女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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てゅるんてゅるん

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 ギルマスが止める。だが口しか出せぬ女に俺を止める事は出来ん。恨みがましい目で見る受付嬢にトドメを刺し、ゲロの噴水に一瞥もくれずギルドを後にする。ギルドを出て直ぐに空に上がり、驚く人々を無視してダンジョンに移動した。

「さーて、どうしてくれようか」

「更地?」

それでは下向きの穴が残るだけだ。此処は逆で行こう。眼下に望むダンジョン前には未だ仮設の受付と衛兵が二人。上手く助け出されれば良いな。無理だと思うが。
魔力を練って、練って、食うなネーヴェ。練り直し、練って練って硬くて分厚い、直径二十ハーン程の煉瓦の円筒を作ってダンジョンの入口を中心に捩じ込んだ。突然の衝撃に、その場に居た者は腰を抜かした事だろう。今では高さ五十ハーンの煙突の底だ。地下五十ハーンまで捩じ込んだので、長~い梯子か深~い穴を掘れば助けられるかも知れん。

「よし」

「いいの?」

「良いさ。この煉瓦は龍の力でなきゃ壊れないくらいに硬くしたし、入れるようにしたなら、また埋めれば良い。金を使わせて損させるのが一番キツいんだ」

死ぬよりも、死ぬ寸前までが苦しむと言う。だから極力殺さない。とことん苦しめば良い。

「そうだ、あの円筒をつるっつるに出来ないか?煉瓦ってザラザラしてるからやり方次第で簡単に登れちゃうからな」

「まかして」

ネーヴェが手を翳すとほわっと光って外側も内側もてゅるんてゅるんに照りが出た。芸術品のような輝きだ。

「すげーてらてら」

「よごれしらず」

「そりゃあ凄い」

脇腹に頭をグリグリして来るので撫で散らし、荷車に乗って雪国のダンジョン都市に向かった。


 UFOの速さに慣れてしまったせいか、荷車は遅く感じる。陸路や水上を往く為の乗り物だし仕方無かろう。UFOに乗り換えて進もうとしたのだが、

「こっちの方が良い。ずっと見てられる」

と言われてしまったので仕方無かろう。無賃乗車する小鳥を乗せて、北へ北へと飛んで行く。
辺りはすっかり暗くなり、鳥も何処かへ飛んでった。下を覗きながら寝てたネーヴェも起きて来て、俺の上で寝直す模様。

「カケル、ご飯。食べてい?」

「お肉焼こうか」

「うん」

今食べられたら寝過ごす予感がするので出来たての鉄板と薄切りにした柱状節理で石焼き肉を焼く。ジュ~ジュ~と音と煙と匂いの攻撃に、目を閉じて空腹に耐えているネーヴェだが、時折あ~んと口を開ける。焼けたら入れろとの意思表示だろう。ちっちゃく切った薄切り肉をふーふーして入れてやると、もぐもぐしてあ~んする。追加をご所望か。起きて自分で焼けよ。
お腹一杯になったネーヴェはうつ伏せに寝返って本格的に寝るようだ。やっとゆっくり食えるぜ。腹を満たして俺も寝た。


 朝になり、辺り一面雪が降り、眼下は白に染まっていた。どうやら北の大陸に入っていたようだな。

「おなかすいた…。食べてい?」

食ったら寝る。起きたら食べる。生に素直な龍である。

「お肉焼こうか」

「あれ、食べたい。魔力」

指差す先は外…ではなく雪のようだ。意識して見てなかったので分からなかったが、結晶一つ一つが魔力を帯びている。魔力を核に結晶化したのか、それとも、水分が魔力を帯びているのか。はたまた魔法で生み出された雪なのか。お肉も焼くので食べ過ぎないように注意して肉を焼き、俺は肉の無いスペースでソーサーを焼く。水入れ過ぎてクレープ生地みたいになっちゃったけど、薄く焼けて肉が巻き易くなったので成功だ。バナナとかチョコとか巻いて食べたい。
食事として食べるクレープはガレットとか言ったか。ネーヴェは俺が巻いたのを食いながら雪を集めてシャクシャクしてる。化学物質が混ざってないので健康には問題無いと思うが、赤や黄色のタレを掛けて食べたいな。甘味不足のシルケでは中々求める事が出来ぬシロモノである。
 濃いめの朝食が終わり、お湯を飲みながら暫くするとやっと壁が見えて来た。



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