女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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死んでる

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 午後を大分過ぎ、寒さが肌を刺す時間帯になって来た。横の二人は顔を外気に晒しているので手で覆いながら歩いてる。俺はメットで目口鼻以外を覆われているのでそこまで寒さは感じないが、鼻の中がスースーするのは分かる。
ギルドのドアは此処でもカード認証式の引き戸だ。俺とワーリンのギルド証では開かないのでキュルケスが居て助かった。

「やっぱり私、死んでるみたい」

助からなかった。
ノックして開けてもらうと、首を出した受付嬢がキュルケスを見てとても驚いていた。
泣いて怒って何故か敵意を向けられて、中に居た他の職員に寒いと怒られて、更に敵意を向けられた。最後のは俺関係無いだろ?
で、話を聞く為個室に通された。出された飲み物は水…、キンッキンに冷えてやがる。

「せめてお湯にしてくれ」

「貴方は黙ってて。先にキュルケス嬢の話を聞くんだから」

「…ワーリン、慰めて」

「おうおうよしよし」

二人寄り添い慰められて、その間に話は進んだようだ。

「ケブ百二十八匹をこの二人が?」

「オレはこれでも強さには自信あるよ?この人なんて一瞬で何十匹と殺ってたからね」

「へー。カケルさん、でしたね?取り敢えずキュルケス嬢を救出して下さりありがとうございます。謝礼に関してはキュルケス嬢の御家族と直接交渉して下さい」

「ん?どゆこと?」

「私の救出依頼は出されて無いって事ね。ギルドからお金は払われないから私の家族からふんだくってちょうだいって、感じかな」

「別に要らないよ?家族に会うのも面倒だし。キュルケスもそうだろ?」

「まあねー。私が死んで厄介払い出来たと思ってるだろうし、生きてたと分かれば今度は狙われちゃうかも?」

「世知辛いな。一緒に王都行くか?」

「そうね、そっちの方が生きやすいかも」

「王都って、どんだけ離れてると思ってるんですか!?」

「離れてる方が良いだろ?それに、俺達王都から来たからどっち道帰るしな。まだ受付してないし、帰らないと死んだ扱いにされちまう」

「そいつは困ったねぇ、オレはお前さんと一緒なら何だって良いよ?」

「そんな訳で俺とワーリンの事務処理をしてくれ。キュルケスの事務処理は王都でやった方が良いだろう」

「…分かりました。キュルケス嬢、それでよろしいのですね?」

「この街に心残りは無いわ。宿で延滞料金払ったら何時でも出られるから」

「まあ、夜になっちゃったし、一泊はして行こうよ」

「キュルケス嬢に変な事したら、只じゃ置きませんから!」

もう抜き差しならん関係だよ…。
話を終えて、ギルド証を提出したらロビーで待つ。暫くして他の受付嬢に呼ばれたので事務処理の終えたギルド証を返してもらい、ギルドを出たのはすっかり暗くなってからだった。

「取り敢えず、私が寝泊まりしてた宿に向かいましょ。此処よりマシよ」

「オレ、鼻が凍りそう…」

「流石に目がシパシパするな」

風が吹いて体感気温が急落し、積もっていた雪を吹き散らして装備に張り付かせる。街の中で凍死もありえるな。キュルケスを先頭に、走って宿に移動した。

「キュルケス様、やはり生きておいででしたか!」

「恥ずかしながら、帰って来たわ」

宿屋の主人は泣いていた。さぞかし心配したのだろうな。延滞料金も無事に払われ良かった良かった。
しかし部屋はキュルケスの部屋しか空いてないと言う…。

「二人は私の部屋に泊めるから、それで良いでしょ?」

「皆様が良ろしければそれで構いませんが…」

「決まりね。行きましょ!」

鍵を受け取り一列で歩いてく。勝手に壺を割ったり箪笥を開けても罪に問われない気持ちになるのは何故だろう?
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