女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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 可愛いショタにベッタリされてハーク邸へ。
車から出るとこっちこっちと手を引かれ、庭に拉致され目を見張る。

「車のコース作ったんだ!」

庭を広く改築し、オフロードでジャンプセクションも付いてる本格的なコースが出来ていた。RCカーグランプリが出来そうだ。

「ほほう、これは何をする施設ですかな?」

「車の玩具を走らせるんだ」

「玩具ですか、ハークちゃまは車がお好きですものね」

「見ててね!」

ジジババに見守られ、セバスチャンに受け取った車をコースにセットする。

「行くぞ!スクリューバード」

車に名前を付けたらしい。手を離すと同時に走り出した。生暖かい目で見ていたジジババの目が見開いて行く。分かるか?無詠唱で魔法を発動し、複数箇所にピンポイントで当てる。そして繊細な微調整でコーナーをドリフトして行く。

「行っけー!スクリュージャンプだ!」

横回転しながらジャンプするのには何の意味があるんだろう。そう言えばイゼッタも回転させてたよな。見事な着地をしてゴールすると、ハークの元に走って来た。

「どう?上手くなったでしょ?」

「凄いな。マシンと一緒に走っていればその内飛べるようになるぞ」

「風を纏うんだね?」

「まさか」「そんな」「魔術師の悲願じゃぞ」

「魔力量的には何時でも行けそうだがな」

「本当に!?」

「浮かせてやるから纏って移動してみろ。ただし家の敷地からは出るなよ?衛視がびっくりするからな」

ワクワク顔の美男児を浮かせてやる。

「「「浮いたー!」」」

あンた等はさっき鉄球飛ばしたの見てたでしょうに。
ハークはバランス調整に失敗してクルクル回って笑ってる。マシンを押すのと同じ感じでやってるな?
ヒヤヒヤしながら見てたジジババも魔力の流れが落ち着いて見えるようになると、ほうほう言って学者モードになっていた。飛行魔法が発展するのはこの国が最初になるかも知れんな。

「坊っちゃま、お客様方、お食事の支度が整いまして御座います…。坊っちゃま…」

「あ、お茶も出さずに遊びに付き合わしちゃってごめんなさい」

風を纏ってするりと降りて、可愛い顔で謝ってる可愛い。ジジババは骨抜きにされているが、今のを見逃しては飛行魔法は発展しないぞ…。

「合格」

一言囁き頭を撫でて、食堂に向かった。


「そうだ、ルングネンハルトで妹さんに会ったぞ」

「カケル殿、流石に人違いでございます」

「アルアイアはハークに並ぶ超絶美少女。エントランスの階段は総白磁造りで赤絨毯とのコントラストが美しく、サロンには品の良い調度品が並びアルアイアの美しさだけでなく心の清らかさをも表していた」

「わかる」「わかるぞ冒険者カケル」「尊いのう」

「確かにアルアだね」

「皆さんお呼ばれした事があるんだな」

「当たり前じゃ!」

「疑って申し訳ございません。ですが…、当家にもサロンがあるのをお気付きになりませなんだのは残念でなりません」

「なん…だと…?」

「ダメー!カケルは家を見出すと人が変わるからダメ!」

残念です。
お昼をご馳走になりながら、午前中の出来事等をお話しし、ジジババの使用人が持って来たお菓子やら魔法書、魔道具を見せびらかされた。魔法書に関してはちんぷんかんぷんで、何の魔法であるかすら分からなかった。

「お前は前衛だろうに、解る筈あるまい」

とババア曰く。俺だって水と光は使えるんだぞ?
魔道具はギルド前で言っていた通り、通信の魔道具だそうで、ショルダーフォンよりデカい箱に入った水晶玉みたいな球体で、これ自体が魔石だと言う。
これだけの大きさの魔石を調達するのも磨くのも大変で、魔法の付与はもっと大変なのだそうだ。

「ほっほっ、喉から手が出る程欲しかろう。ハーク様のだからやらんぞ」

作り方教えてくれたら超絶小型化してやるぞ?
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