女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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デート

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 まだ日が高いと言うのに男共がサッパリした。女達もサッパリしっとりしている。飯の心配が無いだけで心にゆとりが出来たようだ。子供達は皆仲良く一緒に遊んでる。ヒズラーとかキネイアッセンとか、子供には関係無いんだよな。

「子供達のおかげで随分と賑やかになった物だの」

こざっぱりしたマシュエルが、婆ちゃん連れて寄って来た。

「何だ、デートか?」

「夫婦が仲良くて何が悪い。カケル殿の妻は此処には来ないのか?」

「うちのはコレモンでな、遠距離の移動はさせたくないんだ」 

人が増えて嬉しい反面、移住して来た女達はやれる事の選択肢が無くて困っていると言う。
水や光の棒程度の物ならば午後からの四オコン労働でも七十人近く居るので二万本に届く勢いで出来てしまう。毎日そんな数の材料を用意出来ないので他の仕事を探してやらねばならん。

「魔道具の材料は俺が集めにゃならんから少し待ってもらう必要があるんだよな。多少労働条件はキツいが、塩でも作ってみるか?」

「岩塩を掘るのか?」

「海水沸かして作るんだよ。時間は掛かるし暑いけど簡単だぞ」

「薪が大量に必要だな」

「薪のせいで海水塩は値段が上がるんだ。それを魔道具で補えば安い塩が出来る。更に焼きを入れれば輸送にも耐えられるようになるぞ」

「それは良いのう。しかし塩では腹は膨れんな」

「なら乾燥野菜も作るか。根菜を干したり種を炒って砕けばスープの具になるよな。後は塩漬けにするとか」

「カケル様は物知りなのですね。しかし、売りに出ても買える街にしか品物が届きませんね」

「金無さそうだもんね。貧しい集落なら引越しさせたらどうだろう?人攫いに襲われたり子供を売ったりするよりはマシだと思うけど…」

「何処に住まわせると言うんじゃ?」

「街の中で足りないようなら溜池の周りに集落でも作らせようかね。伐採するのに丸一日移動しなきゃならんしな」

「そんな事、罪人にさせたら良かろう」

「んー、対価が発生しちゃうからダメだね。今の見張り業は弁当を対価に働かせてるんだが、伐採だと木を切り、木を売る。そこで対価を払わねばならん。お弁当代じゃ足りないんだよね」

「銭が死ぬ訳か」

「その通り。後は戦闘要員だから、居なくなって困る事が無いようにしたいってのもある」

「ドラゴン様はお助け下さらぬのだな」

「野盗程度、街の戦力で排除出来た方が良いだろうな。まあ、ボーデンフェルトが居れば余裕だが、一人に全て任せるのは間違ってるからね」

「ボーデンフェルト様なら軍が来ても…否、そうか…。海からも来ると考えておるのか」

分かってくれたようだ。戦争が終わったからって略奪が無い訳じゃない。恩赦で放たれた戦闘奴隷とか、怖い存在はまだ居る筈だ。

「夜とかな。陸路は門から街まで三十キロもあるから少なくとも一日余裕があるけど、海は直ぐそこだからねぇ」

「カケル様の街は大丈夫なのですか?」

「龍の結界は人じゃ何やったって壊せないよ。出掛けてる時は入れないから、お風呂は街のに入ってね」

作業があるので話を切り上げさせてもらい、俺は製塩施設を作りに行く。

 港の端、橋の反対側は切り立った岩壁があるだけの空き地だ。落石があるから、街の住民では家なんて建てられないのだ。なので先ずは護岸工事。落石やら石ころを片っ端から《収納》し、生煉瓦でキレイな壁にするのは入口側と同じ手法だ。俺が一部をやると、ネーヴェとリームが西側面全てをやってくれる。有難いぜ。
岩壁の中は居住区にするので今回は外を使う。護岸工事した壁を利用するように煉瓦で箱型を組み、《威圧》工法の屋根と排気口を作った。
床を平らにする為生煉瓦を盛り、側が出来た。
入口のドアはスイングドアで良いだろう。隙間風があった方が排気しやすいからな。雑木で作った観音開きのドアの軸を、ほんの少し傾けてやれば良い。重力で勝手に閉まるドアとなった。
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