職人や木こりが余り始めていた。
この4人はどこにも受け皿が無くなってしまった余剰人員なのだ。
経済の衰退を招いたのは統治者である父の不徳の致すところなので少し申し訳なくなった。
「さて、次は俺たちか。俺たちは冒険者だ。隣の2人が同じパーティのメンバーだ」
次に自己紹介をしたのは前髪で片目が隠れている冒険者風の男だ。
予想通り彼は冒険者だった。
そして隣の2人、大きな斧を背負った戦士の男と白いローブを着た魔法職っぽい女が同じパーティの仲間らしい。
目隠れの男は左右の太ももに短剣を装備しており、おそらくレンジャーだろう。
レンジャーに斧戦士に魔法職の女、冒険者パーティの戦力バランスはよくわからないが偏ってはいないと思う。
「あたしたちもパーティよ。こっちのひょろ長とデカ物があたしのパーティメンバー」
最後に残った3人も冒険者パーティらしい。
黒いローブを着た魔法職風の女と、弓を持った背の高い男、そして盾と剣を装備した巨漢。
こちらは後衛多めのパーティだな。
それだけ巨漢の男の防御力に自信があるということか。
「ひと通り自己紹介は済んだな。では明日からの役割分担をしよう。とりあえず戦闘員と非戦闘員に分けるぞ」
村娘2人と木こり2人、職人見習い2人が非戦闘員で、他は戦闘員だ。
もちろん俺も戦闘員。
地力は低いがアイテムを使えば底上げすることは可能だ。
「非戦闘員には御者や食事の準備などをお願いする」
「お料理なら自信があります」
「ああ、頼んだ」
今日はまだ役割分担をしていなかったのでみんなで適当に作ったが、少しごたついて手際は悪かった。
おそらく料理などはできる奴に任せて他の奴らはそいつの指示通り動いたほうがうまくいくことだろう。
幸いにも村娘の一人が料理に自信ありのようなので彼女を料理長とし、他が彼女を補助する形としよう。
「戦闘員は基本的に馬車の護衛だ。魔物や賊の襲撃に即応できるように常にある程度は周囲を警戒しておいてほしい」
「俺たちは冒険者だ。それくらい慣れたもんだ」
頼もしい限りだ。
いやマジで。
この紙切れに溜め込まれているという膨大な運気というやつがどのくらいのものなのか、楽しみだ。
「すぅ、はぁぁぁ」
キューレの背に手を置き、いつものように魔力を循環させる。
キューレはなんとなく異変を感じ取ったのか身体をピクリと震わせた。
驚いたことにキューレもまた身体の中で魔力を循環させ始めた。
漏れ出る魔力が手を伝って感じ取れる。
俺の真似をしているのだろうか。
魔力量が俺よりも上だからかなり威圧感がすごい。
馬にも負けるとはな。
キューレはユニコーンの血を受け継ぐ馬だ。
そりゃあ俺よりも魔力量は多いよな。
そこそこの時間落ち込み、ようやく気分が上向いてきたのでガチャを回した。
虚空に現れたのは銀の玉。
幸先がいい。
銀の玉が出る頻度は大体1か月に1度くらいだ。
最長で2か月半くらい出なかったこともある。
それが初日に出るということに馬券の運気の効果を感じる。
「問題は中身だな」
銀の玉から出るアイテムは概ね希少なアイテムではあるのだが、高級な家具や業物の武器などの金を出せば買うことができるようなアイテムと鑑定の魔眼やハートストレージのような滅多に出回らない超レアアイテムではハズレとアタリと呼んでも間違いではないほどの差がある。
これから北の大森林という超危険地帯に向かうことになるので、なるべく戦闘に役立つようなアイテムが望ましい。
俺はガチャ神に祈りながら銀の玉を開けた。
目を焼く光を手のひらで覆って遮り、光が収まるのを待つ。
手触りはツルツルとしている。
大きさは手のひらに収まる大きさ。
「これは、爆裂石か」
光が収まったのを確認して目で確認すると、それは燃えるように赤い手のひらサイズの石だった。
以前にも手に入れたことのあるアイテムで、爆裂石という。
魔力を込めると10秒ほどで爆発する石だ。
「悪くないな」
むしろ良い。
爆裂石はいざというときに必ず役に立つ。
今日出たものを合わせると爆裂石は全部で6個。
少し心もとないが、ないよりは良い。
この調子で戦闘に役立つアイテムをストックしていければいいのだけどな。
