女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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魔性の食い物

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 夕飯を終えて食休みのお茶を飲みがてら、線だけの設計図を見てもらう。

「崖に、めり込む…」

「どうせ使って無いだろうし、ダメかな?」

「土地の範囲であるなら問題無いかと思いますが、でなければ使用の許可は取るべきでしょうね」

「成程な」

シャリーの言葉も尤もだ。明日にでも土地の確認と催促に行くかな。

「旦那さま?一階、こんなに広くして何をするんですか?」

「線を引いてないだけで、厨房やら食堂にしようかと思ってるんだ」

「でしたら、厨房から二階へ行くのが良いですね。宿屋の人はそんな感じですよ?」

確かに。ティータの宿はそんな感じだったな。

「ならば厨房と広間の入口は分けた方が良いかと」

  「お客様がいらっしゃるならその方が良いですね」
「それに、客と我々のトイレも別にすべきだろう」

メイドの使うスペースは、客と同じにしない方が良いと言う。

「ふむ…。明日、確認したら改めて描き直そう。また意見を頼むよ」

妻三人に、シャリーとフラノノが同行すると言う。シャリー以外は別行動だろうけどな。風呂入ってエッチして寝た。

 翌日、お土産の甘い物を持って俺とシャリーは直通で、妻とメイド達は寝具店への転移門を潜りバルタリンドへ向かう。しかしまだ連絡は来て無いとアルネスは言う。

「遅くは無いと思いますが、一度催促するのがいいでしょうね」

「時間が経って売り渋りたくなってるのかも知れないですね」

「ごねれば値上げ出来るとか思ってるのかな」

「どうでしょうね」

アルネスと別れ街に出る。向かうは商業ギルドだが、カロも連れてく方が良いとのシャリーからの進言を受けて冒険者ギルドに寄る。

「シンクレイア~、ガンダ~、おーはよー」

「あ、ぱぱぁー」「あだー」

愛娘がパパと呼び、色んなトコから視線が刺さる。何故だろう、嫉妬の感情が沸き起こっているのだが?シャリーに手続きしてもらってカロを呼ぶと、間を置かずカロが降りて来た。

「カケル様、シャリーさん。お二人が来たと言う事は、あの件ですね」

「一度催促しとこうかなって」

「分かりました。私も同行しましょう。シンク、行ってきますね」

「いえらー」

仲間を増やした俺達は、一路商業ギルドを目指す。
で、着いた。近くは無いが遠くも無いしな。

「カ、カケル様っ、いらっしゃいませ。カロ様もシャリーさんもようこそ。先ずは部屋を用意しますので暫くお待ちくださいませ」

 ギルドに入るとプリニアが飛んで来て、挨拶を済ませると部屋を取りに走って行った。

「何だか慌てていましたね」

「交渉、上手く行ってないのかな?」

「予算の見積もりも終えてますし、後は支払いと受け取りだけでしょうに…」

ホントにな。プリニアが帰って来て会議室っぽい部屋に誘われ、席に着くとお茶が出た。

「これ、差し入れだ。甘い物だから仲間内で食べてくれ」

「え!これ、甘い種じゃあありませんかっ。それに箱入りでこんなに沢山、ありがとうございますっ!」

「甘納豆って言うんだよ」

「あまなっとー、アマナットーですね!大事に頂かせて頂きます」

甘い物に飢えているシルケ女にはコレが効く。カロも、普段食えてるシャリーでさえも、見てしまったら涎を垂らさんばかりになってしまう。コレは魔性の食い物だ。

「しょうが無いな、お前等もお食べ」

おやつ用に取っておいた、雑木紙に包んだヤツを三人に分ける。箱入りのは減らして持って行くと喧嘩になりそうだからな。三人が落ち着く迄、お茶を啜って待つ。

「ふぅ…。大変美味しゅうございました。えっと、本日は土地の件ですよね?」

「あれから数日、音沙汰無くて少し心配だったんだ。それと、土地の場所を詳しく教えてくれ。後、裏の崖について聞きたい事があるんだ」

「はい。先ずは…」

値段交渉について進展が無いのは、持ち主の商家が出払ってしまったと言うのだ。
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