女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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爆走兄妹

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 ハークの駆るスクリューバードが更地になった宿営地を縦横無尽に爆走する。設営に時間は掛からんし、少し遊ばせても良いだろう。

「調整の妙が素晴らしいです」

「流石お兄様です」

「初めは唯の玩具だと思っておりましたが、これを嗜む前と後での習熟には著しい差異がおありになられます」

「私も!わたくしも欲しいですわっ」

アルアもしたいのか、この欲しがりめ。ぐへへ。雑木ならたっぷりあるからな…。で、出来たのがこれ。手に持った時回るタイヤが触れると危ないのでフルカウルにして、ハーク程の調整技術は無さそうなので空力(笑)を付加する…のでは無く後ろや左右から風を当て易くする為のウイングを付けた。そしてタイヤに溝を切った。

「すばらしいものをたまわりかんしゃにたえません」

「…普通に喋ってくれ」

「はぁい」

早速風をぶち当てて爆走を始めたが、凄く直線番長だ。曲がるのに難儀しているな。まあその内クルクル回しながら飛ばして来るだろう。アルアの方がそっちに傾倒しそうである。兄は既にその時期を越えて如何にコーナーを攻めるかで頭を悩ませているようだからな。

「姫様の適正は水なのですけれどもね」

メイド長がごちるのを聞き流し、家を宙に浮かせた。そして足元から二ハーン程の柱を建てて上に載せる。階段と、排水管を作って繋げて、周囲を壁で囲ったら設営の完了だ。下は暗いので光の属性魔石を付けておこう。ワーリン、魔力を頼む。

「凄いよカケル!これなら何時でも走れるね!」

「続きは家に着いてからにしておくれ。移動中の体力管理は重要だぞ」

「「はーーーい」」

お茶に呼ばれるまで遊び倒していた爆走兄妹であった。


「偶には思い切り羽を伸ばすのも良いのかも知れませんな」

「姫様にはお淑やかにお遊び遊ばれる遊戯が良いのですが」

たっぷり遊んで飯を食い、風呂に入って夢の世界へ旅立った二人と二台を見送った家宰達が、夜更かし中の俺達の元へやって来た。お淑やかな遊戯なんて存じ上げませんのことよ?

「キュルケスよ、お淑やかな遊戯ってどんなのがあるか知らないか?」

「カードとか双六とかかしら?前者はお勧めしないけど」

闇のゲームで命を削り合うとかか?魔法のある世界だし、もしかしたらあるやも知れん。…無いな、お淑やかでも無いし。

「そうでございますね。賭事等、姫様に似つかわしくありません」

あ、そっちか。とは言え、胴元さえ居れば何でも賭けになっちまうからなー。

「俺にはお勧め出来る物は無いな、男の子だし」

「カケルさん、多分メイド長さんはアルア様の水の適正を鍛えたいのだと思うの。遊びを通じて、ね」

「左様でございます」

「水かー」

水の魔法は結局の所、勢いと量でしか無い。序に味もあるけど、それはおまけみたいなもんだ。水魔法は他の魔法と合わさって効果の幅が出るんだよ。土と合わせて泥水を作ったり、熱と合わせてお湯や氷を作ったり。アルアの場合は水に風。霧を作っても遊びにはならんな。どうしてもビシャビシャにした雪玉を投げつけ合うバトルしか思い付かなかった。

「水に粘度を持たせて、中に空気を入れて浮かせる…とか」

「ねんど…でございますか」

「とろみの事かしら…?」

「そうだ。自分でも出来ない事を言っているので試してみないと何とも言えんな」

久しぶりの水魔法で少しだけ水を出す。アルアは既に出来ているが、俺には魔法の力で水を玉にして浮かせる事は出来無いのでスキルで浮かす。板状に形を変えて、パチンコ玉程の煉瓦の弾を投げ付けた。パチャンと当たって貫通した。

「水ですな」「水でございますね」「水魔法使えたのね」

次はこれの粘度を変える。
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