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ザ・酒場
しおりを挟む階段を上がると亀裂の上。間違って落っこちても此処に戻って来られるなら死にはしないか。狙って自由落下は絶対したくないけど。
「どうする?今から戻ると多分深夜だ。酒場もやって無いだろうが、ベッドで寝たいなら帰るぞ?」
「俺は何処でも寝られるが、ご婦人も居る訳だし戻るのが良いんじゃねぇか?」
「カケルさん、外には出られませんが、入口迄なら行けますよ?」
「マジか」「どうすん、するんですか?」
「ふふっ、ジョンくんはカケルさんに掴まってくださいね」
ジョンが俺を背中から抱き締めると、紫色のオーラをゆらゆらと立ち上らせるリュネ。自分の言った言葉に嫉妬するんじゃない。一度離させ手を繋ぎ、リュネの腰を抱く。
「変な事すると置いてっちゃいますからね?」
「?」
ジョンはニブチンだな。
街に着いたのは日が落ちて直ぐだった。ドロップの確認や分配をする前に夕飯にしたいって事で、ジョン行き付けの店に寄る事になった。
「此処だぜ」
「賑やかだな」
「冒険者らしいだろ?」
中に入るとザ・酒場。客は冒険者しか居ない。ガチャガチャと鎧を擦りながら酒を飲み、笑い、喋り、怒鳴り、叫ぶ。初めてかも知れん。こんなに冒険者酒場な店に来たのは。
「おっ!ジョンさん!」「ジョン様!?」「「ジョンさーん!」」
「おう、お前等飲ってっかー!?」
「「「うおおおおー!」」」
ジョンの問にジョッキを掲げ、雄叫びで応える荒くれ共に手を振ると、円卓が一つ空けられた。荒くれ共が席を譲ってくれたのだ。
「悪ぃな。おーいマスター、皆にコレで飲ませてやってくれ」
「羽振りが良いな。お前ぇら!ジョンからエールの差し入れだっ!大人しく飲みやがれっ!」
「「「「「うおおおおおおおおっ!!」」」」」
煩い。そして大人しくない。ウェイトレス達がジョッキを持って往復する中、俺達も食事にありついた。
「ジョン、お前ぇは飲らんのか?」
マスターと呼ばれたオッサンがジョッキを持ってやって来た。ハゲヒゲマッチョでパッと見ギルマスみたい。
「ああ、俺はこれからギルドに寄るからな。飲んで戻ったら何言われるか」
「なら仕方無ぇな。だったらコイツは俺が頂くぜ?」
リュネの隣に座ろうとして、椅子を持って離れて俺の横へ。リュネの怖さに気付いたようだ。
「あンた、強いだろ?」
「あ?まぁ、それなりにはな」
「カケル、この男は俺をギルマスにした極悪人だぜ」
「成程。通りでギルマスに見えた訳か」
「俺にだって荷が重かったんだ。俺よりちゃんとやれてんじゃねぇか」
「カケルのおかげでな」
「美人のサブマスを侍らせ出したのは其奴のせいだったか。嫁取りの準備でもしてるのかと思ってたぜ」
「…それはまあ、そのうちな」
「「子供は良いぞぉ~」」
俺と元ギルマスの声がハモる。
「何だ、お前ぇ子持ちか!?」
「まあな、嫁にはやらんぞ?」「こっちも女だ、嫁にはやらん」
「そんな事言ってると、誰もお嫁に行けなくなりますよ?」
「嫁ぐ時になって大泣きしそうだな」「泣きますね」
想像して元ギルマスが泣いた。声を上げてわんわんと。周りの荒くれ共はそれを見て爆笑してる。俺は上を向いてグッと我慢した。
食事を終えてギルドに着くと、ジョンの帰還を喜ぶ声で騒がしいのをスルーして階段を上がってく。ギルマス室に入ってホッと一息。
「取り敢えず、今日出たのを全部出すぞ?」
「おう、頼むわ」
俺の倒した魔石が三個とドロップ。ジョンの倒した魔石二十一個とドロップ。リュネがくれたドロップ。そして移動中に獲った魔石とドロップ。少しずつ離して山にした。
「こりゃ凄ぇ。こんなに獲ってたのか」
「マジックバッグが無いと持ち切れんよな」
分配は先ずは魔石で、リュネがトカゲの魔石五十八個だけで良いと言うので、俺はトカゲの魔石三個。ジョンはトカゲの魔石二十ー個。自分の倒した数を確保する事となった。そして移動中の魔石は俺とジョンで半分こした。
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