夜、開拓団の全員で焚火を囲み食事をとる。
改めて人数を数えると、俺とローレンを除いたメンバーは全部で12人だった。
男が8人、女が4人だ。
見たところ戦える人数は半分といったところか。
大体全員が食事を食べ終わったことを確認し、俺は口を開いた。
「これから俺たちが向かうのは地獄の釜が口を開けたような北の大森林だ。生き延びるには全員の協力が必要となるだろう。とりあえず自己紹介をしよう。俺は知っての通り領主の息子の中で一番出来が悪いせいで生贄に出された三男のダグラスだ。一応この開拓団の団長ということになっているが、生きるか死ぬかの瀬戸際で身分だなんだと言うのも馬鹿らしいので気軽に接してくれ。もちろんリーダーとしての資質が無いと思ったら誰か別の者が指揮をとってくれても構わない」
全員がシーンと静まり返る。
自虐ネタを挟んでまでユーモラスをアピールしたのだが、どうやらスベったようだ。
まあ空気は先ほどよりは温まっただろう。
俺は右隣りのローレンにパスする。
「え、次俺ですかい?空気が冷え切ってるってのに。まあ仕方がねえ。俺は領主様の屋敷で庭師としてお世話になっていたローレンという者だ。こう見えても昔騎士をしていたこともあって剣には自信がある。これからよろしくな」
ローレンは昔騎士だったのか。
初めて聞いた。
昔山賊をしていたとかのほうが説得力があるんだがな。
ローレンのおかげで逆時計回りに自己紹介していく流れができた。
次はローレンの右隣りの村娘風の女だ。
「わ、私はレーナです。なんの取り柄もない村娘です。私の家はとっても貧乏で……」
よくある話だった。
家が貧乏で働く場所もなく、嫁ぎ先もなく口減らしのような形でこの開拓団に参加したようだ。
隣の村娘風の女も同じくだった。
同じような理由で参加した者が他に4人。
全員男で鍛冶職人見習い、大工見習い、木こりが2人。
我が領は経済の衰退から人口が減少傾向にあり、職人や木こりが余り始めていた。
この4人はどこにも受け皿が無くなってしまった余剰人員なのだ。
経済の衰退を招いたのは統治者である父の不徳の致すところなので少し申し訳なくなった。
「さて、次は俺たちか。俺たちは冒険者だ。隣の2人が同じパーティのメンバーだ」
次に自己紹介をしたのは前髪で片目が隠れている冒険者風の男だ。
予想通り彼は冒険者だった。
そして隣の2人、大きな斧を背負った戦士の男と白いローブを着た魔法職っぽい女が同じパーティの仲間らしい。
目隠れの男は左右の太ももに短剣を装備しており、おそらくレンジャーだろう。
レンジャーに斧戦士に魔法職の女、冒険者パーティの戦力バランスはよくわからないが偏ってはいないと思う。
「あたしたちもパーティよ。こっちのひょろ長とデカ物があたしのパーティメンバー」
最後に残った3人も冒険者パーティらしい。
黒いローブを着た魔法職風の女と、弓を持った背の高い男、そして盾と剣を装備した巨漢。
こちらは後衛多めのパーティだな。
それだけ巨漢の男の防御力に自信があるということか。
「ひと通り自己紹介は済んだな。では明日からの役割分担をしよう。とりあえず戦闘員と非戦闘員に分けるぞ」
村娘2人と木こり2人、職人見習い2人が非戦闘員で、他は戦闘員だ。
もちろん俺も戦闘員。
地力は低いがアイテムを使えば底上げすることは可能だ。
「非戦闘員には御者や食事の準備などをお願いする」
「お料理なら自信があります」
「ああ、頼んだ」
今日はまだ役割分担をしていなかったのでみんなで適当に作ったが、少しごたついて手際は悪かった。
おそらく料理などはできる奴に任せて他の奴らはそいつの指示通り動いたほうがうまくいくことだろう。
幸いにも村娘の一人が料理に自信ありのようなので彼女を料理長とし、他が彼女を補助する形としよう。
「戦闘員は基本的に馬車の護衛だ。魔物や賊の襲撃に即応できるように常にある程度は周囲を警戒しておいてほしい」
「俺たちは冒険者だ。それくらい慣れたもんだ」
頼もしい限りだ。
いやマジで。
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