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弥一の腹の音で敵にバレてしまう
しおりを挟む雑木で二十φ程のパイプを作り、内径に合わせたお椀と蓋、スプーンを作る。それを四十二セット。出来た傍から皆に七つずつ配り、鍋のスープをよそわせ筒に収めてもらう。そして薄肉巻きを三・四本とスプーンを入れて、上下を跨ぐよう紐で縛ればお弁当の完成だ。
「コレは馭者の分ね?」
「よろしく頼むよ」
「この容器、良いな。傾けたらスープが零れちまうが」
「密閉出来無いからソーサーで押さえ付けてるだけだし微妙だよ。昼飯迄持てば良いさ」
皆が弁当を抱えた所で床を仕舞って下に降りる。
「只今~」
「お、飯の匂いだ」
「昼飯は中で食う。弥一の提案が通ったぞ」
「そうか。飯くれよ」
「ヤイチィ、今食うと後で腹減るぞ?」
「俺なんて一日三回食えた事無かったんだかんな」
「ドカ食いは太るぞ?」
「太って無いだろ?量も無かったんだ」
「待て待て。取り敢えず弁当は俺が預かっとくから水でも飲んで落ち着け」
「ん…、すんません」「俺も心無い事言った。すまん」
皆に水を振舞って、喉を湿しお喋りしながら進んでく。そして昼に近付き弥一の《感知》にも反応があったようだ。
「居る…。多いな…………二十は居る」
「此処で来るなら出て行けば良いのか?」
「そう、なるよな」
「モンスターより、緊張するな…」
「食べ過ぎんなよ?吐いたら帰って来ないからな」
「「「おう」」」
小さな返事の後、暫く掛かって休憩地に到着した。車列は二列縦隊で出口近くに寄せられて、四五六号車は道側となっている。賊の群れは街道から離れた藪の中。援軍が出るのを見えないようにした配慮のようだ。
馭者が降り、ホルストの世話をする。水を汲んで飲ませ、辺りの草を刈って与えて、自分達はその後だ。
一方一二三組は外に出て、辺りの警戒。付き添い二人は皆の弁当を守る係のようで、一人は気配が無い。俺達も飯にしよう。弥一の腹の音で敵にバレてしまうからな。
「…んぐ。離れたな」
「夜か~」
「二十三対二十四。頭数で負けてるし、知恵があるなら来ないだろうな」
「二十三か。仲間集めんのかな?」
「じゃ無きゃ逃げっ放しだよな」
「ヤイチ、まだ斥候は居るか?」
「ちと待てー…、大丈夫、だと思う」
「チラチラ見んな」
「か~け~るくぅ~ん」
「しっかりしろし。独り立ち出来んぞ?」
「ちっ、その内俺強えしてやる……、居ない、筈だ」
「上下は見たか?」
「は?あの山か?スキルで見てんのか?」
「なあヤイチよ、野盗共はどっちに行ったんだ?」
「そりゃあ山の方だが……、うわぁ…」
「どうした?」
「一人、木に登ってやがる。外に出たくらいなら大丈夫だろうが、あっちと合流してたらバレるだろうな」
「良かったな、見付けられて」
俺の言葉に息を吐く弥一は馭者席で飯を食う男にこの後の道程を聞いている。どうやらこの山を迂回するルートらしい。何方かで昼休憩をしたらもう一つで寝る事となる。襲撃ポイントを二点に絞って活動してるみたいだな。
「カケル、少し良いですか?」
馭者の隣に居るだろう、ディワダから呼ばれる。声は聞こえど姿は見えずで馭者は固まってる。
「提案かな?」
「そうですね。このままだと夜襲で間違い無いでしょう。そこで提案です」
「聞きましょう?」
「野盗の塒を襲いませんか?」
「ディワダさん、それ、俺達も行くって事っすか?」
「全員でゾロゾロは、無理かもね。行くのは私とカケルだけになるでしょう」
「夜襲の内に皆の分確保出来れば二人で後片付けしに行っても良いが、今から行くんならちと遠慮したいかな」
「成程」
「塒を潰すのには賛成だ。夜更かしになるが、どうかな?」
「分かりました。では不寝番の順番を合わせましょう」
話を終えるとスッと小さな音を立て、ディワダは何処かへ移動した。
「なあ翔、賊のアジトに女が居たらどうすんだ?」
「そりゃあ街に連れて帰るだろ」
「敵の女だよ」
「……ヤるかっ?」
「ぐへへっ」
「「「悪党かよ」」」
冗談だぜ?
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