女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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ニョキニョキ

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 風呂やトイレの内覧を堪能したら、浴室から一階に戻り、そのまま大階段を上がって行く。二階、三階は通路に渡り廊下が並んでいて、それぞれの部屋に繋がっているそうだ。全部で二十八室、一階部分は完全に壁なんだと。
最後は四階、カラクレナイと俺達の部屋だ。階段を昇り切ると小部屋になっていて、扉を開けないと中が見えないようになっていた。カラクレナイ用のと人用の扉があるので人用から入って行くと、……思ったより物が無い、断捨離された部屋だった。
あるのは椅子とテーブルだけで、敷物もベッドも無い。カラクレナイには要らなそうだけど、俺達が寝られないので後で用意しよう。壁の居住区にもベッドや敷物等、内装は無いそうだ。

「ねえ、カケルさん。あたい等は何処に寝たら良い?」

「居住区をメインの寝室にすると良い。此処じゃ広すぎるだろ?少年隊もな。一人個室一部屋、好きに使って良いぞ」

「マジで?」「部屋見に行こーぜ!」「ぜ!」

部屋が決まったら雑木マットを敷くのを伝えると、兎達は跳んでった。アズとシトンも付いてった。

「カケル様、まだ上があるみたいですよ?」

シャリーに促されて振り返ると、出入口の横にも大階段があって上へと繋がっていた。

「リュネ、この上は何だ?」

「専らカララちゃん用ですが、飛べる人の出入口になります」

「それと、洗濯物も干せます」

階段を上がって行くと先程同様大小の扉があり、外に出ると湖と森を眺む風景が目に飛び込んで来た。

「見晴らし良いなー」

「巨人になった気分です…。ちょっと怖いですね」

「リュネ、一つ注文だ。円周に2ハーン程の高さで柵を付けてくれ。落ちたら怪我をしてしまう」

「わかりましたー」

「それと、階段の内周にも柵と、両側に手摺りを付けてくれ」

「お任せあれ~」

頼まれて嬉しいのか、端までぽてぽて走って行くと、手からキラキラ振り撒いて、柵をニョキニョキ生やして行った。

「私も、なんかしたい」

今迄借りて来た猫みたいだったネーヴェが口を開く。

「そうだな。ならば道を作って貰おう。慎重な作業だ、出来るか?」

「がんばる!」

ネーヴェを抱えて屋上からUFOのある畔まで降りる。

「なにする?」

「《収納》は使えるか?」

「多分」

対岸の森を、幅20ハーンで森の終わりまでの木と草を全て《収納》してもらう。慣れてないからか少し時間が掛かったが、無事に一直線の道になった。《収納》された草木は俺が受け取り、木は雑木に加工され、草は丸めて地下に送られ蟹達のご飯となった。

「キレイに真っ直ぐ出来たね、よしよし」

「えへ」

少しはにかんだネーヴェの笑顔に撫で量増し増し。此処からは俺の仕事だ。ネーヴェを肩車して更地に飛んで、整地しながら煉瓦の石畳を張って行く。ブフリムやゴーラが遠巻きに見ているが襲っては来ない、と言うより近付く事すら出来無い。龍相手にする行動では無いからな。逃げ出さない内に壁を建ててしまわないと。

 森の出口に着いたので門を作る。五ハーン程の壁を立てて、穴を開けるだけ。簡単なもんだ。そこから壁を森の端に沿って伸ばして建てて行く。リュネのニョキニョキを真似てみたが、一気にやろうとすると上手く行かない。小さい範囲で段階的にニョキニョキさせるのが俺の精一杯だった。大きな一枚板を乗せる方法の方が断然早いな。俺は俺のやり方でやるのが一番だと知った。

「カケル、龍魔法苦手?」

何分なにぶん人なもんでなぁ、リュネみたいにニョキニョキーとはいかないね。魔力はあるから土魔法の方が早く出来るよ」

「てつだう?」

「ネーヴェの太腿すりすりしてるだけで凄く助かってるよ」

「いっぱい、てつだう」

太腿でぱふぱふされてやる気が漲る。バフが掛かっているようで頗る調子良く壁造りする事が出来た。
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