1,140 / 1,519
夜這い
しおりを挟む対向車の護衛がしっかり働いていたおかげで午後は丸々暇になる。座ってばかりで暇そうにしているお手頃価格達を外に出し、走らせる事にした。
「あの、飛び降りるんすか?」
「この程度の速度なら前目に飛んで着地と同時に正面へ走れば大丈夫だ」
「翔、俺もやるんか?」
「痩せてモテモテになるんだろ?」
女を餌にすると食い付きが良い。皆挙って配置に着いた。
「成る可く静かに走れ。特に三号車には気取られるなよ?」
「何でです?」
「モテる努力は隠れてするもんだ。だろ?さあ行け行けっ」
「「「おう」」」
お手頃価格は皮鎧が多いので、金属特有のガチャガチャは少な目だ。それでもガポガポ言うのを押さえて走らせる。着地時にコケたりする者も居たが概ね静かに外に出て、出来うる限り静かに走る。
「弥一、走り方を教えてやれ」
外に出て、皆の後ろに着くと走る振りして飛んで行く。
「あ?…ああ。鼻で、二回、息を、吸って、口で一回、吐く」
「「「お、おう」」」
「口で、吸うと…ふぅ。口に、虫、入る」
「な、なる、ほど」「すっすっふー」
弥一は今ではこんな姿だが、一緒に少年野球をやってた仲だ。三年程で辞めてしまったが、運動神経の良いデブなのだ。全員に回復と《耐性》を掛けておく。
「翔、何かしたな?」
「回復程度だよ」
回復では疲労は取れん。傷んだ筋肉を治すだけだ。その代わり《耐性》で疲労に強くする事で長距離の移動を可能にする。護衛の騎士に見守られ、野営地の近く迄走り続ける五人であった。
「強くなった気がします」
「気のせいだ。だがスタミナが増えれば夜も長く楽しめるな」
「俺、明日も走りたいっす」
「明日は敵も出るだろうし、警戒しながらになるな」
夕飯を食べながら五人輪になり話をする。他は知らんがだいぶ打ち解けて来たな。
「飯食ったら三十リット程席を外す。死なないように立ち回ってくれ」
「成程、夜這いだな?」
「それも良いが、野暮用だよ」
食事の片付けが終わると、メイドと共に夫人達のテントへ向かう。
「貴方、此処から先は立ち入らない事ね」
何だろう?夫人達の護衛を勝手に始めてる三組とヘンプシャーが俺の前に立ちはだかって《威圧》して来る。お前等不寝番だろ?
「呼ばれてんだよ。夫人の護衛は騎士達に任せて周辺警護しろよ。まだ火も焚いてないじゃないか」
「そんなの男達がやってるわ。私達は一番重要な所を守ってるのよ」
一番重要な所、それはホルストと車だ。それは俺が守ってる。
「メイドさん、俺が来たと伝えてよ」
「承知致しました。奥様~、カケル様が御成りです~」
…まあ、声出せば聞こえるか。しかし御成りとは持ち上げ過ぎでは無いか?あ、俺王だから間違っても無いのか。名ばかりだけど。
「カケル様、お待ちしておりましたっ。ささ、どうぞ中へ」
《耐性》を掛けられ元気を取り戻したニーネンタールがテントから飛び出して、ヘンプシャーに制される。お前、それ不敬だぞ?
「お嬢様、これから夜になります。男をテントに入れるのはいけません」
「貴女、お退きなさい?」
「ですが「私の言葉を聞いて下さらないのでしたら母を呼ぶしかありません。退きなさい」…はい」
やっと折れたか。恨めし気な視線を浴びてテントに入ると、移動する者を確認して《結界》を張る。どうせ聞き耳立ててたり突入準備してんだろ。
「何なのです?アレは」
自分を蔑ろにされてニーネンタールは憤慨するが、頭を撫でて落ち着かせる。
「貴族とコネを作りたいのだろうよ」
「あんな事しても悪評にしかなりませんのに」
「ニーン、貴族たる者、考えを顔に出してはなりませんよ?カケル様、宜しくお願い致します」
貴族の世界も大変だな。メイド四人と母と子を出来るだけ俺に密着させて《転移》した。
「!」「カケル様!?」
《転移》した先は入浴施設のサロン。掃除中のラビアンが、俺に気付いて驚いている。
「すまない、風呂に入らせてやってくれ」
「分かりました。お食事はどうします?」
飲み物と、軽く摘める程度で適当に頼んだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる