女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
760 / 1,519

津波

しおりを挟む


 俺が人だからか、それとも龍に備わる特性か。部屋の中がむわっとして粘膜がしょぼしょぼする。正直あまり居心地が良ろしく無い。人であれば熱と毒で死んでる所を、《龍化》して、更に《耐性》マシマシにした事でこの程度で済んでいると思われる。
暑いのはともかく、目と喉の痛みは何とかしたい。ネーヴェに作ってもらった大きい浄化の属性魔石を取り出すと、魔力を込める前から発動して光り輝いた。その途端しょぼしょぼは治まり、蒸し蒸しした部屋となった。この為に作ってもらったのでは無いのだが、一先ずこれで寝る事が出来る。
野生を捨てた姿で寝転んで、重い球をにぎにぎしながら口の中に魔力を溜めて行く。明るい内に何度も練習した甲斐もあり、金属並みのカッチカチに固める事が出来た。密度もリュネが呼び水にくれた物よりみっちりミチミチだ。ソイツを大きくしたり粒々にしたり、ガムっぽくしてくちゃくちゃしたり、色々やって朝になった。この姿だと意識的に寝るつもりにならないと、あまり眠くもならんのだ。


「カーケールさぁ~ん。朝ですよぉ~」

「ねーてーなーい」

 朝食の時間を告げに来たのか、リュネが転移して来た。

「おはようございます。浄化されてますねぇ」

「喉と目がしょぼしょぼイガイガして居心地悪かったからな」

「確かに。人の子は入る事もままなりませんね。朝食が出来ますので、島に戻りましょうか」

「そうだね。その前に、一発撃ってどのくらい使えるか見てくれる?」

「はぁい。お外に行きましょう」

浄化の魔石を回収し、リュネを乗せて外に出ると、なるべく島から離れた方向に向けて口を開く。
エネルギー充填百二十パーセント!、とか言いたいけど口開けっ放しなので言える筈も無く、口一杯に溜まった魔力を吐き出した。目標は千ハーン先の海上。真っ直ぐ飛んでく魔力の塊は海水を抉り、爆発しながら深く沈んで行き…、海面を盛り上げ波を起こした。

「あ、ヤバくねこれ?」

「波ですよね?」

「津波だと思うんだ…」

「津波、ですか?」

「今すぐ帰って、島とウラシュ島とバルタリンドの海に結界張ってくれ。人死にが出かねん」

「は、はい。分かりました。姉達と手分けして当たります」

俺を置いて一足お先に島に転移したリュネを見送り、自分が災害になった事を実感した。爆心地から押し寄せる波が少しずつ大きくなってくのが分かる。飛び上がり、島に帰ろうとして思い…出した。

キネイアッセンが残ってた!

試した事無かったけどスキルとしてなら結界は使える筈だ。超高速で飛びながら自分の周りに《結界》を張って試しながら移動した。大丈夫、水深が浅くなる程進みは遅くなる。アレに追い付いた時点で間に合うのは確定だ。《結界》自体は成功してるので、後は何処まで範囲を広げられるかだけだ。

 津波を追い越しキネイアッセンの軍港迄飛んで来た。人の子は《洗脳》されてるので普段の生活を営んでいるが、トカゲ達は飛び回って何かが来るのを察してる。港の前で背を向けて、魔力をねりねりスキルと一緒に《結界》を構築した。
海の一部と街全体を囲んだ壁の高さは凡そ百ハーン。ドーム状には出来なかったのでこれ以上の高さだと水没するが、その時は水を《集結》させて何とかしよう。飛び回っていたトカゲ達が着陸して此方を伺っているが、もしかして俺だと分かるのか?空に留まり波が来るのを待った。

 遠くにシャバシャバが見えて来て、何となく水位も下がったか?俺の《結界》がどれ程の効果があるのか。飛んでる時の風圧は完全に防げたが、果たして水にはどうなのか…。じわじわ迫るシャバシャバに正直不安しか無い。
シャバシャバが大きさを増して波となり、結界に打ち当たる。

バシャ……バシャ……

あれ?威力、そんだけ?何時かテレビで見た本物の津波はこんなモンじゃ無かった。黒い波がドバーーって、しない。白く濁っては居るがバッシャンバッシャンしただけだった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

処理中です...