女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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挑発

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「それでは質問があれば。何かありませんか?」

ハッとしたら説明が終わっていた。挙手と共に質問があり、返答を返すのはカロじゃない人だった。ポーションの提供、治療院の無償利用等、自分達の命を守る為の質問が多い中、勇者現る。

「全部倒しちまっても良いんだろ?」

俺じゃ無いぞ?俺はタマリーが抱いて来たシンクレイアを抱っこなうだし。

『ああ言うのを勇者って言うのね。気を付けなきゃ』

「シンクは真似しないようにな。よしよし」

「立派なに、してあげますねぇ」

「ぅあぃ…」

「そこ、私語は止めてください。今の方への回答ですが、怠けて逃げ回っていない限り、一律に報酬が支払われます。そしてある程度倒されると不利と見て逃げ出します。拠って、無理を押して全部倒す必要はありませんし、他の人を怠けさせる事もありません。全員無事で酒盛り出来るよう、協力して頑張りましょう」

至極真面に、それで居てやる気を削がさぬ回答だ。

「シンクレイア様を抱いてる貴方。貴方は何かありませんか?」

私語に対する制裁か、俺に質問を要求して来た。殺してやろうか。

『パパ、頑張って』

「パパ頑張っちゃう!洋上に土台を用意する事が出来るが、必要なら言ってくれ」

「パ……、土台についで詳しくお願いします」

「例えるなら、皿みたいな、薄くて馬鹿デカい船を海に浮かべる事が出来る」

「人が乗れるのですか?」

「乗る者の勇気次第、だな」

その途端、怒号飛び交う会場に変わる。本当に勇気要るんだって。だって逃げ道無いんだぞ?

「皆様、お静かに!!マスター、裁定をお願いしますっ!」

静まらない壇上に再び上がるカロは、静かに皆を《威圧》した。俺はシンクとガンダーを《結界》で囲ってやる。カロがこっち見て、んもうって顔してるよ。てへって返す。

「カケル様の挑発に乗られる方は、頑張って戦果を挙げて見返してください。無事戦果を挙げらた皆様には、カケル様に酒代を出してもらえる事とします」

「「「「「うおおおおおーっ!!」」」」」

俺の奢りにさせられた。

「それでは準備のある方は早急にお願いします。カケル様は特に頑張ってください。以上、解散」

名指しで頑張れと言われてしまった。

『一言余計よ、パパ』

勇者より勇者ムーブした俺は、シンクをタマリーに預けて外に出て、海へと向かう。準備の必要が無い人妻乙女と、野次馬共が付いて来る。

「うふ、カケルさぁん、頑張ってぇ~」

「はいはい。お前達は成る可く頑張らないようにな?サミイも防御に徹しろよ?」

「「「はーーーい」」」

その返事は全く信用ならん。

 稍あって、海岸。野次馬共が見てるのでさっさとやってしまわねば。
煉瓦のお盆を楕円にして巨大化させた物をがっちり固めて水面に浮かべる。滅茶苦茶重いが表面張力で浮いた。そのままだと乗れないので桟橋を伸ばし、乗れるようになった。

「言ってなかったが、乗るのが勇気じゃ無いぞ?逃げ道無くなるけど乗るってのが勇気だ。無謀だと思ったら陸に残って良いからな?」

「んだと!?」「鼻から逃げる気なんてねーーーわっ!」「野郎共、行くぜ!」

「「「おおおっ!」」」

皆、元気だ。

「ダンナさまは挑発するのが上手いですね!」

「煽ったつもりは無かったんだが」

さて、洋上のお盆はこれ一つでは無い。そもそも洋上にしては近過ぎるだろう。お盆の先端に立ち、更にデカイお盆を作って水面に浮かべてタラップで繋ぐ。それを続ける毎に陸地から離れ、逃げられなくなって行く。
最終的に、街に接岸する一帯をカバー出来る程の長さのお盆になった。

「こりゃ…街が一つ、出来たみてぇだ…」

「海の上だってのに揺れてもねぇ」

波が来たらその内沈むけどな。取り敢えず土台は出来た。後は魔物が来るのを待つだけだ。野次馬の中にも準備がある者も居るようで、タラップを渡って陸に戻る者が居る。俺も伝えねばなるまいな。




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