女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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調査

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 二十リットくらいか、稍あって漸く亀裂と仮設足場が見付かった。

「来なそうだし行くかね」

「…待つ気無いわよね」

「女の支度は長くてなんぼだが、時は金なりだ」

「は?時間は売れないわ」

「仕事は時間と労力だぜ?数オコン掛けてミズゲルの核千個採っても五千ヤンにしかならん」

「はぁ、待つのが勿体無いって事ね」

男二人を浮かせて足場に降りる。仮設の梯子が掛かっているが、不安なので使わない。

目の前にクパッと開いた亀裂は、大人が一人入れる程度の幅があり、中は真っ暗で何も見えない。確かにこれなら不自然だ。梯子を降りる女を待たず、男二人を放り込み、ダンジョンの中へ突入した。
ダンジョンの中は真っ暗で、明かりが無くては仕事にならんが、《感知》の使える俺には全く問題無い。壁は上下段で意匠が変わり、装飾なのか柱も付いてる。家の壁より良い壁だ。見た感じ遺跡型ダンジョンってヤツだな。

「ちょ、待ちなさいよ。何処居…居た!」

魔力視でも使えるのだろうか。ダンジョンに入って来た女が愚痴る。けどあんな足場で待つのは自殺行為に他ならん。とっとと入って中で待つのが正しい判断だ。

「そろそろそれ、何とかしなさいよ。使い物にならないじゃない」

「使い物じゃないし、このままで大丈夫だろ」

「あがっ!あばがっ」

ボールギャグの男は此処に来る迄ずっと暴れていたが、浮かせてあるので五月蝿い以外は問題無い。

「さて、歩け。歩けー」

《威圧》を纏った男がのっそりギクシャク歩き出す。ボールギャグの男は顔を引っ張られるようにそれに続く。俺は《感知》で階層を見渡し、雑木の薄板の表面にトレース台の如く投影し、ボールペンで道をなぞって行く。

「あんた何してんのよ。見失うわよ?」

暫く一本道だし平気だろ。

「ああ、見えないのか。明かりも付けなきゃな」

前の二人を呼び寄せて、光の棒を灯して《威圧》の男にくっ付けると再び先行させた。

「まさか、人柱にするつもり!?」

「ははは、あの二人なら大丈夫だろ。こんな所で殺られるようなら、このダンジョンは使い物にならんって事だしな」

カランカランカランカラン

二人の近くから音が鳴る。入ってまだ直ぐだと言うのに罠でも踏んだか?音と共に、道の先で動く者の反応が現れる。どうやら鳴子だったようだ。メモメモ…。

「何してんのよ!?敵よ!」

召喚されたのはブフリムか。ぺたぺた走ってやって来る幾つもの足音に、ギャグボールの男も背中から短剣を抜いた。しかしそれは徒労に終わる。

「鳴子にブフリム三十四…っと…良し。さて行くか」

「き、消えた…?」

出て来たのなら消える事もあるだろう。狼狽える女をスルーして歩みを進めさせた。

「今の罠、Cランクで殺り切れると思うか?」

「え?そ、そうね…数が多いけど、通路は狭いしちゃんとした構成なら…、ゴミしかドロップしないだろうし、踏んでも無駄ね」

「袋の中身しか期待出来んか」

「あんた倒したんでしょ?何拾ったのよ」

「検めて無いし、後でな」

ゴミに興味のある女をスルーして、湧き出す敵を消して行き、その都度メモを取って進む。

「階段ね」

「そうだな。先に進むかフロアをもっと見に行くか」

「進む以外の選択肢は無いわよ」

「ならば敢えて探索を続けよう」

「何でよ!?」

「一階から罠があるダンジョンだぞ?あれ一つな訳が無い。調査すべきだろ」

「はあ?そんなの他の奴等に任せたら良いじゃ無い」

「それが仕事だろ」

「ならあんただけで行きなさいよ。こっちは先に進むから」

「調査に不備が出るからダメだ」

「私には関係無いっ何?浮いてっ!?きゃあっ」

眉間に皺を寄せる女を浮かせ、無理矢理連れて行く。騒がしいのが二人になってしまったおかげで敵が来るのも早い気がする。メモを取り、敵を消したら先を進み、罠を踏ませ、メモを取る。そうしている内に二人は静かになった。


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