女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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親心

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 幾らになるかは分からんが、献上品と言うくらいだ、それなりのお値段なのだろう。
広過ぎて地下五階を隈無く見る事は出来なかったが、回収した繭殻は二十二個となった。この階にはまだまだあるし、更に下にもあるみたい。続きは明日行く事にしよう。

 宿に帰って先ずは湯浴み。俺はアレがアレなので《洗浄》で済ませたが、あの程度の時間でも鎧から露出している目や鼻の周りが真っ黒になった。塵肺の危険がある。何か策を講じねば…。
ワーリンが打たせ湯で体を擦ってる合間にマスクを作る。雑木の柔らかシートでそれっぽく作ってみたので早速着けてみる。…呼吸は出来るが、機能しているかは分からないな。それでも無いよりマシだろう。飯食ってワーリンとエッチして寝る。

 そして翌日。食堂で朝飯を食っていると装備に身を包んだキキラがやって来た。

「何故その色を選んだんだ?」

「高いんだぞ?買ったの親父だけど」

「高いのか?ワーリン」

「染めてあるなら高いかも。オレは似合うと思うよ?」

「あんがとワーリン。ソーサー一枚もらうね」

カウンター席に座り、ワーリンのソーサーを奪い食うキキラの鎧はオルグのズボン同様毛皮で出来ていて、フサフサモフモフの見た目をしていた。そして色は黒く染め上げてあった。白熊が黒い毛皮に覆われてたらパンダみたいじゃないか。白い毛は目立つからと言う親心も分からなくは無いが、普通に茶色で良くないか?

「え?二十二個?もうそんなに採ったのかよー」

「浅いトコに集中してるみたいだぜ?まだ一杯あるみたいだーって、この人が言ってたけど」

「どれが良いのか分からんからあるのをあるだけ採ってみたが、まだ地下五階を全部見てないんだ」

「あンた、見かけによらず欲張りなんだね」

「島に居る皆の分を考えると足りないんだよな」

「街に居る人達にもってなったらもっと要るよねー」

「嫁さんとお妾さんの分だけじゃないのね」

妻と妾の分で四十は要るからな。


 飯を食ったら宿を引き払って外に出て、地下五階へと歩いてく。メットの中にマスクを着けて、塵肺対策も万全だ、きっと。

「これで粉を吸わなくなるの?」

「気にした事無かったよ」

「鉱山に入るなら必ず着けた方が良いだろうな。昨日なんて目の周りと鼻の穴が真っ黒だったんだぞ?」

「それは嫌だねぇ」「だねぇ」

「吸い続けてると息がし辛くなったりして病気になる」

「怖いねぇ」「だねぇ」

ワーリンとキキラにも着けさせるが、耳の位置が高くて付けられないので、頭の後ろで紐で縛った。此奴等ならタオルでも良いかも知れん。

「地上に出たら外してみれ。黒くなってると思うぞ」

「「あ~い」」

《感知》で見ながら袋小路に向かってくと、途中で宝箱に遭遇した。昨日言ってたミミッキュだ。

「お前さん、開けるのかい?」

「どうせ鉄屑だよ」

「ワーリンんちに鉄を使ったから補充しようかと…」

「まあ止めはしないけど…」

心做しか距離を取る二人だが、何かあるのだろうか?《罠感知》にはモンスターの反応あり。全てを《収納》して、要らないモノだけ壁に向けて射出した。

「うっ」「うわぁ」

ベチャッとした音と共に中身が壁に打ち当たり、紫色の染みを残して地面に落ちる。ダンジョンじゃ無いから煙にならんのか。放置して腐ったりしたら病気を撒き散らしそうなので再び《収納》して《洗浄》しといた。後で海に投げよう。

「んで、お前さん。何が入ってたの?」

「ん…。砂鉄か?」

「どれどれ…。ああ、鉄だねぇ」

箱を取り出し中を見ると、砂状の粒々が溜まってた。ワーリン達が親から聞いた話だと、坑道の壁を食って生活してるらしい。で、消化されず残ったのがコレだと言う。…うんこなのか?

「この砂鉄がうんこなのかどうかは良いとして、この箱は何から出来てんだ?」

「「さぁ?」」

ダンジョンでは無い自然の坑道に、こんな立派な木箱は当然無い訳で、どうやって発生したのかすげー気になる。


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