女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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あれが商売ってヤツだ

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 ママ上殿にお願いして、相手方の奥さんと繋ぎを付けてもらう事となった。

「予定が取れたらエージャを寄越してくれ」

「分かりました。エージャ、お駄賃たんまりもらってらっしゃいね」

「直ぐにでも繋ぎを付けて参ります」

「あらあら。じゃあ手紙を書くからお部屋に用意してちょうだい」

「承りましたっ」

「では皆様、私は手筈を整えますので、この辺で」

弾む様に部屋を出るエージャと、ゆっくりと出て行くママ上殿。家主がお暇したのに客が残って居ては格好付かないので、島に戻る事となった。

「旦那さま?ママがなんか怪しいんですけど!?」

サミイはママ上殿の行動に不信感を覚えたようで、昼飯の配膳等しながら愚痴を零す。

「そうか?あれが商売ってヤツだろ」

「商売ですか?」

「情報とか、紹介とかな。言い値で買う羽目に遭っちゃったけど、仕送りの序だし、偶にはトカゲの肉でも持って行くかな」

「カケルさん、お肉が居るなら言ってくださいね~」

「否、お礼だし、俺が獲りに行くよ。捌くのはリュネにお願いするけどね」

「そう言う事なら、お手伝いしましょう」

 昼飯を摂り、食休みを終えた俺は設計図描き…では無く、トカゲ狩りに出る。普段はリュネ達が一瞬で獲って来るトカゲだが、普通に探して見付かる事は無い。もしかして、レッサードラゴンは絶滅危惧種なのか?ノーズコーンに収まって、《逃げる》に指示して飛んでくと、バルタリンドのだいぶ北の方で低空飛行するトカゲが《感知》に反応した。
どうやら何かを追い掛けてるみたいだ。
一匹だし、余所に意識が向いているなら丁度良い。脳味噌《散開》からの《収納》で捕獲完了。

ホルストに跨る全身鎧とホルスト車の馭者が突然の事に驚いてるが、関わり合うと夕飯に遅れそうなので《阻害》を掛けてそっと帰った。

「ただいま~」

「お帰りなさい、カケル様」「カケル~お土産~」

テイカとカラクレナイが迎えに来てた。今日は二人が同着か。

「今内臓を固めてやるから待ってな?」

血と内臓を取り出して、《集結》を掛けて球にする。固め過ぎると食べ難いそうなので、ある程度固まったら十個に分けて、ピンポン球程度の大きさにしてくれてやった。内容物は臭いので海にポイ。

「カケルさぁん、待ってましたよぉ」

「待たせたね。皮を切らないように肉と骨を外して欲しい」

「はぁ~い。骨と肉も分けちゃいますね」

ふよふよ飛んで来たリュネにトカゲを渡すと、皮だけベロンとなって返された。

「渡すのはお肉だけですかぁ?」

「そうだね。骨を煮る鍋も無いだろうし、肉だけにしておこう。筋を外してくれるかい?」

「はぁ~い。残った筋は、どうします?」

「これも煮込んで食うと美味いんだが、長くは煮込めないだろうしな。家で食べよう」

料理に薪を使うシルケでは、長く煮込む料理はあって貴族の家くらい。庶民料理はさっと煮るスープが殆どで、我が家のように属性魔石メインで料理して無いと煮込み料理は出来無いのだ。
筋を外された肉を受け取り、夕飯の支度の手伝いに向かう。

 厨房ではラビアン達がマタル粉を練ったりスープを煮たりと忙しない。奥の方では肉を焼く下拵えをしてるみたいだ。

「カケル様、どうなさいました?」

「偶には手伝おうかと思ってな」

「今は特に…。カラクレナイ様も人の大きさですし」

巨大カラクレナイの分が無いってだけで楽なのだろうな。配膳までやる事が無いと言うのでお絵描きでもするかな。一人二階へ上がって行った。

 紙を取り出しさてやるぞ。大きめの雑木紙に新規に白地図を描いて、土地の分だけ新たな紙にトレースし、縦横の基準を引いて行く。

「あれ?」

定規を当てていざ描こうってしていると、何かが動いてるのが見える。これは人だな。男が二人、明かりも着けずに井戸へと向かい、何も起きない筈が無く…って、気になって作業出来無いじゃないか。井戸に手を掛け降りてく二人を追い掛けてみる事にした。


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