女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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お試し体験

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「なあ坊や、偶には依頼を受けちゃみないかい?」

 並んだ料理を食べ進めていると、タマリーが依頼を受けろと言う。そりゃあ俺も一応冒険者だし、依頼を受ける事は吝かでは無いんだぜ?

「俺に出来る依頼?トカゲでも倒せば良いのか?」

「そんな依頼無いと思うがね。けどあまりに依頼をおざなりにしてるとランクも上がらないじゃないか」

ランクと聞いてサミイが口を開く。

「旦那さまって、Bランクでしたっけ?」

「だな」

「坊やの場合、依頼以外で稼いでるから何とも言い難いけど、カロだって会いたがってるんだよ」

私もね、と聞こえたような気がした。もっと声張ってええのじゃよ?だがおっぱいとお尻以外主張しないのもタマリーの良い所だ。

「依頼の件は了承した。けど、俺をAランクにする相手は決まってるからランクは上げないぞ?」

「それで良いさ。安い仕事で良いから、直々顔を見せてやっておくれ。でないと子供達が親父の顔を忘れちまうよ?」

それは困るな。会いに行くのもそうだが島にも来てもらわないと。

「タマリー達も休みがあったら島に来てくれ。島の子達もきっと喜ぶから」

「休み次第だね。カロにも伝えとくよ」

一足お先に食事を終えたタマリーが仕事に戻って行く。支払いは任せろ。サミイはジト目を向けるな。

「旦那さまはどんな依頼が良いんですか?」

食後の果実水を飲み、サミイが口を開く。中々難しい質問だ。

「どんなと言われてもなー。昔は金が無かったからしょぼい依頼なんか無視して素材狩りしてたんだよな。今は早く終わる奴が良いかも」

「薬草採集みたいな?」

「だな。採り過ぎて一悶着起こしたけど。スキルで探せるからしょぼい討伐でも良いな」

「戦うのは怖いですけど、薬草摘みならわたしもやってみたいです!」

冒険者に憧れのあったサミイはお試し体験的な事をしたいみたいだ。流石にこれから直ぐに、とは行かないので明日にでもやってみるか、と言う事になった。


「よ、よく似合ってるぞ?」

「たんせいこめた。ほめたたえて」

 夕飯を食べながらネーヴェにサミイの一張羅の仕立てをお願いし、朝一番に袖を通したサミイは素人冒険者には見えない出で立ちになっていた。
薄ら青い皮は海竜だよな。青皮に俺が以前獲って来た人工皮革がパイピングみたいな装飾になっている。水色と焦茶のシマシマはチョコミントを連想させる。腰の左右には謎の金具が付いているが、武器でも提げるのに使うのだろうか?

「旦那さま、体が軽くなった気がします!ネーヴェさまっ、ありがとうございます!」

「カケルさぁ~ん、此方も支度が整いましたよ~」

「は?」

まだ朝飯も食べてないのだが、珍しく早起きのリュネが支度が整った事を告げた。何の?

「リュネも来るのか?」

「私は引率ですから、見てるだけでぇす」

「カーケルー、サミイ~、はーやーくー」

美少女カラクレナイが、巨大カラクレナイになっていた…。しかも装具が凄い。俺が以前渡したミスリルを惜しげも無く使い、全身金属鎧みたいになっていた。それにしてもだ。その過剰装備で採集に行くのか?依頼受けるからバルタリンドに行かねばならんのだぞ?

「依頼を受けてから元に戻れば良かったのに…」

「カララちゃんは騎龍として登録されてますからね」

「サミイ、早く乗るの」

「カララさま~、屈んでくださ~い」

「だいじょぶ。ぴょんってすれば乗れる」

「え?こ、こうですか?」

サミイが飛び跳ねた瞬間、俺は必死に追い付いて抱き抱えた。加減を知らんものだから跳び過ぎたのだ。

「びっ、びびっ、びっ、びっくりしました!」

「せめて何度か軽く跳ねて感覚を掴んでから跳ぼうな?」

カラクレナイの背中に降ろすと、サミイは両腰に付いている金具を留めてカラクレナイと一体化する。
俺達は一体どんな伝説の薬草を採りに行くと言うのだろうか…。

「取り敢えず、朝飯食わないか?」

お弁当用意されてた。カラクレナイはもう食べたんだって。ヤル気満々だな。
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