女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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ホンモノ

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 此処はハークの寝所、子供の眠りを妨げるのは良くないので場所を変える。《阻害》を掛けてブルランさんの後ろに付いて行き、此方は小会議室っぽい見た目の部屋である。大きな机を椅子が囲み、俺等が入るとメイドが三人頭を下げる。

『静かに』

「「「……」」」

メイド達はピクっとしたが、ブルランさんは動じない。部屋の内外を《感知》と《魔力視》で見渡して…。

『天井に《隠密》とかしてるのが居るんですけど』

今度は全員動じない。ブルランさんが足音を一つ鳴らすと同時にメイド達が動く。部屋の隅へと飛んでナイフを構えた。俺は動揺したそれを強めに《洗脳》し、《結界》を纏わせる。

「もう大丈夫。降りて来い」

「…はい」

天井をすり抜けて来た不審者に、メイド達は武装を解かない。壁をすり抜けるスキル?初めて見たわい。トンデモスキルの持ち主は、俺に対し膝を折って服従の姿勢を取った。

「装備を外せ」

「…はい」

美少女だったら良かったのだが、全裸になったのは残念ながら男である。

「まだ子供の様ですな」

「身軽な方がこう言う仕事に向いてるとか?」

「ご説明します」

メイドの一人が声を出す。説明によると、身寄りの無い子供を飼って鍛えて暗部や暗殺者等、使い替えの出来る駒にする機関があると言う。メイド達の同業者って事か。毒等仕込んであるかも知れんと言うので《感知》で見ると、暗殺者御用達の毒袋が奥歯に、尻穴には暗器が仕込まれていた。《遮断》して《収納》し、《治癒》を掛ける。匂いそうで取り出したくない。

「誰に使われている?」

「…エレデリマ、大司教、様、です」

「大陸を総べる教会の、我が国での頂点ですな」

ブルランさんが注釈を入れてくれる。

「女神信仰ですか?」

「表向きだけで、裏が無ければそうなりますな」

「エレデリマの近くには誰が居る?」

名前が出ても俺には誰か分からない。ブルランさん達は知っているのだろう、渋い顔を更に渋くしていた。

「お前の仕事内容は何だ?」

「…ブルラン、メイドの、動向、調査」

「…だそうですが、此方からは何もしないのでしょう?」

「勿論。我々が何かをして坊っちゃま達に不利を被らせる訳には参りませぬ故」

「良かったな。お前はまだ死なない」

「…ありがとう、ございます」

尻穴に仕込まれていた暗器を再び埋め込むと、子供らしい可愛声を上げた

「んはぁ…」

「気持ち良いのか?」

「…はい」

「エレデリマにされているのか」

「…はい」

男色がこの世界にもある事は、ノーノを筆頭とするメイド等の腐った知識で知っていたが、まさかホンモノを見てしまうとは。

「自分の仕事に戻れ。そして秘密裏にエレデリマ達から得た情報を此方に全て報告しろ。此方の情報は半分も報告するな。ブルランさん達の命令は絶対服従。俺の事は絶対秘密だ」

「…はい」

返事をし、服を着ると飛び上がって天井に溶け込んで行った。

「今居ないのを良い事に…」

「弟くんの一派なのか。何かこのままだと街に来るのを遅らせそうですね」

「二人の決着が着く迄、ですかな?」

「ハークはともかく、アルアや皆が心配だな」

「カケル殿、その心配は…」

「トリントンに微毒が仕込まれてましたよ」

「何と。其方に迄目が行き届かなかったとは」

「ハーク達にも未遂だけど」

「これは…、死んでお詫びをせねばなりませんな…」

「ハークが賢王になってからな」

「心得まして御座います」

「取り敢えず、三人揃う迄は頑張ってください。明日は一オコン程暇を作って貰います。昼食が終わったら全員集めておいてください」

「「「畏まりました」」」

会議室から皆が出て、俺は天井の男を呼ぶ。

「…何なりと」

「お前、何時エレデリマの所に戻るんだ?」

「…直ぐにでも」

「ならば案内しろ」

「…はい」

飛び上がり、天井へ消えた男は薄らと存在感を出しながら移動して行く。外に出て、止まったのを見て《転移》して、再び男は移動する。大司教は教会の宿舎の上の方に住んでいるようだ。そりゃそうか。僧籍だもんな。






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