【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

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女の、戦い

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 ジュンの紙の真ん中に丸を描き、7本の線を引く。丸にくっ付く1本が当たりのクジだ。描いた丸を隠すようにコップを置いて、背を向けてる7人に声を掛けた。

「書けたから向き直って良いよ」

「どれが当たり?」

「当たりは1つ。どれかは僕も分かんない」

「私は歳上だし、みんなからどうぞ?」

「最後の光は大樹へ…」「最初の光が大地を覆う、と」

 アルアインさんの言葉で後先どちらにするかの心理戦となった。絶対神ブから放たれた光の話はターフ教とダート教の教義となっている。

「…アタシ、これ」

「しゃーねー。オレはこれな」

 一番槍を取ったのはロシェルだ。我慢できなくなったのだろう。エヴィナも同様に、食事の続きをしたかったようだ。2人して肉を齧った。他の子達もポツポツと場所を選び、最後の1本がアルアインさんの場所となり、彼女は皆に声を掛け、コップを持ち上げた。

「お、やったぜ」

「「「「「「あうあーーー」」」」」」

 どうやらエヴィナがやったようだ。最初でも最後でもなく、2番目だった。絶対神ブは人の事嫌いだからどちらも当たりにしなかったのだろうな。

「ロシェル、悪ぃな」「ぐぬぬぬぬ…」

「そなた、店主を呼びなさい」「え!?は、はい」

「お、俺がこの店の店主だが…あンた貴族様か?」

「この店で1番強いお酒を所望します。前祝いに私がわたくし貴女に奢りますわ」

「お、悪ぃね~、ヒヒッ」

 案の定、エヴィナは潰れた。馬鹿な女である。しかし朝になり皆が集まると、エヴィナはいつもの調子であった。

「酔い潰れて寝てしまうなんて、残念でしたわね」

 流石貴族様、よく言う。

「ココにさ、旦那が思いを残してくれたって、分かるのさ…」

 だがエヴィナはエリザベス様の嫌味を穏やかな顔であしらった。お腹の下をさすっているが、そんな事はしてないぞ。んんんーっと悔しがるエリザベス様だったが、ふうっと息を吐いて流したようだ。まあ嘘だと分かるしな。だって隣の部屋だもん。


 馬車に乗り、尻を痛くする事9日。遂に王都ドーヴィルに到着した。予定日は5日遅れたが、とにかく無事に着けて良かった。着いたのは朝一だがまずはギルドで処理を行って宿を取る。そして装備の整備をアルアインさんに託して風呂。小汚い格好で行ける程、城の敷居は低くないのだ。そして今日はこのまま泊まる。

「今から行っちゃいけないの?」

「セーナ嬢に言われましてよ?」

「何だっけ?」

「昼間の門番は元気だから、朝交代前の疲れてる所を狙う。でしたか」

「その必要は無いとは思うのだけど、一応倣いましょう」

 マキの説明にエリザベス様は倣おうと仰る。交代前でも仕事はすると思うんだけどなぁ。セーナの言葉を訝しむ僕であったが、風呂に入って温まった脳みそでは寝る以外の思考は浮かばなかった。8人用の大部屋で寝るのも慣れたよ。横になるだけで瞼が落ちて行く。

「お隣、失礼致しますわ」

 夜這い?朝這いされるのも慣れたモンだ。抱き着いて寝る。エヴィナの声真似かと思ったらご本人様だった。まあ…良いか…。

「私はキレイな服持って無いので、ここで留守番しておきます」

 夜になり、貰い物の服が着られなかったアルアインさんが翌日の同行を断った。他にも獣人である事とか、同行出来ない理由はあるが、やはり一番は服が着られなかった事にある。

私のわたくし服ですら溢れてしまうとは…」

 溢れると言うか、溢れたその下にもう2つの溢れがあったのだ。

「ユカタがエロい目してる~」

「そりゃあまあ、我慢してるし。みんなは知ってたんでしょ?」

「着たら案外収まるものかと」「上が出ちゃってたね」「上に合わせると、下が…」

 1番大きいジュンの服だと丈が足りず、次に大きいロシェルは一張羅。その次のエリザベス様の服では丈は足りても数が足りないそうだ。いや、数はアルアインさん以外はみんな2つだろ。





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