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しおりを挟む龍の鱗で話は逸れたがそろそろ夕方、帰る時間だ。フラノノもそれを告げにやって来たと言う。
「俺はカロ達の所に行くよ」
「カララさま、夫が他の女の所に行くのを、妻はどんな顔して見送れば良いんでしょう?」
「悪いおっとなの」
抱き締めてキスするから見逃しとくれ。サミイにチュッチュ、カラクレナイにもチュッチュ~。
「お零れください」
「分かった分かった。それより食事の支度しなくて良いのか?」
「はい…、行ってきます…」
魂の抜けた顔で部屋を出るエージャを追い掛けて捕まえる。
「ママ上殿と一緒にまた島に来い。その時はたっぷり犯してやる」
「カケル様…、必ずや」
チュッと軽くキスをすると少し弾んで歩いて行った。
「ご主人は女の敵だな」
「お前達もチューするか?」
「いえ、今は」
「旦那さまぁ、わたし達も帰ります。後でしてくださいね?」「カララもなの」
サミイ達が島に向かうのを見送って、俺も寝具店を後にした。
夜の街、と言ってもまだ薄暗い宵の口。人の姿は疎らになって、歩いているのは大体が冒険者な感じとなった。仕事終わりで酒場にでも行くのだろう。大人の店に行く者も居るかも知れない。俺はと言うと、ギルドの前で立ち呆うけ。こっそり浮いてるので倒れはしないが、ともすると寝てしまいそうになる。
「何だい坊や、お疲れかい?」
「ぶい~」
ギルドから出て来た二人に声を掛けられた。
「タマリーこそお疲れ様。ガンダーもな」
「カロはもう少し掛かるかもね。何処かで少し飲るかい?」
「否、待とう。拗ねられても嫌だからな。その代わり、ガンダーに空からの景色を見せてやろう」
荷車を出しても周りには誰も居ないので問題無い。乗り込んだら用心の為に《阻害》を掛けて、空に上がる。
大体百ハーン程に上がり、二人に街を見せてやる。地球と比べると暗い夜景だが、星明かりで薄ら明るい夜の街は、ガンダーの瞳にはどう映っただろうか。
「ぶぇ~…」
涎垂らすなよ。風があるので真下には落ちんが、人が居たらとおもうと心苦しい。まあ、赤ちゃんのした事ですし。
そんなこんなでキャッキャする赤子を愛でて居ると、見知った気配が外に出て来た。カロとシンクレイアだな。驚かさぬようゆっくり降りた。
「カロ、此処だ」
「上ですか?…あれ?」
着地の音で場所は分かったようだが《阻害》が効いてて見えてないみたい。《阻害》を解いてやっと確信してた。
「お出掛けでしたか?」
「ガンダーに空を見せてたんだ。シンクレイアにも見せてあげよう」
「ぷいぃ」
良いのか否なのか今一解り辛い返事である。カロに抱かれて荷車へと乗り込むと、再び《阻害》を掛けて上がってく。正面から見せたいのでゆっくりバックでカロ邸へと向かった。
「どうだ?街を上から見た感想は」
「……」
必死に見てるな。感触は悪くなさそうだ。
空中観光を経てカロ邸の上に到着すると、アルネスが玄関から出て来た。此奴も謎感知を持っているのだろうか?キョロキョロしてるが足元を見て此方に気付いた。薄らぼんやりとした影を頼りに荷車を見付けたようだ。
「お帰りなさいませ奥様、カケル様にシンクお嬢様。タマリー様とガンダー坊っちゃまもようこそいらっしゃいました。お風呂の支度は整っておりますのでお子様共々汗をお流し下さいませ」
長い挨拶を終えて風呂に向かう。カロが一旦自室に戻ると言うのでシンクレイアを預かった。
「……」
見てる。見られてる。
「パパだよ?あんまり会えなくてごめんね?」
「悪いパパでちゅねぇー、ねーガンダー?」
「だぁぶ」
「ガンダーもごめんなー」
浴室に着いて装備を《収納》。シンクレイアも脱がさないと…。
「あぢゃ」
「ん?何だい?シンクに嫌われちまったのかい?」
タマリーは赤ちゃん語が分かるので言葉の意味を理解したようだが、俺も理解する事が出来た。
《念話》だ。
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