女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
859 / 1,519

食ってやる

しおりを挟む


「話を付けてくれたようだな」

「うむ。警邏にも力を注いでおるわ」

 街から外周迄三十キロハーンもあるので警邏するにも泊まり掛けだが、魔動車で送り迎えされているので苦にはならないみたいだ。
ふわりと飛んで、外濠街の上空へ。半分ずつ手を付ける事は前以て伝えてあるので門から右は避難完了してるとの事。荒屋の一部も幾つか解体されて、薪や建材にリサイクルされるようだ。

「旦那様よ、何か手伝う事は無いか?」

「我にも言い付けてくれ」「ならば我も」

ミーネ達が手伝ってくれるなら直ぐにでも出来てしまいそうだな。それに龍三頭が作った街なんて、仕返しが怖くて迂闊にも襲えないだろう。

「ではボーデンフェルトには更地にして平らに均してもらおうかな」

「うむ、任されよ」

「雄め…」「食ってやるぞ…」

食うな。雌龍の食欲が満たされる前に指示を与えねば。

「ミーネは先ず道を。リームは外濠の縁と道の真ん中に木を植えてくれ。成長させるのは後で良いからな」

「分かった」「承った」

ボーデンフェルトが地面の加工を終えると真っ先に動き出したのはリーム。外濠に沿って俺が渡した木の枝を等間隔に突き刺して行く。それを基準にして、幅五ハーン程の道が作られるのはミーネ。道と言っても唯の更地だ。此処は道ですよーってのが分かるように五ハーンの幅で線が引かれた。

「石でも敷き詰めてやれば良かったか?」

「追々やれば良いと思うよ。それこそ人がやれば良い。その方が愛着も湧くだろ」

「成程の」

集合住宅の分のスペースを開けて、ミーネが細いブレスで道筋を引く。今度は幅十一ハーン。そして道の真ん中にリームが枝をガガガッと撃ち込む。
まだ道筋と枝が刺さってるだけの更地だが街の反対側には野次馬達が集まってワイワイガヤガヤ騒いでる。ミーネが女王である事は周知されてるようで、女王自らが街作りしてる事に驚いてたり感謝してたり。

「主様よ。先ずはこんな物だろうか」

「枝も残り少ないし、今回はこのくらいにしとこうか」

「私は線しか引いてないのだが?」

「ならミーネは集合住宅を作ってくれ」

「集合住宅とな?」

「姉よ、我が一つやって見せよう」

ミーネとリームが二人でやってくれると言うので任せる事にして、俺とボーデンフェルトは井戸を作る事にした。

「井戸であれば縦穴だな?」

「穴だけだと落っこちちゃうだろ」

道の真ん中に直径二ハーンの穴を掘り、ボーデンフェルトと中へと降りる。

「水は染み出しては居らぬようだな」

「属性魔石で満たすのさ。とは言え井戸一つに魔石一つじゃ勿体無いから、横穴で繋ごうと思ってる」

「それで連れて来た訳か。暫し待て…」

ボコボコ言いながら穴が空いて行くが、それは土魔法なのか?終わったと言うので《感知》で見ると、キレイに水路が出来ていた。染み込んじゃうと勿体無いので煉瓦でコーティングして行った。
途中からミーネとリームが手伝ってくれたが、俺の能力では広範囲に施行出来無いので凄く時間が掛かるのだ。龍の力は桁外れである。最後に、外濠に向けて排水口を開けてコーティングを施したら井戸の完成だ。

「属性魔石を置いて井戸の出来上がりだ。地上に上がってくれ」

トカゲの魔石を加工して水の属性魔石を作り、壁に押し込んだ。魔力を放つとドバドバと水が噴き出して来るが、水路一杯に溜まって排水口から流れ出すには暫く時間が掛かるだろう。

「お帰り主様」

井戸から上がると、井戸枠を作っといてくれたみたいで穴が井戸になっていた。地味に助かる。

「溢れない程度に水を注いでくれないか?」

「それならば我がやっておこう」

「おい雄…」「開きにしてやろうか…」

開きにされる前に移動しよう。ボーデンフェルトが水をドバドバしてる間に二人を連れて家を見に行く。集合住宅と言うと俺の中では豆腐建築なのだが、流石はミーネにリーム、センスが良い。総石造りだがクリューエルシュタルトのヤリ部屋みたいな形の集合住宅になっていた。






しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

処理中です...