27 / 1,519
欲望に忠実な二人
しおりを挟む茶色い熊をやり過ごした後は特に何かに襲われる事も無く、高い壁が目の前に聳えているのが見えた。
街道のある草原に迂回すると、人の列が並んでいたので一番後ろに並んだ。
大きな門に向かい並んでいるのは、用心棒を引き連れて馬車的な牽引車を曳く商隊や大きなリュックを背負った商人。そして冒険者。
小さな門からは農具を担いだ農民風の者が出入りしてる。
「小さい門って貴族が通るイメージだった」
「貴族が居ない時は解放してる。顔が判ってるから確認が楽」
住民特権か。羨ましい。
「俺は貴族だがこっちから通らにゃならん」
前に居た冒険者の男が振り向いて話し掛けてきた。
「冒険者があっちを使ったらボンボンだと思われそうだな」
「ハハハ、そう言う考えも出来るな。だが冒険者があちらを使う時は緊急の時だけだ。なので使えんのだ」
「俺の居た街は大きい門しか無かったからな、勉強になった」
「良いさ。所でお前達は冒険者か?」
「ああ。ギルドに寄るなら付いて行っても良いか?」
「構わんがすぐ目の前だ。迷う事は無い」
「その辺は俺の居た街と同じ感じなんだな」
「この街、バルタリンドは片側は海だし左右は森だから自然とこうなってるってだけの話よ」
会話もそこそこに前の男達まで順番が回り、次は俺達の番になる。
「お前達、さっきからメルゲル様と馴れ馴れしくしていたようだが、見ない顔だな」
「名乗り合う程の縁は無いが新参者の俺らに親切にして貰った。見習いたい物だ」
「冒険者ならギルド証を見せろ」
二人のギルド証を見せると門兵の顔が渋る。
「エディアルタ?聞いた事ない街だな」
「遠いからなー」
「まあ良い。その代わり寄り道せず直ぐにギルドへ行け」
「勿論だ。安宿の場所を聞かねばならんしな」
「良し、行け」
エディアルタ…俺の居た街の名か。知らなかった。
ギルドは三階総石造り。壁の一部を利用して物見櫓を兼ねた、厚みは薄いが幅の長ーい建物だった。長いだけあり入口も多い。
冒険者の波に便乗し、中に入るとカウンターも長い。天井から看板が吊り下げられて判り易い。買取カウンター遠いなー。お上りさん気分もそこそこに、《総合受付》の下に並ぶ。なんか病院みたい。
「次の方ー」
手を挙げ呼び込む受付嬢に足を向ける。
「こんにちは、どうされましたかー」
ほんと病院みたい。
門兵に行けと言われた旨伝え、二人のギルド証をカウンターに置くと、スッ、機械にサッ、カウンターにペッで終わってしまった。
無表情の癖にデキる社員め。おかげで二人の居所がバレてしまったかも知れん。
「図書室はどこかな?」
折り畳まれたパンフレットをくれたので人の少ない片隅に移動し二人でパンフとにらめっこ。
「宿と…ここはご飯屋さん」
「風呂屋は無いか?」
「んと…あった、ここ」
欲望に忠実な二人であった。
宿屋はギルドの対面に並んで建っている。どれにするかは俺より運の良いイゼッタに任せよう。
選ばずに一番近い所に突入していたが。
「いらっしゃいませー、うさぎ亭にようこそー。お二人様お食事2食付きで先払いの九千ヤンになりまーす。こちら部屋の鍵ですので二階の奥の部屋へどうぞー」
有無を言わさぬ間に部屋を決められてしまった。
悔しかったので金を支払い「うムっ!」と言ってやった。部屋は四平米くらいでちょっと広かったが、ベッドは一つだけだった。
「初夜ね?」
「昨日も初夜だったろ」
「おっぱいすら触らなかったくせに」
「温もりだけで満足だったんだよ」
…赤くなんなよ…。
肩掛けカバンにタオルを詰めて街を見て回ろう。先ずは昼飯!次は道具屋!
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる