女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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夜這い

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 対向車の護衛がしっかり働いていたおかげで午後は丸々暇になる。座ってばかりで暇そうにしているお手頃価格達を外に出し、走らせる事にした。

「あの、飛び降りるんすか?」

「この程度の速度なら前目に飛んで着地と同時に正面へ走れば大丈夫だ」

「翔、俺もやるんか?」

「痩せてモテモテになるんだろ?」

女を餌にすると食い付きが良い。皆挙って配置に着いた。

「成る可く静かに走れ。特に三号車には気取られるなよ?」

「何でです?」

「モテる努力は隠れてするもんだ。だろ?さあ行け行けっ」

「「「おう」」」

お手頃価格は皮鎧が多いので、金属特有のガチャガチャは少な目だ。それでもガポガポ言うのを押さえて走らせる。着地時にコケたりする者も居たが概ね静かに外に出て、出来うる限り静かに走る。

「弥一、走り方を教えてやれ」

外に出て、皆の後ろに着くと走る振りして飛んで行く。

「あ?…ああ。鼻で、二回、息を、吸って、口で一回、吐く」

「「「お、おう」」」

「口で、吸うと…ふぅ。口に、虫、入る」

「な、なる、ほど」「すっすっふー」

弥一は今ではこんな姿だが、一緒に少年野球をやってた仲だ。三年程で辞めてしまったが、運動神経の良いデブなのだ。全員に回復と《耐性》を掛けておく。

「翔、何かしたな?」

「回復程度だよ」

回復では疲労は取れん。傷んだ筋肉を治すだけだ。その代わり《耐性》で疲労に強くする事で長距離の移動を可能にする。護衛の騎士に見守られ、野営地の近く迄走り続ける五人であった。

「強くなった気がします」

「気のせいだ。だがスタミナが増えれば夜も長く楽しめるな」

「俺、明日も走りたいっす」

「明日は敵も出るだろうし、警戒しながらになるな」

夕飯を食べながら五人輪になり話をする。他は知らんがだいぶ打ち解けて来たな。

「飯食ったら三十リット程席を外す。死なないように立ち回ってくれ」

「成程、夜這いだな?」

「それも良いが、野暮用だよ」

食事の片付けが終わると、メイドと共に夫人達のテントへ向かう。

「貴方、此処から先は立ち入らない事ね」

何だろう?夫人達の護衛を勝手に始めてる三組とヘンプシャーが俺の前に立ちはだかって《威圧》して来る。お前等不寝番だろ?

「呼ばれてんだよ。夫人の護衛は騎士達に任せて周辺警護しろよ。まだ火も焚いてないじゃないか」

「そんなの男達がやってるわ。私達は一番重要な所を守ってるのよ」

一番重要な所、それはホルストと車だ。それは俺が守ってる。

「メイドさん、俺が来たと伝えてよ」

「承知致しました。奥様~、カケル様が御成りです~」

…まあ、声出せば聞こえるか。しかし御成りとは持ち上げ過ぎでは無いか?あ、俺王だから間違っても無いのか。名ばかりだけど。

「カケル様、お待ちしておりましたっ。ささ、どうぞ中へ」

《耐性》を掛けられ元気を取り戻したニーネンタールがテントから飛び出して、ヘンプシャーに制される。お前、それ不敬だぞ?

「お嬢様、これから夜になります。男をテントに入れるのはいけません」

「貴女、お退きなさい?」

「ですが「私の言葉を聞いて下さらないのでしたら母を呼ぶしかありません。退きなさい」…はい」

やっと折れたか。恨めし気な視線を浴びてテントに入ると、移動する者を確認して《結界》を張る。どうせ聞き耳立ててたり突入準備してんだろ。

「何なのです?アレは」

自分を蔑ろにされてニーネンタールは憤慨するが、頭を撫でて落ち着かせる。

「貴族とコネを作りたいのだろうよ」

「あんな事しても悪評にしかなりませんのに」

「ニーン、貴族たる者、考えを顔に出してはなりませんよ?カケル様、宜しくお願い致します」

貴族の世界も大変だな。メイド四人と母と子を出来るだけ俺に密着させて《転移》した。

「!」「カケル様!?」

 《転移》した先は入浴施設のサロン。掃除中のラビアンが、俺に気付いて驚いている。

「すまない、風呂に入らせてやってくれ」

「分かりました。お食事はどうします?」

飲み物と、軽く摘める程度で適当に頼んだ。







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