女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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スキル込み込み

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 バルタリンドに戻った俺達は、急ぎ寝具店に駆け込んだ。

「おかえりなさいカケル様、皆様」

「みなさまおかえりなさーい」

テイカとサミイの出迎えにハグとキスで返すと客間に居るであろうリュネの所に向かった。

「おかえりなさい、そしてごめんなさい」

ドアを開けると目の前に土下座するリュネ。俺の言いたい事が判っているな?

「リュネ、加減を知れ。俺達はお前より遥かに弱いがそこいらの雑魚よりは強いと思ってる。逃げるだけなら人の中で一番だと自負してる」

「はい…」

「それ以外は助かった。ありがとな」

項垂れた頭を撫で回したらテイカからの報告を聞いた。特に何も無かった、との事。ならば後は待つだけだな。昼飯を食べたらカロ邸に移動した。


 翌日。公都からの使者が来るまで早くて九日掛かるのでとても暇だ。だからと言って暇を持て余すのも詰まらないので今日もせっせと核集めに勤しむ。一粒五ヤンじゃ新米冒険者すら売りに来ないとカロも言ってたし、ゲル版の材料としても職人達がタモで掬って調達出来てしまうので買い取りが付かないと言う。即ち、俺が取らなきゃ集まらんのだ。

集めて掬ってべしゃり。集めて掬ってべしゃり。帰って洗って加工して、光と水を付与してもらう。偶に子供が遊びに来たり、雨で何も出来なかったり。そんな日々を十日過ごし、属性魔石も二千個くらいずつ出来て、すっかり飽きてた所にやっと使者が来たようだ。リュネが使者らしき者を感知したらしい。
直ぐに向かいたい所だが、今はサミイとリュネを同時に愛している真っ最中なので後回しで良いよな。対面座位にサミイを乗せて、背中合わせにリュネが二本目を咥え込む。サミイ側は細め短めで、リュネの方はその分荒ぶらせ優しく激しく擦り合った。

「カロさん、んっ!此方に、向かってまっますね」

「使者っぽいのと一緒だな」

「はいぃ、また後に、しましょうっ!」

名残惜しいが客間が匂うのはよろしく無いので汚した所を《洗浄》したら換気して身嗜みを整えた。

「相手は貴族、あたし達は他の部屋で控えていましょう」

テイカとサミイ、序にリュネも部屋から出て行ってしまった。残るは貴族と元貴族にメイドが二人。暫くして家主とお客がやって来た。

「カケル様、この度の件の依頼者の方をお連れしました。クライムベル卿、此方が依頼を行ったカケル様です」

まさかと思うが宰相か?兄にしては年寄りだが宰相にしてはガタイが良い。グレイヘアーをオールバックに背中で縛り、服を押し上げるムキムキなルックスは老将軍と言われてもしっくりくるぞこれ。視線の先は俺を見てない。予想は出来るがな。

「お久しぶりです、叔父様」

「よもやこんな所に御座すとは…」

俺をスルーして頭を垂れる老将軍。長くなりそうなので座っちゃおう。イゼッタもおいで。

貴族の挨拶は長い。無駄話は更に長い。声を掛けても無視されて、リアも苦笑いを始めた所で堪え性の無い俺が動く。徐に、皮袋の中身を取り出して、シカト野郎の顔面に投げ付けてやった。勿論スキル込み込みで。

「うわっ、あぎゃああああ!」

投げ付けた物は右の小鼻の横から頬骨を突き抜け左の耳朶の付け根を切り飛ばして壁に突き刺さった。一千万ヤンの銭投げにしてはイマイチの破壊力であるが、ミスリルを含む合金なだけあって折れたり曲がったりは無さそうだ。両膝を付いて顔を押さえ、呻いて喚いて叫んでる。

「お前は遊びに来たのか?リアもしっかりしろ。王金貨を見付けて王に報告するまで、コレは罪人だ。仕事を終わらせろ」

血塗れになった男が恨めしそうな目でやっとこっちを見たので、すかさず《威圧》してやった。

「どうも、紹介された冒険者のカケルだ」






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