女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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研究熱心な職人達

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「カケル様。これからのご予定は?」

 商業ギルドを離れて暫し、シャリーが予定を聞いて来る。俺もママ上殿の所に戻りたいが、やっておきたい事もある。

「シャリーは皆と合流してくれ。俺は土地の所有権を確立させる」

「柵でも建てるのですか?」

「折角だから壁と基礎くらいは作っておこうかな、と」

「急いでますね?」

「そりゃそうだろ。もう俺の土地だし、下手に出入りされたくないもん。直ぐ終わるとは言え工事始まったら危ないしな」

「まあ、そうですね。では私は奥様達の所へ向かいます。お気を付けて」

分かれ道でシャリーと別れ、俺はカロ邸方面に移動する。《阻害》を掛けて空を飛び、数リット程で着いた。
先ずは生えてる木を全て《収納》し、更地にする。道行く人達が二度見する程度に驚いてるよ。そして、二十ハーンの深さで更地を《収納》した。切り取られた下水道から汚水が流れて来るのを煉瓦で蓋をして、凹み全体を煉瓦で埋めた。少し傾斜があるようで、煉瓦の地面が面一になると、海側とその反対側で五十ドン程の段差が出来ていた。
T字路の正面に、両翼三ハーン開けて煉瓦の柱を建てる。普通の四角柱だ。その二本を基準にして、等間隔で同じ柱を建てて行く。長さはまだ適当。後で切る。
見世物じゃ無いのだが、道の反対側にギャラリーが集まってるよ。
先ずは北側の柱が建ち、柱同士の間に煉瓦板を嵌め込んで行く。しっかり癒着はしているが、補強の為内側から控え壁を壁毎に一つ設置しておいた。
T字路に着いて半分。今度は海側だ。見た目大工みたいな連中が勝手に中入って見たりしてるが、お前等の技術とそう変わり無いぞ?違いがあるとすれば魔法を使うかどうかだけだ。
海側迄の柱を立て、帰る足で壁と控え壁を付けて行く。

「はー、こりゃあ早ぇわ」

「土魔法だろ?便利なモンだ」

「これじゃあ俺達ゃやってけんぜ」

職人達のボヤきが直ぐ後ろで聞こえる。研究熱心な職人達だな。帰ってくれないだろうか。

「魔法の煉瓦は早く出来るが色が同じでつまらんよ。焼き目や色違いで味を出せるのは職人の手でないとな。それに、これは一枚成りだが段積みするとなると職人より断然遅くなる」

「魔法は魔法で無い物強請りってか」

「そりゃあ技術は職人には敵わないからな」

「中々見上げた事言うじゃねーか」

褒められて気を良くしない職人は、居ない。

「所であんちゃん、随分と高ぇ塀だがよ?此処にはどんな屋敷を建てるんだい?」

「此処は女用の入浴施設を作るんだ。だから壁も高くしないとな」

「成程なぁ」

「下水道を埋めちまったのも侵入防止ってか」

「ああ。ゲルで浄水するから外とは隔離したんだ」

実際は浄化の属性魔石を使うけどな。
港側の壁が出来上がると、職人達は飯だ何だと出て行った。また来そうだなぁ。周りに居たギャラリー達も納得して帰って行った。最後の仕上げに入り口を煉瓦で塞ぎ、午前の仕事は此処迄とした。お土産に串焼き買ってって、寝具店で食べる。ママ上殿が作った野菜の煮たのが美味い。

午後の作業は塀の高さを揃えるのと、施設の基礎作り。浮き上がり、設計図を見ながら基礎となる煉瓦のブロックを乗せて行く。大雨で浸水…なんて事はしないだろうが、木炭敷き詰めて除湿くらいはした方が良いだろう。一階部分に基礎を乗せ、浴室と、倉庫になる地下を掘り下げる。地下通路と地下トイレになるスペースも作っておいた。地下を掘った上に蓋をして帰ろう。

 一足先に島に帰った妻達は子供達を寝かし付けに行ったようで、俺は新居の居間にて弥一の提出した紙束と格闘する。なまじ物書き目指して文字書きしてただけあって、とにかく文字が多い。要約したいが読んでるだけじゃ答えが纏められないのでヤリ部屋に籠って読んで書き、纏めた物を清書して、雑木紙三枚の回答文とした。長く苦しい戦いであった。








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